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          19 救済

 大震災で被害を受けた村に救援はない。代わりにいるのは火事場泥棒と人攫いだ。マリエールのアンドロイドは彼らを収納して姉妹に向き合った。

            19  救済


 この村に大きな震災があった。誰も助けに来ない。領に取っては村の一つや二つ潰れても問題にならないのだ。基幹となる街の復旧が優先となる。その代わり火事場泥棒や人攫いが横行する。マリエール商会のアンドロイドはこういった連中を収納する。仕事の邪魔だからだ。こういった状況は救済のチャンスである。マリエールは感情のあるアンドロイドの助言により一組の姉妹に声を掛けた。彼女達の家族は全滅しており本人達も承知している。姉はマリエールより少し上、妹は少し下の美少女である。マリエールは、

「こんにちは、私は、マリエール、東の辺境伯の娘でマリエール商会の会長。あなた達が私の役に立つなら助けてあげるわ。」

妹の方は大怪我を負っている。直ぐに治療しなければ命が危ない。姉は、

「何でもします。妹を助けて下さい。」

マリエールは顔を顰めた。確かに悠長に話しをしている場合ではなさそうだ。マリエールは2人の治療を優先せざるを得なかった。

 2人との面談を再開したのは一週間過ぎてからだ。マリエールは解析鑑定した。姉はきわめて優秀でリーダーシップもあるが妹は美少女ではあるがただの甘えん坊である。2人とも読み書き計算が出来ない。マリエールは特に妹を、

「使えない。」

と思った。その呟きを姉は聞きつけ、

「何でもします。見捨てないで下さい。」

取り敢えず2人に読み書き計算や金勘定、マリエール商会の活動を教えた。姉は熱心に学び能力の片鱗を見せた。妹は正直まるで駄目だ。しかし、妹には才能? がある。マリエールから見ても飛び切りの美少女で媚びるのが上手いように見える。女のマリエールには効果はないが男には効果がありそうだ。客商売なら需要がありそうだ。しかし姉妹を切り離すことは可能だろうか。マリエールは、

「今日までの学習で姉の方は顕著な効果が見られたのでマリエール商会の幹部として迎えることが可能だが妹はあまり効果が見られない。類稀な美貌故店頭に立てば客の入りが良くなるだろう。モデルとかキャンペーンガールとしての生き方もあるだろう。2人別々の生き方だが承知して貰えないだろうか。」

姉は承知し難いようだが妹は、

「いいですよ。私は姉のようには生きられませんし、自分は客商売とかそういうのに向いていると思いますから。」

2人別々の生き方を選んだ。お互いに成功したと言えるだろう。姉はマリエール商会の幹部として主にマリエールの傍らにいた。妹はモデルとして働きながら、音楽の才能を見出され歌手として長く働いた。

 マリエールは、感情のあるアンドロイドに、

「あの時あの姉妹が一緒にいることに拘ったら成功しなかった。妹が割り切って考えてくれたから成功した。」

と言った。感情のあるアンドロイドは、

「妹というものは意外と回りが見えるものですよ。」

マリエールは姉妹なんていないのにと思った。マリエールは14歳以降外見が変らなくなって20年経った。マリエールは異母の妹がいる。辺境伯の娘なのに夏野菜の作付のことを盛んに説明する妹が久しぶりに思い出された。

 姉妹は別々の生き方を選択して成功した。姉はマリエール商会の幹部に、妹は歌手としてして長く活躍している。

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