15 後日談
この星にバリアが張られる事はなかった。故郷の星はとても美しかった。この星の寒冷化も食い止められた。
15 後日談
この星にバリアが張られる事はなかった。故郷の星は自然が豊かになった。かつてはこの星はこうだったのだろう。新しい星の観光業者が国際機関と共同で開発に乗り出した。観光客は勿論研究機関や資源開発部門が乗り出した。何しろ化石燃料があるのはここだけだ。寒冷化の問題は深刻ではない。核融合発電が大規模に行われるようになったからだ。かつて故郷の星では温暖化の問題から大規模な核融合発電は敬遠された。太陽光発電が主流だった。しかし、核融合発電の温暖化の問題がこの救世主になる。核融合発電による大量の電気が活用される。電気による二酸化炭素の発生は容易いことだ。
ロバートは色々なことで感情のあるアンドロイドに感謝している。感情のあるアンドロイドがいなければロバートは今ここにいない。この星は寒冷化が進んだかも知れない。
「私はきみに感謝している。色々な意味で我々人類を救ったのはきみだ。」
感情のあるアンドロイドは首を振った。
「それは正しくないわ。恒星間移動を許してしまった責任は我々にあるわ。その結果人類の三分の一の人々が死んだ。今でも壮年の男性がいないのが問題になっているわ。死んだ人々の多くが男性だったため男女の比率がアンバランスだわ。私達大量殺人鬼かも知れないわ。」
それはロバートも思っている。だから死のうと決めたのだ。だけどだから今がある。
「新しい星になって、きみが不安を払拭してくれた。死んだ人々には申し訳ないけど、自分としては今満足している。」
感情のあるアンドロイドは、
「今更言っても詮無いことだけど、旧式の恒星間移動出来る宇宙船の存在を何故考えなかったのか悔やまれるわ。しっかり任務を果たしていたら私達の関係もっとしっくりしていた筈よね。」
その通りだ。パートナーを組んでしっかりやっているつもりだった。宇宙船の製造を全て把握しているつもりだった。過去に遡って現在ある宇宙船を全て把握しているつもりだった。抜けがあるなんて思ってもみなかった。現地確認もした。例え加盟国でなくてもだ。確認出来ないとしたら飛行中か秘密の基地があるかだ。
確かに今の我々は以前のようにはしっくりこない。お互いに考えていることが判り辛い。反発したくなること多々ある。彼女のお陰だと判っていてもそれを否定しまう自分がいる。潮時だと判った。
「今度人事で内勤になるそうだ。マリエール対応で評価されたのか昇格もある。もう飛び回ることもなさそうだ。これできみとの関係も終わった。最期に言わしてくれ。本当にありがとう。」
ロバートの瞳は潤んでいた。感情のあるアンドロイドの瞳も同じだ。感情のあるアンドロイドは呟くように言った。
「こちらこそ、本当にありがとう。」
2人はそれ以降二度と会うことはなかった。
感情あるアンドロイドはマリエールの元に帰った。マリエールは感情のあるアンドロイドに言った。
「辛かったね。」
感情のあるアンドロイドはそれがマリエールの労りと判った。
「とても辛かったです。」
感情のあるアンドロイドの瞳はまた潤んだ。
ロバートも感情のあるアンドロイドも恒星間移動を食い止められなかったこと悔いている。2人の関係もちぐはぐだ。潮時だと判った。




