勇者の存在
このゲームのストーリー上、選定式の10年後、つまり私が15歳になる頃に魔王は侵略を開始する。だって、恋愛要素があるからね。15歳に勇者の旅立つタイミングが、ちょうど良かったみたい。
それでこれから10年間、勇者に選定された私は、国から修行という名の訓練をさせられる。この部分は、ゲームストーリー上には関係ないって切り捨てられる部分。だけど、これから厳しい修行がある。でもこれは、私にとっては権利なんだ。反対に国は、修行をさせる義務を負うことになる。
なんでこれが国の義務かって?そりゃ、我々の神であるフレア様がそう望んでいるから。勇者を魔王と戦わせろ、そして勝たせろって。。。
そしたらどうしても、長命種の魔王を倒すなら、戦いが強くなる必要があるでしょ?だから国はフレア様のために、勇者を強くしないといけない。
そして選定された勇者にとっては、強くなることがフレア様の望むこと。何の憂いもなく修行のできる環境を整えられることが、権利になってしまう、、、
ほら。国に住む勇者含めて皆んな、ヒト族。神が望むことは、自分の望むことになる。全ては、フレア様が望むままに。
そもそも神に愛された存在は、成長スピードやパラメータが人並み外れていて、身体・魔術面で直ぐにレベルが上がりやすい。まあ、ゲームだから、勇者のレベルが上がりやすいのは当たり前か。だけど仮に、レベル上げが難しいなんてことがあって、国が勇者に選ばれた私たちを隠して、魔王に攻め込ませないように、なんて考えるのは、絶対にむり。魔王は、勇者の存在に気がつく。だって神が勇者を選定した時点で魔王に知られる。そして、神に至っては、勇者の所在を、魔王の気配を、ずっと気にかけている。隠したって、直ぐに気づく。だから神は、その存在を隠すようなやつには天罰を下すんだって。
そう。この国は、神から勇者を、勇者たらしめる強さを与えることしか、許されていない。私たちだって、隠れられない。ストライキなんて、できない。だってこれは、神々の代理戦争だから。
勇者は太陽神の愛し子。そして魔王は、フレア様と対を成す、月神ニクスが愛する子。
だから、ヒト族はフレア様を、魔王軍はニクスを崇めて、その願いを叶えることを望んじゃう。お分かりのとおり、月神ニクスは太陽神フレア様に負けじと、魔王に勇者の破滅を望む。
ああ、でもなんで、太陽神と月神が争うのかって??
それはこの2柱、太陽と月だから、それぞれ昼と夜を司る神だから。だから、付かず離れず、この世界を半分ずつ管理して、距離を保って拮抗した関係を築いてる。そういう設定。
ただ、300年くらいの単位で喧嘩をしちゃう。理由は毎回色々らしい。毎回世界を掛けて戦う、なんて理由なのかも私たちは知り得ない。だけどゲームの公式によると、日食の際に触れ合う機会があるんだけど、そこで何かしらの悶着を起こして埒が明かなくなる。すると、2柱の力は拮抗して、自分たちではどうにも決着がつかないから、私たちに通達してくる。2柱の眷属である私たち、ヒト族と魔人族が代理で争い、勝敗を決しろ。自分たち神の代わりに勝ちを獲れと、、、双方の神が、眷属に天啓を与える。
それが、ヒト族の選定式で、勇者の職業を定めている意味。
だから選定式は、単純にヒト族の適性職業を与えることが重要ではなくて。。。勇者が選ばれない時なら、まだ戦う準備は必要ではない、っていうのを知る指標としているんだ。本日まだ晴天なり。なんて。
勇者が職業として定められたということは、代理戦争の始まりの合図。これは、選定式で勇者であると決められた私が、どうしても魔人族との戦いから逃れられないっていう、運命ってこと。でも、このゲームってバッドエンドだと、勇者は魔王に倒されて死んじゃうやつなんだけどな。。。ノーマルエンドやトゥルーエンドなら、生きているのに、バッドエンドにいっちゃうと、死んでしまう、、、
なんなら私の推し声優、魔人族の長である魔王だけど、彼女も、ノーマルエンドやトゥルーエンドなら私の代わりに死んでしまうんだが、、、
どうしてこうなった、、、、!!!
どちらか一方、死ぬ運命とか、現実になるとすんごい悲惨なゲームだわ。こんなバカなゲーム作ったやつ名乗りを上げろ…!!なんて、言いたくもなるけど、、現実的に、どうしてくれよう………?
だけどもう、10年後の私の運命は決まっている。これからの、生活だって決まってしまった。王城で、国からの‘勇者の儀’を受けて、修行に明け暮れる日々。そして、私の仲間になる3人の攻略キャラと出会わなければならない。。。
それにしても、私の後ろで母親が未だにうるさい。
「ねぇ、イリス。これからは私たち幸せになれるのよ?貴女も嬉しいでしょう??あの男からも、怯えずに生きていけるのよ?!なんとかいいなさい、イリス!!貴女も私のこと馬鹿にしているの!!?」
はあ、なんだか前途多難だ。
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