勇者の教養
いや、詰め込みすぎでは??
流石に5歳児の学ぶ内容なのか……?いやまあ、学ぶことが嫌ではないのだ。ただ、、、少し前に読み書きを習った5歳児に教える内容なのだろうか、、、??と思ってしまうのだ。。。
確かに読み書きを前もって始めたとはいえ、完璧とお墨付きがあるわけでもない。
そんな中で私は、国の成り立ちから歴代の王、その政策。。。そして経済転換まで、、、これを学んでいるのだ。5歳児、というか、教養として今必要なものなのか??
わたし、ゆうしゃ。まおうとたたかうこと、使命。。
なんて現実逃避をしてしまう。
あの後、私は教会預かりとなると聞いていたが、教会側でも勇者の受け入れ準備をする必要があった。そのためラウルとセシル、2人が私の話相手をしながら、2週間程は王城にお世話になっていた。
その間、これからの訓練でお世話になることになるので、騎士団にも挨拶をしに行ったり、剣の基礎の型を教えてもらったり、レクリエーションのような和やかな時間を過ごした。
それだけでなく、私が寛いでいる間にもイレーネやミーナ、エリオット様が総出で、今後私が必要となるものを事前に手配してくれていたのだ。そこに優しさも感じたのは、私にも何か欲しいものがないか、必要なものはないかなどと、改めて確認をとってくれたりしていたことだ。
そんな私の我が儘みたいな要望を聞いてくれているというのに、私の育成計画をちゃんと立てていたエリオット様と騎士団長様が今後を話し合ってくれて、私にもわかるようにその計画を順序立て、これからのことを説明してくれた。
そんな感じに、王城で過ごしていたのだが、あっという間にその客間から退室する日になっていった。
そして、、、。
王都付近に鎮座するフレイア聖光教会の総本山、中央教会、そこが今、私がいるところ。
本当に、選定式の後からは至れり尽くせりで、以前の生活とは雲泥の差が過ぎて、少し戸惑う。
だけどこれも、少しまでの間。もう少ししたら、私の教養を深めるため、各専門の講師が派遣される。その講師には、騎士団からの騎士様たちも含まれており、勇者である私の元に派遣される人の選定と引き継ぎも行われているみたい。だから、どうしても講師派遣の準備には、一か月は掛かるそう。そして講師全員が揃ったら、本格的な私の育成計画を開始するんだとか。この一か月の間、勇者が何もしていない、なんてこともできないから、、、今は基礎教養として、読み書きや算術など、基礎的なことをエリオット様が手ずからに、教えてくれている。
セシルたちも基礎的なところは出来てはいたのだが、この機会に私に合わせる形で復習をしてくれていた。その勉学の時間にも2人と交流をしていったことで、2人とはある程度、仲良くはなれたと思う。
そして講師役のエリオット様は、本来多忙な教皇様のはずなのに、むしろこの期間に交流をしたいと、私の勉学に協力をしてくれていた。有難いことである。
この間、基礎教養としての読み書きや算術を、私が比較的早くに理解してしまっていたたため、歴史の授業まで始まっていたのだ。
最初の足し算引き算、文字の書込み練習が懐かしい、、、
まぁ、仕方ない。思った以上に私がチート能力を持っていたのだ。この身体、やばいくらいに記憶力がいい。一度言ったことを、忘れられない、覚えてしまう。いや、それだけなら、地頭がいい人ならあり得るのだが、それだけではないのだ。応用力が高い。
一を聞くと十を知る。そのレベルで閃きが冴えていて、次に進むのにもサクサク進む。
どうしようもない、チートキャラ。勇者は、ただ魔王に勝つ強さを持つためだけの、駒でしかないのだ……。
ああ、だけど。
だけども、けれども、どうして??
勇者である私の役目は、誠に不本意ながらではあるのだが、私の推しである魔王に、耳触りのいい声を出す唯一無二のあの人に、戦い勝つことではなかったのか?何故国のお偉い人たちのことから経済政策まで、学ばなければならないのだろうか?
思った以上に、勇者ってめんどくさい役目だったかもしれない。
私はただ、あの勇気をくれた、推しの声を聴きたくて、誰よりも会いたいと、想いを伝えたいと、そう希っただけなのに。
だからこの旅立ちまでの修行も耐えてみせようと思っていた。
けれど、まさかこんなにも、勇者にも教養が必要だったとは。。。
仕方ないか。勇者といっても、ヒト族の駒の一つ。周りのタヌキに利用される存在には違いないのか。それでも、上手く躱すために、学ばせてもらっているのだろうと思う他ない。
まぁ、そんな私の事情は忘れてしまおう。
今それ以上に驚いたのが、ラウルとセシル。この2人ともが幹部候補生になっていること。勇者のお供候補に上がっているなら何かしらのエリート街道には入るのだろうとは予測がついていたが、まさか将来的に枢機卿までの地位につく可能性があるらしかったのだ。
それならば、今学んでいる教養は大切になるのだろうが、ここに私が組み込まれている理由が居た堪れない。今後王や貴族に謁見する可能性がある都合が良いからだろうか?
やはり言葉はよくないが、ゲームでは2人とも孤児として紹介されていたのだ。偏見かもしれないが、幹部候補までの想像がつかなかった。むしろ、叩き上げのような存在になってしまうので、魔王に勝利したとしても現場サイドまでしか昇進しないと思っていた。
だけど、これは私にとっては大変都合が良い展開になっているのではなかろうか。現場を理解し、融通がきく存在が、目の前にいるのだ。
上手くいけば、供になったものが大出世をするのだ。今後先を見据えるならば、2人と一緒に教養を学んでいこうと思う。。。




