まさかあの人が……なんて言うのはよくある事だけど、決してあってほしいとは思いません。
俺の学園生活と言うのは何とも穏やかに過ぎて行った。
クラスの中は相変わらずいがみ合ったり陥れようとしたりとする光景があるが、それも日常ともなれば魔物の子供がじゃれ合っているようにも見えるようになるから不思議な物だ。
それに変な先輩がエクルとミストに毎晩門限までからんでたり、俺もクラブで魔物の借り方をレクチャーしたりしている。
エクル達は週末は神殿に行き、俺達はヒューイの家に遊びに行ってボードゲームを楽しんだりしている。
当然学生なのでテストなんかもあったりして……
「さあ、みんなお待ちかねのテストの結果を発表するよ!」
ウキウキ・ワクワクとフレイを押しのけてシエルの奴は教室後ろの掲示板全部を使って総合結果を張り出すのだった。
「って言うか、総合得点とクラス順位、学年順位を張り出すのってプライバシーの侵害って奴にならないのか?」
どこからともなく学園中に響く絶叫は何もこの教室の中の話しだけではなくて、この時刻に同時に発表される風物詩らしい。
「ファロ君はどうせ入学のしおり何て見てないから知らないだろうけど、ちゃんと学園に入学する時に授業結果を誰もの目に見える場に張り出して切磋琢磨しましょうって言う方針なのだよ」
「なるほど。だからやたらとテスト勉強に力を入れていたわけだ」
そう言って俺の後ろの席のヒューイを見れば、結果を見て満足そうな笑みを浮かべて灰になっていた……
「まぁ、クラス順位六位で学年順位十位は立派なんじゃね?」
「ううう、何で勉強してる俺の横でグースカ寝てるお前の方が良いんだよ……」
「そりゃ常日頃のたまもの?」
「ウソつけ!
常日頃からさっさと宿題切り上げて寝るくせに!」
「その分早く起きて続きやってるだろ
って言うか、俺の部屋はお前の部屋じゃねーんだから朝まで入り浸るな」
部屋に帰って寝ろというも
「お前の部屋の方が落ち着くんだよ」
「部屋を準備してくれた家の人に悪いと思わんのか?」
「ファロの部屋の方が食べ放題飲み放題なのが悪いんだ」
そんな他愛もない事で言い合っていれば暗い顔をして振り向いたエクルがいきなり机にペン先を突きつけてきた。
突き刺さる事なく潰れたペン先だったが……
「それ何の話し?
もちろん後ろからの話しだよね?」
目が死んでいて口から魂が抜けかけているエクルの顔から俺達は視線を慌てて反らせた。
今回クラス順位最下位を飾るエクルの名前に俺達は自分の目を疑い、そしてエクルの訳知り顔を見てあえて知らないふりをしてエクルが話に混ざってこないように話していたのにそんな空気読まない壁では全くの意味は成さなかった。
「いやいや、大体エクルさん?
入学してまだ二月程度で大した勉強も始まってないのになんで基礎の基礎から出来てないんですかと聞いてもよろしいでしょうか?」
「うっ……」
「巫女のお勤めはとても国を挙げての大切なお役目だとは理解してますが、学院に在籍している以上同等に大切な勉学ではありませんか?」
「うっ……」
「ほらミスト。
やっぱり二人から当然の事を言われるのは判ってるでしょ?」
止めと言わんばかりにミストまで参加してきた。
「うえ~ん。ミストまでぇ……」
「いや、それは言われて仕方がない順位だし?」
「テストの答案後で見せてね?」
「……」
「そっぽ向かない!」
「だってぇ……」
「大丈夫。
この順位見ればそれだけで大体点は想像できるから」
「ミスト……」
「次のテストまでには巻き返せる位置なんだから頑張ろうね?」
「あ、ありがとう!!!」
涙を流してミストに泣きつくエクルにヒューイは何故か天井に向かって祈りを捧げていたが……
「エクル、お前はもう下に行く事も出来ない場所にいるって言うのを理解しろ……」
クラス順位も最下位ならば学年順位も最下位と言う位置に俺もクラスの奴らもそっと同情しつつ呆れていた。
「シエル先生もほんと見抜けなかったよー。
普段怪しげな言動をまったくしないから大丈夫な子だと思ってたのに……
最下位はファロ君だと思ってたのに何でかな~?」
「そりゃ、判らない事はミストに聞いてたからじゃね?」
少なくとも一度テストを受けた事のあるミストはどんな内容かは過去問の所持者、そして元から根が真面目な性格も会って今回のクラス学年順位共に一位を取っていた。
「ファロ君も覚えが早くって教えがいがあったよ」
「っていうか、いつ二人で勉強会してたんだよ……」
十分良い方でありつつもベストとは言い切れない成績のヒューイは納得いかないというように言うが
「だから朝早くだよ。
下の食堂で朝飯食べながら勉強会?してただけだろ」
それの何が悪いという正論にヒューイもエクルもずるいといいながら
「次のテストに向けてミスト様勉強教えてください!」
「え?!もう次のテストに向けて勉強なの?!
やっとテストも終わったんだし遊びに行こうよ!」
自覚のある奴と自覚のない奴の差に俺もミストも、そしてクラス中の誰もが思う。
巫女としては立派だけどそれだけじゃだめだろ……と。
周囲の白い目に何でと動揺するエクルに
「エクルーラ・タラズマン。
お前には全教科から補修に出る様に通知が来ている。
改善の見込みがなければお前は来年も一年生だ。
このままの成績では当然巫女の座も降りてもらう事になる」
「え?」
冷酷に現実を突きつけるフレイがどう考えても当然だろと人差し指で頭を支えながら
「お前に必要なのはもう一度基礎からの勉強のやり直しだ!
この学園歴代最低得点のお前に通常授業も外れて当面俺とエクルのどちらかが付きっきりでやり直すぞ!」
「はっはっはー、フレイ君。
担任の給料査定にも響くからがんばらないとねー」
副担だからシエル先生のお給料には響かないんだよーといい笑顔でエクルを捕まえて
「じゃあシエル先生とタラズマンは実習室に行ってくるからね」
むんずと捕まえられて引きずられていくその姿を見て誰もが勉強はちゃんとしようと心に刻むのだった。
職場で部署移動にあいました。
店が閉店してリニューアルしてオープンな流れなのですが、売り場人間だったのに事務方に回されました。
新しく取り入れたシステムにパソコン使える人が欲しいとの事での抜擢でした。
文字打ちとタグ打ち(笑)しか出来ない人間なのにエクセルなんて無理だとここ数年で立派な脳筋仕様になった私が心の中で焦っていれば他店から送信されたファイルの管理だったり他店へとファイルを送ったりと言うメール受送信と文字打ちのスキル程度で十分なお仕事でした。
他にもちょっとした知識も必要ですが、別に私じゃなくても良いレベルで……
要は人がいなかったからの苦肉の策でした。売り場は大混乱に陥ってますけどね。
事務員に懇切丁寧に教えるから私を売り場に放牧してほしいとストレスのたまる今日この頃です。




