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13話

―――間に合え、間に合え、間に合ってくれっ・・・


吉継はこの事件の真相を連れ、屋敷に向かい走っております。


そう真相を連れて。


只今月はといえば雲に隠れて少し見えづらいですが


ちょうど真上あたりに位置しております。


吉継は度々空を見上げ、また走ります。


そして吉継は処刑場でもある屋敷につきました。


屋敷は広く、現在吉継がおられる門から処刑場までは少し離れております。


「待っててくれ、初・・・っ」




事件の真相はこうだった―――


兄である清継はおそらく初を好んではいなかった。


訳は憶測だが、実の父である喜作が妙に初を気に入っていたからだ。


世辞でも良いとは言えない生い立ちであり、それは彼女も自覚していただろう。


兄はよそ者である初に父上を取られてしまうのではないかという不安があったのだろう。


だが父上の命により、我ら兄弟は初の遊び相手となってしまった。


私もはじめは気に食わなかった。よそ者がと思った。


しかし初は純粋で、美しい笑顔を見せるとても綺麗な人だと知った。


自分とは真逆である。


私たちは日に日に親しくなった。


しかしその関係はすぐに崩れ始めた。


初は屋敷で働き始め、兄上は婚約。


私は常に1人だった、だが不自由ではなかった。


初の姿を見ることが出来るだけで満足だった。


彼女はこの屋敷の空気を暖かい場所へ変えてくれる不思議な人だった。


義姉であるミツ殿もそんな彼女を気に入り、良くしてくれていた。


兄はそれが気に食わなかったのだろう、だから自分に仕えている者を利用し今回の事件を起こした。


1人が木を倒し、初が気を取られている間に久親をそっと連れて行き、久親に似せた人形を川に投げ入れた。


そして兄上の仕えの者が久親を見つけたと騒ぎ、兄上が自分の仕え以外は屋敷に下がらせた。


久親は屋敷から離れた場所で、何も知らず生活を送っていた。


これらすべての目的はただ1つ・・・初の命を絶つこと―――



「久親殿っ・・・!!あと少し頑張ってください!!」


吉継は隣を走っている久親に声をかける。


「お兄ちゃん・・・、初姉が死んじゃうって本当なの・・・!?」


「心配無用だ、私が絶対に死なせはしない」


2人は走り続ける。


やがて処刑場についた。


「皆の者!!今すぐ手を止め、私の話を聞くんだ!!!」


吉継が大声を張ると、その場にいた者たちは皆、こちらを振り向き目を丸くした。


否、清継を除いてである。


「吉継、真相にたどり着いたか。だがもう遅い、処刑は既に済んでおる」


清継が薄ら笑みを浮かべそう言った。


吉継の中で時が止まったかのように思った。


「清継ーーーーーーーっっ!!!!!」


吉継はその場に崩れ落ちてしまった。


空には雲ひとつなく、大きな満月は妖しく、そして皮肉なほどに明るく輝いていた。

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