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12話
「何か言い残すことはないのか?」
ついに処刑の時、久親様がお亡くなりになられてから3度目の満月を迎えてしまいました。
お初は、両腕を後ろに縛られ、地面に正座で座っております。
お初は空を見上げました。
満月が少し傾いております。
そしてうっすらと雲がかかっており、妖艶な輝きを放っております。
お初はゆっくりと目を閉じました。
「久親様に、謝罪を・・・」
お初は、久親様を死なせてしまった
その事実をこれまでゆっくりと受け止めていきました。
そして浮かんでくるのは申し訳ないという気持ちだけです。
「それだけか?この世に未練はないか?」
お初の中に1人の男性の姿が現れました。
この数日間、逢いたくても逢えなかった人―――
「最後に1つだけいいですか・・・?」
「あぁ、聞こうか」
「牢に、ある便りを置いております。それを彼に・・・渡してください」
「宛は?」
「便りに書いております」
「まぁ、聞いてやろう」
「ありがとうございます」
お初はとても美しい笑顔を見せた、これから殺される人間の顔ではない
とても幸せそうな笑顔である。
「では、これより処刑を開始する――――」




