9. 花の都で、再びあなたと
王都リュミエールへ続く街道には、朝から多くの馬車が行き交っていた。
商人たちの荷馬車に、旅人を乗せた乗合馬車。時折、鮮やかな紋章を掲げた貴族の馬車も通り過ぎていく。
エリアナは窓の外を眺めながら、膝の上に置いた旅行鞄をそっと撫でた。
遠くに見えていた白い城壁が、いつの間にかずいぶん近くなっている。
「もうすぐですね」
向かいに座るノアが声をかけた。
「はい。何だか、少し緊張してきました」
「エリアナ様でも緊張されるんですね」
「もちろんです。こんなに大きな街へ来るのは初めてですから」
エリアナは小さく笑った。
昨日、宿泊した街も十分に賑やかだった。
それでも、目の前に広がり始めた王都の景色は、これまで見てきたものとはまるで違っていた。
城壁の向こうには高い塔がいくつもそびえ、青や赤の屋根が幾重にも重なっている。
街の中心に見える白い尖塔は、王宮のものだろうか。
陽の光を受けた建物の窓が、遠くからでもきらきらと輝いていた。
「エリアナ、あれ見て!」
リュシーが窓に張りつく。
「おっきな鳥!」
彼女が指さした先には、翼を広げた白い鳥が三羽、城壁の上を旋回していた。
「あら、本当。綺麗ね」
「あれは王都で飼育されている伝書鳥ですよ」
ノアが教えてくれた。
「魔力を感知して目的地を探すことができるので、重要な連絡に使われています」
「そうなんですね」
エリアナは興味深そうに鳥を目で追った。
手紙を届けてくれた青い羽の鳥も、似たような役目を持っているのだろう。
祖母は昔、手紙の配達を頼める鳥を何羽か育てていた。あの頃は、それが珍しいことだとは思わなかった。
「王都には、ああいう鳥がたくさんいるんですか?」
「ええ。ただ、訓練が難しいので、誰でも飼えるわけではありませんが」
「そうなんですか……」
エリアナは少し考え込んだ。
森の鳥たちは、頼み事をすると大抵引き受けてくれる。
もちろん、気分が乗らない日は断られることもあるけれど。
その違いが気になったものの、話しているうちに馬車が城門へ近づいたため、質問する機会を逃してしまった。
◇
王都の城門は、想像していた以上に大きかった。
白い石を積み上げた門の両脇には衛兵が立ち、通行する人々の身分証や荷物を確認している。
エリアナは窓からその様子を眺めていた。
公爵家の馬車が近づくと、衛兵たちは一斉に姿勢を正した。
「アルヴェリス公爵家の馬車ですね。お帰りなさいませ」
責任者らしき男性が丁寧に頭を下げる。
ノアが窓を開け、短く言葉を交わした。
「本日は公爵家のお客様をお連れしている。通行の記録を頼む」
「承知いたしました」
衛兵は書類に目を通し、馬車の中へちらりと視線を向けた。
エリアナは目が合ったので、小さく会釈した。
すると、男性は少し驚いたような顔をしたあと、丁寧に頭を下げた。
馬車が動き始めてから、エリアナはノアに尋ねた。
「今の方、何か驚いていらしたのでしょうか」
「そうですか?」
「はい。私が何か失礼なことをしたのかと……」
ノアは少し考え、それから笑った。
「いいえ。公爵家の馬車から、あんなふうに挨拶を返されることが珍しかったんだと思いますよ」
「……そうなんですか?」
「貴族の方は、馬車の中からわざわざ衛兵に会釈したりしませんから」
エリアナは困ったように眉を寄せた。
「でも、ご挨拶していただいたので……」
「エリアナ様は、そのままでいいと思います」
ノアは穏やかに答えた。
「閣下も、きっとそうおっしゃいますよ」
エリアナは少し安心したように微笑んだ。
その頃には、馬車はすっかり王都の中へ入っていた。
窓の外に広がった光景に、エリアナは思わず息をのんだ。
「……まあ」
広い石畳の道。
両側には淡いクリーム色の建物が立ち並び、窓辺やバルコニーには色とりどりの花が飾られている。
小さな水路に沿って柳のような木々が植えられ、その枝が風に揺れていた。
通りの向こうからは、焼き菓子の甘い香りが漂ってくる。
花を売る店、書店、色鮮やかな布を並べた店。
人々の話し声に混じって、どこかから楽器の音まで聞こえてきた。
「……本当に、綺麗な街ですね」
エリアナは窓から目を離せなかった。
「気に入っていただけました?」
「はい。とても」
ノアは嬉しそうに笑った。
「まだ入り口ですよ。中央広場はもっと綺麗です」
「中央広場……」
「大きな噴水があります。夜になると魔法の灯りがついて、昼間とはまた違った景色になるんですよ」
エリアナの瞳が輝いた。
「見てみたいです」
「では、閣下にお願いしてみましょう」
その言葉を聞き、エリアナは小さく頷いた。
ルシアン。
今頃、何をしているのだろう。
森で過ごした短い時間を思い返すと、不思議と気持ちが落ち着いた。
知らない場所へ来たばかりなのに、彼が待っていてくれると思うだけで、心細さが薄れていく。
◇
アルヴェリス公爵邸は、王都の北側にある閑静な貴族街に建っていた。
高い鉄柵の向こうには広大な庭園が広がり、白い石造りの屋敷が陽の光を受けて輝いている。
馬車が門をくぐると、手入れの行き届いた並木道が続いていた。
その先には円形の噴水があり、周囲には白や淡い桃色の薔薇が咲いている。
「……すごい」
エリアナは思わずつぶやいた。
大きなお屋敷なのだろうとは思っていた。
けれど、ここまで広いとは想像していなかった。
森の家なら、庭ごと何軒も入ってしまいそうだ。
「ノアさん……」
「はい?」
「本当に、私がお邪魔してもいいのでしょうか」
ノアは少し驚いたように彼女を見た。
「もちろんですよ。閣下が直々に招待されたんですから」
「でも、こんな立派なお屋敷だと思っていなくて……」
「大丈夫です。閣下はエリアナ様がいらっしゃるのを、ずっと楽しみにしていましたから」
「……そうなんですか?」
「ええ。ここ数日は何度も到着予定を確認されていましたよ」
エリアナは目を瞬かせた。
ルシアンは、ずいぶん忙しい人のはずだ。
それなのに、自分のことを気にかけてくれていたらしい。
「……嬉しいです」
小さくつぶやいた声に、ノアは何も言わなかった。
ただ、少しだけ笑った。
やがて馬車が玄関前に止まる。
扉が開くと、年配の執事が数人の使用人を従えて立っていた。
「ようこそお越しくださいました、エリアナ・フィオーレ様」
銀色の髪をきちんと撫でつけた男性が、深く一礼する。
「当家の執事を務めております、セドリックと申します」
「は、初めまして。エリアナ・フィオーレです」
エリアナも慌てて頭を下げた。
セドリックは穏やかに微笑んだ。
「長旅でお疲れでしょう。どうぞ、中へお入りください」
「ありがとうございます」
エリアナが馬車から降りると、リュシーが鞄の中から顔を出した。
「エリアナ、ここ、すっごく大きいね!」
「そうね」
セドリックの視線がリュシーへ向いた。
一瞬だけ目を見開いたものの、すぐに落ち着いた表情へ戻る。
「……こちらが、お連れの精霊様でございますね」
「はい。リュシーといいます」
「リュシー様。ようこそお越しくださいました」
セドリックは精霊にも丁寧に頭を下げた。
リュシーは少し得意そうに胸を張った。
「うん! よろしくね!」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
エリアナはそのやり取りを見て、ほっとした。
リュシーが一緒でも問題ないようだ。
そう思ったところで、屋敷の大きな扉が開いた。
「エリアナ」
聞き覚えのある声だった。
顔を上げると、玄関の奥からルシアンが歩いてきた。
濃紺の上着に、銀色の刺繍が施されたベスト。
森で出会ったときとは違う、貴族らしい装いだった。
けれど、柔らかな青い瞳と穏やかな声は、あのときのままだった。
「ルシアン様」
エリアナの顔が自然と明るくなる。
「お久しぶりです」
「ああ。よく来てくれたね」
ルシアンは彼女の前で足を止め、微笑んだ。
「長旅だっただろう。疲れていないかい?」
「大丈夫です。ノアさんがとても親切にしてくださいましたから」
「そう。それならよかった」
ルシアンはノアへ視線を向けた。
「ありがとう、ノア」
「いえ。無事にお連れできて何よりです」
ノアは軽く頭を下げた。
その後ろで、エリアナはルシアンを見つめていた。
森で会ったときより、ずっと顔色がいい。
少し気になっていた目元の疲れも、今はほとんど感じられなかった。
「……ルシアン様」
「うん?」
「お身体、本当によくなられたんですね」
ルシアンは少し驚いたように瞬きをした。
それから、嬉しそうに笑った。
「ああ。君のおかげだよ」
「よかった……」
エリアナは心から安堵した。
あれほど深い呪いだったのだ。
完全に取り除いたとは思っていたけれど、その後の様子が気になっていた。
「お薬も、ちゃんと飲まれましたか?」
「もちろん」
「お食事は?」
「以前よりずっと美味しく食べられているよ」
「それなら安心です」
エリアナは満足そうに頷いた。
ルシアンはその顔を眺めながら、小さく笑った。
「君は相変わらずだね」
「……?」
「いや、何でもないよ」
そう言って、彼は自然に手を差し出した。
「さあ、中へ。部屋を用意してあるんだ」
エリアナは一瞬ためらったあと、その手にそっと自分の手を重ねた。
ルシアンの手は、思っていたよりも温かかった。
森で倒れていたときは、あんなに冷たかったのに。
そのことが嬉しくて、エリアナは小さく微笑んだ。
ルシアンは彼女の手を取ったまま、少しだけ目を細めた。
◇
屋敷の中は、外観に負けないほど美しかった。
高い天井には繊細な装飾が施され、壁には大きな絵画が飾られている。
磨かれた床には窓からの光が映り込み、廊下には季節の花が生けられていた。
エリアナは周囲を見渡しながら、ゆっくりと歩いていた。
どこを見ても、初めて目にするものばかりだった。
「……素敵なお屋敷ですね」
「ありがとう」
ルシアンは隣を歩きながら答えた。
「古い建物だから、不便なところもあるけれどね」
「そんなことありません。お花もとても綺麗です」
「花が好きだと聞いていたから、庭師が張り切ってくれたんだ」
「まあ……」
エリアナは嬉しそうに微笑んだ。
「あとでお庭も拝見していいでしょうか?」
「もちろん。そのつもりでいたよ」
ルシアンは少しだけ意味ありげに笑った。
けれど、エリアナは気づかなかった。
彼の隣を歩きながら、壁に飾られた絵を眺めていたからだ。
やがて、二人は二階の客室へ案内された。
扉を開けた瞬間、エリアナは足を止めた。
「……まあ」
広い部屋だった。
大きな窓からは庭園が見え、柔らかな色合いの家具が並んでいる。
寝台には淡いクリーム色の天蓋がかかり、窓辺には小さな丸いテーブルが置かれていた。
棚には花瓶が飾られ、白い花が静かに咲いている。
「気に入ってもらえるといいんだけれど」
ルシアンが言った。
エリアナは振り返った。
「……こんな素敵なお部屋を、私に?」
「ああ。滞在中は自由に使ってほしい」
「でも……」
「遠慮はいらないよ」
ルシアンは柔らかく微笑んだ。
「君が森でしてくれたことを思えば、これでも足りないくらいだ」
エリアナは少し困ったように眉を下げた。
「私は、本当に大したことはしていないんです」
「そう思っているところも、君らしいね」
「……?」
ルシアンはそれ以上説明しなかった。
代わりに、窓辺へ歩み寄り、庭園を指さした。
「それから、君に見せたい場所があるんだ」
「見せたい場所?」
「ああ。少し休んでからで構わないけれど」
エリアナは首を横に振った。
「大丈夫です。今からでも」
「本当に?」
「はい。とても楽しみです」
その返事に、ルシアンは嬉しそうに笑った。
「それなら、案内しよう」
◇
公爵邸の庭園は、歩いても歩いても終わりが見えないほど広かった。
整えられた小道の両側には薔薇が咲き、白い石像や小さな噴水がところどころに置かれている。
エリアナは目に入る花を一つずつ眺めながら、ルシアンの隣を歩いていた。
「ここは母が好きだった庭なんだ」
ルシアンが言った。
「お母様が?」
「ああ。花を育てるのが好きな人でね。子供の頃は、よくここで一緒に過ごしたよ」
「……そうだったんですね」
エリアナは静かに頷いた。
祖母と庭仕事をしていた頃のことを思い出した。
花の名前を教わり、薬草の育て方を覚え、ときには失敗して二人で笑った。
そんな時間は、今も大切な思い出だった。
「お母様も、きっとこのお庭が大好きだったのでしょうね」
「そうだと思う」
ルシアンは微笑んだ。
「君にも、気に入ってもらえたら嬉しい」
「もちろんです。とても綺麗ですもの」
二人はゆっくりと歩き続けた。
やがて、庭の奥に小さなガラス張りの建物が見えてきた。
「……あら?」
エリアナは足を止めた。
白い石の土台に、大きなガラス窓。
屋根には繊細な金属の装飾が施され、入口の両側には淡い青色の花が植えられている。
「……温室?」
「ああ」
ルシアンは頷いた。
「以前は母が使っていたんだけれど、しばらく使われていなくてね」
そう言って、扉へ近づく。
「君が来ると決まってから、少し手入れをしてもらったんだ」
扉が開かれる。
中へ足を踏み入れたエリアナは、思わず息をのんだ。
柔らかな日差しがガラス越しに差し込み、室内を明るく照らしている。
壁際には木製の棚が並び、色とりどりの花が飾られていた。
中央には小さなテーブルと椅子が置かれ、その上には美しい茶器が用意されている。
そして、窓辺には。
「……あっ」
エリアナは小さく声を上げた。
淡い青色の花が、一輪咲いていた。
「これ……」
そっと近づく。
花弁の縁が銀色に輝く、小さな花。
見間違えるはずがなかった。
「……月雫草」
ルシアンは彼女の隣に立った。
「覚えているかい?」
「はい。森のお庭で、お渡しした……」
「ああ。君がくれた花だよ」
エリアナは驚いたように彼を見上げた。
「まだ、咲いていたんですね」
「教えてもらったとおり、水に挿しておいたら根が出てきたんだ」
「まあ……」
エリアナは嬉しそうに花を見つめた。
「大切にしてくださったんですね」
「もちろん」
ルシアンは静かに答えた。
「君からもらったものだからね」
エリアナの指先が、花弁にそっと触れた。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少しだけ温かくなった。
花を大切にしてくれたことが嬉しい。
それだけのはずなのに。
なぜか、いつもより少しだけ頬が熱い気がした。
「……ありがとうございます」
エリアナは小さく微笑んだ。
ルシアンはその表情を見つめていた。
彼女が喜んでくれるならと思い、温室を整えた。
それだけだった。
けれど今、目の前で嬉しそうに花を眺める彼女を見ていると、準備をしてよかったと心から思えた。
「エリアナ」
「はい?」
「滞在中は、ここも自由に使ってほしい」
エリアナは顔を上げた。
「……よろしいんですか?」
「ああ。薬草を育てても構わないし、本を読んだり、お茶を飲んだりしてもいい」
ルシアンは少し笑った。
「森の家ほど落ち着ける場所ではないかもしれないけれど」
「そんなことありません」
エリアナは首を横に振った。
「とても素敵な場所です」
そう言って、温室を見渡した。
柔らかな光。
花の香り。
小さなテーブル。
どこか、祖母と過ごした森の温室に似ていた。
「……大切に使わせていただきます」
ルシアンは微笑んだ。
「そうしてくれると嬉しい」
そのとき、エリアナはふと思いついたように尋ねた。
「あの、ルシアン様」
「何だい?」
「こちらで、一つだけ新しいお花を育ててもいいでしょうか?」
「もちろん。どんな花だい?」
エリアナは少し考え、それから楽しそうに笑った。
「まだ秘密です」
「……秘密?」
「はい。咲いたら、お見せしますね」
ルシアンは驚いたように瞬きをした。
それから、ゆっくりと笑った。
「それは楽しみだ」
エリアナも嬉しそうに頷いた。
窓の外では、春の風が庭の木々を揺らしている。
温室の中には、穏やかな光が満ちていた。
◇
その日の夕方。
王立魔導院の院長室では、オルフェン・ヴァイスが一通の報告書を読んでいた。
フィルネの森から王都へ向かう街道で、不可解な出来事がいくつか確認されたという。
古い馬車の補助装置が突然正常に作動するようになったこと。
壊れた荷馬車の車軸が、何の修理も受けずに元どおりになったこと。
そして、セラートの薬草店では、枯れかけていた月眠草が一晩で回復したらしい。
どれも小さな出来事だった。
普通なら、気にも留めないような話ばかりだろう。
だが、オルフェンには一つだけ気になることがあった。
すべての出来事が、同じ街道沿いで起きている。
しかも、その時期が重なっていた。
「……偶然、か」
オルフェンは報告書を机に置いた。
数日前、ルシアンから聞いた少女の名前が脳裏をよぎる。
エリアナ・フィオーレ。
かつて王国最高位の魔導師の一人と呼ばれた、エレオノーラ・フィオーレの孫娘。
彼女が王都へ招かれていることは、すでに聞いていた。
「……まさかな」
オルフェンは小さくつぶやいた。
けれど、その声には確信に近いものが混じっていた。
彼は机の引き出しから古い手帳を取り出した。
三十年以上前、まだ若い魔導師だった頃に使っていたものだ。
ページをめくり、ある日付で手を止める。
そこには、エレオノーラと最後に会った日の記録が残されていた。
『彼女は、これ以上王宮に関わるつもりはないと言った。
理由を尋ねると、少し笑って答えた。
――私には、守りたいものがあるのよ。』
オルフェンはその一文を、長い間見つめていた。
当時は、その意味を理解できなかった。
けれど今になって、ようやく少しだけわかった気がする。
「……エレオノーラ」
老人は静かに名前を呼んだ。
「お前さんは、何を守っていたんだ」
窓の外では、王都の街並みが夕日に染まっていた。
そのどこかに、エレオノーラの孫娘がいる。
そう思うと、胸の奥に懐かしさと不安が入り混じった。
オルフェンは手帳を閉じた。
いずれ、会わなければならないだろう。
だが、その前に確かめておきたいことがあった。
エレオノーラが王都を去った本当の理由。
そして、当時の国王が彼女に関する調査を禁じた理由だ。
古い記録の中には、まだ明かされていない何かがある。
オルフェンは立ち上がり、資料室へ向かった。
王都に訪れた小さな変化が、やがて大きな出来事につながっていくとは、まだ誰も知らなかった。




