シャ・ルーフェ星の管理について
シャ・ルーフェ星の中に入って来た双子神は驚いた。
黒い岩石の塊だった地面には赤茶の土ができ、そこから草が芽吹いている。
その草を食す動物もいる。
空を漂う、羽の生えた精霊もいる。
宇宙をそのまま映し出していた真っ黒な空には、星が浮かんでいる。
「ねぇ、貴女たちだあれ?」
声をかけてきた生物に、双子神は後退した。
実際には十歳前後の人間なのだが、双子神は警戒する。
「……」
「……ねぇ、誰なの? 何でそんなに白いの?」
純粋な少女の疑問に、双子神は答えることができない。
そうこうしていると、何だか人が集まってきた。
双子神は真っ白な存在だ。興味が湧いてやって来るものもいるだろう。
そのとき、何かのまとめ役のような存在がでてきた。
「貴女方は……神でいらっしゃいますか」
「……そう、なのです」
「……分かりました。シャルフェール様を呼びましょう」
面倒ごとに巻き込まれたその男は軽くため息をつきつつ、家に戻って行く。
反対に、知っている名前が出てきたことで安心する双子神だった。
「双子神様方! いらしていたのですね」
やって来たのは、金髪金眼の少女──この星における〈光の女神〉、最高神だ。
「ねぇ、シャルフェール様っ! この人たちは誰なの?」
「……秘密よ。また今度教えてあげる」
〈光の女神〉は少女の問いを誤魔化し、双子神の方を向いた。
双子神は純粋な疑問を聞く。
「〈光の女神〉、これはどうしたのです?」
「言われた通り、ここを管理しています。……申し訳ありません、場所を移しませんか」
〈光の女神〉の提案に乗り、双子神たちは移動した。
ふわふわとしている場所だ。パステルカラーが混ざりあって、幻想的な雰囲気を生み出している。
「〈光の女神〉、ここは何処です?」
「神世です。今は人間、精霊、神の距離が近いので、わたしも呼び出されましたが……これからは距離をつくっていこうかと」
「……そう、なのです」
それから、双子神は〈光の女神〉に報告を促した。
「いろいろなものを司る神を創り、増やしました。今は、神の他に動物もいますし、大地を形成できました」
「なるほどです。とても素晴らしいです」
妹の絶賛に〈光の女神〉が「ありがとう存じます」と礼をした。
それから、双子神はこの星の名が決定したことを報告し、星を出ようとしたする。
「あの、人間から聖典がほしいと言われているのですが……」
「貴女を創始者として創るべきです」
「わたしたちは途中で創られた神ということにするのです」
双子神の珍しくきっぱりとした物言いに、〈光の女神〉は戸惑いつつも頷いた。
「分かりました。では、そのようにして作らせます」
頷いたはいいものの、双子神はどのような名前がいいのだろうか。
双子神にはそれ以外の名がない。この星では〈光の女神〉のように、〈闇の神〉や〈火の女神〉などが存在する。だが、この双子神をどうするべきか。
〈光の女神〉は、一つの良い案を思いついた。
「では、双子神様方のお名前は〈輪廻の双子神〉ということでどうでしょう?」
「輪廻、です?」
「えぇ、わたしに創られた神ということにするのなら、お役目が必要ですもの。ね?」
〈光の女神〉の金の瞳に、双子神はたじろいだ。自分たちが創った神だというのに。
「……それでも良いですが、お役目とはどのようなことをするのです?」
「そうですね……。魂の管理でもしてくださいますか? 丁度、管理する神を創ろうと思っていたところなので」
〈光の女神〉は、作り笑顔でニコリと微笑んだ。
「分かったのです」
「というか、したたかになったのです……?」
いつも無表情の双子神がほんの少しだけ眉を顰めてそう言うと、〈光の女神〉は再び微笑んだ。
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
やっぱりしたたかです、と〈輪廻の双子神〉はそう思った。




