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第2話:ただの「井戸」のつもりだったんだ

言葉が足りず失礼しました!「続きの具体的なシーン」というのは、単にストーリーを進めるだけでなく、「読者が一番見たいスカッとする場面(例えば、王都の連中が困り果てている様子や、ヒロインとの出会いなど)」をどう盛り込むか、という作戦会議のつもりでした。


もちろん、第2話は第1話の直後から、「なろう」の読者が「続きを読まずにはいられない」熱量で執筆させていただきます。


第2話のテーマは「無自覚なオーバーキル」と「美少女との遭遇」です。


第2話:ただの「井戸」のつもりだったんだ

荒野の朝は早い。

 と言っても、僕が作った石造りのコテージは【完全断熱】と【防音施工】が完璧すぎて、外の過酷な砂嵐の音すら一切聞こえないのだけれど。


「ふあぁ……。よく寝た」


僕はベッドから起き上がる。

 ちなみにこのベッド、そこらへんの土から抽出した炭素を分子レベルで再構成した『形状記憶カーボン・マット』だ。王都の高級寝具よりよっぽど寝心地が良い。


さて、朝の仕事は「現場の確認」からだ。


外に出ると、昨晩埋めた地底竜アースドラゴンがまだそこにいた。

 首だけ地面から突き出して、心なしかシュンとしている。


「おはよう、ドラゴン。昨日はよく眠れた?」


「グルル……(貴様、人間ではないだろう……)」


なんだか感心したような声で鳴いている。

 僕はその横に設置した「井戸(というか、昨日の水柱)」へ向かった。


一晩中噴き上がっていた水は、僕が昨夜寝る前に即興で作った「浄化槽兼貯水タンク」の中に溜まっている。

 見ると、水面が七色に輝いていた。


「お、いい感じに不純物が沈殿してるな。……ん? なんだこれ」


タンクの底に、キラキラと輝く青い結晶が溜まっている。

 僕はそれを一つ拾い上げてみた。


「ただのシリカ(二酸化珪素)にしては魔力が高いな。……まあ、砂利にでもするか」


彼が「砂利」と言い捨てたそれは、王都の魔術師が一生に一度拝めるかどうかの超高純度魔力結晶『神精石』だった。一個で城が建つほどの価値があるのだが、カイはそれを家の周りに「防犯用の砂利」として景気よく撒いた。


ジャリッ、ジャリッ、と贅沢な音を立てて歩いていると――。


「……あ、あれは」


視界の端に、昨日まではなかった「違和感」を見つけた。

 僕が撒いた水の飛沫がかかった周囲数百メートルが、一晩で『青々とした草原』に変わっていたのだ。


植物すら拒絶するはずのゲヘナ荒野に、奇跡の緑地。

 そしてその中心に、誰かが倒れていた。


「……行き倒れ? こんな場所に?」


駆け寄ると、そこにはボロボロになった白い法衣を纏った少女がいた。

 透き通るような銀髪に、雪のような肌。

 手には折れた聖杖を握りしめている。


「ひどい脱水症状だ。それに、この服……王都の聖教会の紋章?」


僕は迷わず彼女を抱え上げ、家の中へと運んだ。


***


「……ん、……ぁ……」


数分後。

 僕が汲んできた「井戸水」を口に含ませると、彼女――リリスはゆっくりと目を開けた。


「気がついた? はい、これ飲んで。ただの水だけど」


「あ、ありがとうございます……っ!? な、なんですか、この液体は!?」


リリスは一口飲んだ瞬間、弾かれたように飛び起きた。

 

「身体中の魔力が……洗われるようです。傷ついた回路が、一瞬で修復されていく……。これ、伝説の『聖杯の雫』ですか!?」


「いや、裏で湧いてる井戸水。飲み放題だよ」


「飲み放題!? 狂っています……!」


リリスは周囲を見渡し、さらに絶叫した。


「な、なんですかこの建物は! 壁から一切の魔力の漏洩がない……。いえ、むしろ外の魔力を吸収して内部の強度を高めている? こんな魔法、失われた神代の儀式魔法でも不可能です!」


「ああ、それはただの『プレキャスト・コンクリート工法』を魔力的に応用しただけで……」


「ぷれきゃすと……? いったいどこの賢者様なのですか、あなたは!」


彼女の混乱をよそに、僕は窓の外を見た。

 遠くの空に、王都の騎士団が使う「通信用の魔力弾」が上がっているのが見えたからだ。


「……騒がしいな。せっかく静かに工事を始めたのに」


一方その頃。

 王都のレオンたちは、阿鼻叫喚の渦中にいた。


「団長! 報告します! カイが補修していた東門の跳ね橋が、今朝がた理由不明の金属疲労で脱落! 運搬中の食料が全て川に沈みました!」


「何だと!? 予備の橋を架けろ!」


「それが……設計図がカイの独自規格すぎて、我々の土魔法では構造が理解できません! 下手に触ると城壁ごと崩落する恐れが……!」


「くそっ! あのゴミめ、死んでもなお迷惑をかけおって!」


レオンはまだ気づいていない。

 彼らが「ゴミ」と呼んで追い出した少年こそが、この国のインフラをたった一人で支えていた『世界の土台』そのものだったということに。


「……リリスさんだっけ。落ち着いたら、一緒に『道路』でも見に行く? 結構いい感じに舗装できたんだ」


「……は、はい。喜んで(このお方についていけば、世界が変わる気がする……!)」


聖女リリスを仲間に加えたカイの「快適すぎる開拓生活」は、ここから加速していく。

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