表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パレット  作者: 青原朔
127/129

ep96.なにを守るか

対黒局跡地。


崩れた建物。


焼け焦げた床。


まだ黒の残滓が漂っている。


瓦礫の奥。


能力結晶が、いくつも転がっている。


回収対象。


「反応、まだある」


星崎天音がスケッチブックを閉じる。


白パレットが、淡く光る。


神木春は周囲を警戒している。


暴食の半分が、静かに脈打つ。


「早く済ませよう」


水卜葵が、瓦礫の下から結晶を取り出す。


水の魔力で冷却し、安定させる。


その瞬間。


空気が、止まる。


瓦礫の上。


裸足の少年が、座っている。


白いシャツ。


透明な箱。


中に光が詰まっている。


強欲の王。


「来ると思った」


無機質な声。


でも、目は笑っている。


「僕の宝物」


結晶が、ふわりと宙に浮く。


葵の手から、引き離される。


「盗む気でしょ」


春が前に出る。


「回収だ」


「管理してたのは対黒局だ」


強欲は首を傾げる。


「今は僕」


指を鳴らす。


周囲の結晶が、一斉に浮かび上がる。


数十。


数百。


重力が乱れる。


天音が即座にページをめくる。


「借りるね」


フィジカルアップ。


ソードマスター。


ガンマイスター。


三重付与。


春が、低く呟く。


「葵、後ろ」


強欲が、笑う。


「ちょうだい」


その瞬間。


春の中の暴食が、反応する。


吸われる感覚。


黒パレットが揺れる。


天音の白パレットが、わずかに光を奪われる。


葵の水が、震える。


「能力、引っ張られてる……!」


強欲は、手を伸ばす。


「欲しいって思ったら」


「手に入るよ」


結晶が、弾丸のように降り注ぐ。


天音が剣で弾く。


春が黒を纏い、前に出る。


葵が水の壁を展開する。


衝撃。


瓦礫が吹き飛ぶ。


強欲は、動かない。


ただ、見ている。


「半分持ってるんだよね?」


春を見る。


「暴食」


一歩。


少年が踏み出す。


地面が、沈む。


「じゃあさ」


「それも、ちょうだい」


春の胸が、ドクンと鳴る。


暴食が、うずく。


王同士の反応。


これはただの能力戦じゃない。


奪い合い。


「やらせない!」


天音が距離を詰める。


白と黒が交差する。


葵が、水を刃に変える。


強欲が、初めて一歩後退する。


笑っている。


「いいね」


「壊してくれるなら、あげてもいいよ」


空が歪む。


これはテスト。


本気ではない。


でも。


春は理解する。


強欲は、


戦う王じゃない。


奪う王だ。


そして。


この戦いは、


“どれだけ守れるか”の戦いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ