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第6話 お会計は現金ですか?


食事を終えると学ランは今日泊まる場所をまだ決めていないと口にした。


「泊まる場所?さっきこの街に降りてきた時の建物じゃないのか?」


「あそこは地上と地下を行き来するための施設だ。主にお前のような仮会員を連れてくるのに使うから必然的に利用者も少ない。あそこから入ってきた連中は大抵あそこに泊まるものだと勘違いをする」


「じゃあどこに泊まるんだ?」


「地下街にいる人々の7割が地上を離れて地下で暮らしているが、そうした者たちは居住区という居住者専用の施設が多く建てられた場所に暮らしている。残りの3割が地上と地下とを行き来する者たちだ。居住区に住居を所有する者もいるが、大抵は地下街に来るたびにホテルを利用するのが普通だ」


「しかし、秘密の地下街にしては人の数が多いようだが、背の低い建物ばかりで泊まれる場所が足りてるとは思えないな」


「それについて心配する必要は皆無だ。地下街では3階建て以上の建物の建築は原則として禁止されているが、ホテルのような宿泊施設に限り、地下5階までの建設許可、つまり合計8階建ての建造物を設置することを認められている。この街への来訪者が急増しない限り、宿泊難民が発生するおそれはない」


「へぇ、変わったルールがあるんだな。だから、背が低い建物だらけだったのか」


「高層建築物の設置を許せば地下街ではなく地下都市になってしまうからな。街の規模が大きくなれば人が集まりやすくなるが、その分政府当局に露見した際のリスクが高まってしまう。あえて地下街と呼べるほどの規模に抑え込むことで、この街のようなクリティアス製品を取り扱っている場所を各地に分散させる狙いがあるのだろうな」


言い終えると学ランは茶を飲み干した。


「さて、食事も終えたところだ。そろそろホテルへと向かおうとしよう。と、その前に会計だが、この街では電子決済は利用できないが、お前は現金を持っているか?」


「ああ、問題ない。この街については聞かされなかったが、佐倉から連絡からの連絡があった時に現金を多く用意しとけと言われていた。一応、地上なら豪遊できるくらいの金は持ってきたつもりだ。」


「この街の物価は地上とそう変わらない。お前が求めているVRゲームについても佐倉への依頼料より安く済むだろう」


「そうか。それなら足りなくなるようなこともなさそうだ。安心したよ」


そう言ってから、俺はテーブルに置かれた伝票を手に取り、席から立ち上がった。


学ランも席を立ち、互いにレジへ向かい会計を済ませ、蕎麦屋を後にした。

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