十二 京都の準備
一月十八日。
京都では、国際会議に向けた準備が進んでいた。
会場となる建物には、警備員が配置され、各国の代表団を迎えるための設備が整えられていた。
昭和日本の警察と未来日本の警察は、共同で警備計画を作成した。
しかし、両者の考え方には違いがあった。
昭和日本側は、軍や警察による厳重な警備を重視した。
未来日本側は、参加者の安全と同時に、一般市民への影響を最小限に抑えることを求めた。
真壁宗一郎は、警備会議に出席していた。
未来日本の警察官、小野寺美咲も同席していた。
「会場周辺の交通規制は、必要最小限にしたいと考えています」
小野寺が説明した。
昭和日本の警察幹部が、少し不満そうに答えた。
「しかし、各国の要人が集まるのです。万一のことがあってはなりません」
「承知しています」
「ならば、周辺住民の立ち入りを制限すべきでは」
小野寺は、慎重に答えた。
「安全確保のための規制は必要です。ただし、住民の生活への影響も考慮すべきです」
警察幹部は、真壁を見た。
「大佐殿は、どうお考えですか」
真壁は、少し考えた。
「会議を守るために、京都の市民を敵に回してはならんでしょう」
小野寺が頷いた。
警察幹部は、少し驚いた顔をした。
真壁は続けた。
「警備は厳重に。しかし、必要以上に威圧的なことは避けるべきです」
警察幹部は、しぶしぶ頷いた。
「承知しました」
会議が終わると、小野寺が真壁へ声をかけた。
「大佐」
「何です」
「ありがとうございました」
真壁は、少し笑った。
「礼を言われるほどのことではありません」
「それでも、助かりました」
真壁は、窓の外を見た。
京都の街には、冬の陽光が差し込んでいた。
「この会議が、うまくいくといいですな」
小野寺は頷いた。
「はい」
真壁は、静かに続けた。
「しかし、会議が成功したとしても、戦争がすぐに終わるわけではありません」
「分かっています」
「むしろ、これからが難しい」
小野寺は、真壁を見た。
「それでも、始めなければ終わりません」
真壁は、少し笑った。
「その通りですな」




