九 朝鮮からの声
一月十四日。
京都会議の開催が報じられると、朝鮮半島でも動きが起きた。
日本の統治下にある朝鮮では、未来日本の出現に関する情報が少しずつ広がっていた。
未来の日本では、朝鮮は日本の領土ではない。
そして、朝鮮半島は南北に分断されている。
その情報は、朝鮮独立運動に関わる人々に衝撃を与えた。
中国・重慶に拠点を置く大韓民国臨時政府の関係者たちは、未来日本との接触を模索し始めた。
彼らにとって、未来日本は複雑な存在だった。
朝鮮の独立を知っている日本。
しかし、その独立が分断と戦争につながったことも知っている日本。
ある活動家は、会議で言った。
「我々は、日本から独立することを目指してきた」
同僚たちは頷いた。
「しかし、未来の朝鮮が分断されるというのなら、その歴史も変えなければならない」
別の男が言った。
「未来日本は、我々の独立を支持するだろうか」
誰も答えなかった。
未来日本の政府は、現代の国際法と人権の考え方を持っている。
しかし、昭和日本との関係を維持する必要もある。
その矛盾は、朝鮮独立運動の関係者にも理解できた。
それでも、彼らは京都会議への参加を求める書簡を送った。
書簡には、短い一文が記されていた。
『朝鮮の未来について、朝鮮人抜きで決めないでいただきたい。』




