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昭和十六年の日本国  作者: 秋雲 榛名


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十六 ベルリンへの報告


同じ日、東京のドイツ大使館からベルリンへ電報が送られた。

 内容は、未来日本の技術者誘拐事件についてだった。

 神谷修一少佐は拘束された。研究施設は火災によって焼失した。技術者は救出された。

 未来の航空機技術に関する有効な資料は、ほとんど入手できなかった。

 しかし、電報の最後には、別の一文が添えられていた。


『未来日本の技術者との接触は、今後も可能と考えられる。正式な外交交渉とは別に、情報収集を継続する必要あり』


 ベルリンでは、その電報が外務省から軍関係者へ回された。

 未来日本。八十五年後の国家。未知の技術。

 そして、未来の歴史。

 ドイツにとって、それは単なる外交問題ではなかった。

 現在の戦争を変える可能性を持つ存在だった。

 しかし、ドイツ政府の中にも意見の違いがあった。

 未来日本と正式に交渉すべきだという者。

 昭和日本を通じて情報を入手すべきだという者。

 秘密工作によって技術者を確保すべきだという者。

 そして、、、未来日本の情報、そのものを信用すべきではないという者・・・

 その議論は、やがてヒトラーの耳にも届くことになる・・・・

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