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昭和十六年の日本国  作者: 秋雲 榛名


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十二 残された手紙


神谷修一は、陸軍の管理下に置かれた。

 三浦隆文は、未来日本の医療機関へ搬送された。

 幸い、命に別状はなかった。

 しかし、事件はそれだけでは終わらなかった。

 焼け跡から、いくつかの資料が見つかったのである。

 未来日本の航空機に関する記事。

 技術者の名前を記した一覧。

 ドイツ語の文書。

 そして、神谷が書いたと思われる手紙。

 真壁は、その手紙を読んだ。

 宛先は、明記されていなかった。

 しかし、内容から、ドイツ側の協力者へ送る予定だったことは明らかだった。

 そこには、未来日本の技術者を確保したこと、航空機技術の調査を進めていること、今後さらに高度な技術情報を入手したいことが記されていた。

 最後の一文を読んだとき、真壁は手を止めた。

『航空機のみならず、未来の戦争を決定づけた兵器についても調査を進める必要あり』

 未来の戦争を決定づけた兵器。

 真壁は、その意味を考えた。

 未来日本から提供された資料には、広島と長崎の被害が記されていた。

 原子爆弾。

 真壁は、その名前を知っていた。

 しかし、どのような仕組みで動くのかは知らない。

 ただ、一発で都市を破壊する兵器だということだけは理解していた。

 もし神谷が、その技術まで求めていたのなら。

 真壁は、背筋に冷たいものを感じた。

 彼は、すぐに東條へ報告した。

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