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昭和十六年の日本国  作者: 秋雲 榛名


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十二 昭和天皇の問い


 五月二十五日、昭和日本・東京。


 東條英機は、昭和天皇へ最近の情勢を報告していた。

中国との停戦協議。

関東軍の秘密研究計画。

ドイツとの外交関係。

そして、未来日本で起きている歴史改変現象。

昭和天皇は、静かに聞いていた。

「未来日本では、人が消えているというのか」

東條は、慎重に答えた。

「そのような報告がございます」

「なぜだ」

「歴史が変化した影響ではないかと考えられております」

昭和天皇は、しばらく黙っていた。

「では、我々が戦争をやめれば、未来日本の人々が消えるのか」

東條は、すぐには答えられなかった。

「その可能性があるとされています」

昭和天皇は、静かに続けた。

「しかし、戦争を続ければ、多くの人が死ぬ」

「はい」

「難しいことだな」

東條は、頭を下げた。

昭和天皇は、しばらく考えた。

「未来日本の人々を救うために、戦争を続けるべきだという者も出てくるのではないか」

東條は、顔を上げた。

「そのような意見が出る可能性はあります」

「お前は、どう考える」

東條は、慎重に答えた。

「陛下。私は、帝国の国民を守ることが第一の責務と考えております」

昭和天皇は、黙って聞いていた。

「しかし、未来日本の国民も、同じ日本人であります」

東條は続けた。

「両方を守る方法を探すべきだと考えます」

昭和天皇は、静かに頷いた。

「そうか」

しばらく沈黙があった。

昭和天皇が、再び口を開いた。

「未来を知ることは、必ずしも幸せなことではないのだな」

東條は、深く頭を下げた。

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