第三話 秘密の時間
それから。
毎日。
私達はゲームで会うようになった。
学校では普通。
ゲームでは親友。
そんな奇妙な関係。
『ユズ』
『ん?』
『これ作った』
『え?』
取引画面が開く。
そこには高性能な杖。
『ちょっと待って』
『どうした?』
『これ素材集め何日かかると思ってるの!?』
『三日くらい?』
『正解だけど!!』
思わず叫んでしまう。
彼はいつの間にか生産職まで極め始めていた。
しかも。
『ユズが使うかなって』
「……っ」
画面の前で固まる。
私のために?
わざわざ?
そんなことを考えてしまった自分に慌てる。
『ありがとう』
『どういたしまして』
短い返事。
だけど。
嬉しかった。
すごく。
『アイト』
『うん』
『ゲーム楽しい?』
少しだけ気になって聞いてみる。
すると返事はすぐに来た。
『楽しい』
『そっか』
『ユズと遊ぶのが楽しい』
「……え?」
一瞬。
心臓が止まりそうになった。
『ゲームが、ね』
『紛らわしい!!』
『ごめん』
チャット欄に笑顔のスタンプが流れる。
その瞬間。
私は気付いてしまった。
もっと話したい。
もっと一緒に遊びたい。
もっと知りたい。
風原藍斗という人のことを。
だけど。
その気持ちに名前を付けるには。
まだ少しだけ早かった。




