第二話 放課後の冒険者
よろしくお願いしますm(__)m
その日の夜。
私は自室のパソコンの前に座っていた。
画面には見慣れたタイトル画面。
ルミナス・オンライン。
サービス開始から五年。
決して有名とは言えないが、根強い人気を持つMMORPGだ。
私が中学生の頃から遊び続けている大好きなゲームでもある。
「さて、と」
ログインすると、見慣れた噴水広場に降り立つ。
銀色のローブを纏った魔法使い。
私の愛用キャラクター『ユズ』だ。
するとすぐにチャットが飛んできた。
『こんばんは』
「おっ」
差出人はアイト。
風原くんのキャラクターだ。
『こんばんはー!』
『待ってました』
『まだ始めて一週間なんだけどね』
『十分すごいよ』
そう。
問題はそこだった。
風原藍斗。
彼はゲームを始めてまだ一週間。
なのに。
「いやいやいや、おかしいでしょ……」
私はステータス画面を見て呟く。
レベル。
装備。
スキル構成。
どれも新人とは思えない。
というか。
『ねぇ』
『うん?』
『なんで回避タイミング全部成功するの?』
『感覚かな』
『感覚!?』
ボス戦で重要になるジャスト回避。
普通は何十回も失敗して覚える技術だ。
それを彼は。
初見で成功させた。
『なんか光る瞬間が分かるから』
『それを才能って言うの』
『そうなの?』
本人に自覚がないのが一番恐ろしい。
そんな会話をしながらダンジョンへ向かう。
モンスターの群れ。
連携攻撃。
強敵との戦闘。
気付けば二時間が経っていた。
『今日はここまでかな』
『うん』
『ありがとう』
『こちらこそ』
チャットのあと。
少しだけ沈黙が流れる。
ゲームの中なのに。
なんだか名残惜しい。
『じゃあまた明日』
『また学校で』
その言葉を見て。
なぜだろう。
胸が少しだけ温かくなった。
◇◇◇
翌日。
「おはよう」
「お、おはよう」
隣の席。
風原くんはいつも通りだった。
静か。
無表情。
窓の外を見ている。
昨日のアイトとはまるで別人だ。
(本当に同一人物だよね……?)
昨日はあんなに話したのに。
学校では会話が続かない。
女子達も相変わらず彼を遠巻きに眺めている。
「風原くんって格好いいよね」
「話しかけづらいけど」
「彼女とかいるのかな」
そんな声が聞こえてくる。
すると。
ふいに。
机の上に小さなメモが置かれた。
『昨日の続き、今日もできる?』
「!」
顔を上げる。
風原くんは相変わらず窓を見ている。
でも。
耳が少しだけ赤かった。
私は慌ててメモを書く。
『もちろん!』
返事を渡す。
すると。
彼の口元がほんの少しだけ緩んだ。
その笑顔を見たのは。
たぶん私だけだった。
ありがとうございます!




