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第十二話 旅の夜
最初の一週間。
最初の一か月。
時間の感覚は少しずつ変わっていった。
朝起きる。
戦う。
食事をする。
眠る。
また朝が来る。
ゲームだったはずなのに。
まるで現実だった。
疲れるし。
お腹も空く。
怪我も痛い。
怖い。
辛い。
でも。
隣にはいつもアイトがいた。
◇◇◇
ある夜。
焚き火を囲んでいた。
静かな森。
満天の星空。
「ねぇアイト」
「うん」
「現実に帰れたら何したい?」
少し考えて。
彼は答える。
「普通のこと」
「普通?」
「学校行って」
「うん」
「君と話したい」
「……え?」
心臓が跳ねる。
しかし。
本人は焚き火を見つめたままだ。
「学校だと上手く話せないから」
「そうなの?」
「うん」
「意外」
すると。
アイトは少しだけ苦笑した。
「ゲームの中の方が素直になれる」
その横顔が。
なぜだろう。
少し寂しそうに見えた。
◇◇◇
私は知らなかった。
その言葉が。
彼の本音だったことを。




