表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
藍色吐息  作者: 久遠 ヒカリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/20

第十話 ログアウト不能

 街は混乱に包まれていた。


「ログアウトできない!?」


「運営は何してるんだよ!」


「バグだろ!? 早く直せ!!」


 広場に集まったプレイヤー達が口々に叫ぶ。


 しかし。


 誰もログアウトできなかった。


 私――ユズも。


 アイトも。


 そして、この世界にいる全プレイヤーも。


 空に浮かんでいた赤い文字はいつの間にか消えている。


 まるで最初から存在しなかったかのように。


「……」


「ユズ」


 隣にアイトが立つ。


 いつも通りの落ち着いた声。


 それだけで少し安心した。


「どうしよう」


「分からない」


「怖いよ……」


 初めて弱音が漏れた。


 すると。


 アイトは少しだけ迷ってから言う。


「大丈夫」


「……」


「僕がいる」


 短い言葉だった。


 でも。


 その一言だけで。


 涙が出そうになるくらい安心してしまった。


 私は小さく頷く。


「うん」


 そうだ。


 一人じゃない。


 アイトがいる。


 それだけが救いだった。


◇◇◇


 その日の夜。


 二人は街の宿屋へ向かった。


 当然のように利用できると思っていた。


 しかし。


「一泊百五十ゴールドになります」


「え?」


 受付嬢が微笑む。


 あまりにも自然に。


 生きている人間のように。


 いや。


 人間そのものだった。


「えっと……」


「どうかなさいましたか?」


 困惑する私。


 アイトが代わりに料金を支払う。


 宿屋を出た後。


 私達は顔を見合わせた。


「NPCだよね?」


「そのはず」


「でも……」


「生きてるみたいだった」


 そう。


 まるで本当に生きていた。


 表情も。


 仕草も。


 声も。


 感情も。


 全てが。


 ゲームのNPCとは思えなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ