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クールな白刃さんはデレで殺す  作者: アオカラ
第二章 二人の想い
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第42話 日頃の気持ち


「「誕生日おめでとう!」」


 白刃さんを家に招き、玄関の扉を開けると先に待機してもらったカズと姫から「パン! パン!」とクラッカーの弾ける音と共に迎えられる。


「……あ、あれ? 打ち合わせと違くない?」

「何言ってんだあきと、打ち合わせ通りだぜ!」

「そうよ、ドッキリ成功よ。御船は自分の作った策に溺れて、ハメられたのさ」

「な、なんだって……!?」


 素で驚く。

 本当はテーブルでケーキを囲む時、僕の部屋で待っていた二人も登場して白刃さんを祝う手はずだったけど。どうやら、カズ達も別で作戦を建てていたようだ……。


 驚愕で頭が回っていない僕に対して、カズは説明役を買って出る。


「だってなぁ? もし俺らが隠れてても、白刃には気配で気付かれるって思ったしな」

「そうそう。となればチャンスはあんたら二人が帰ってきた瞬間しかないわけだ」

「な、なるほど……」

「ありがとうございます。とっても素敵なドッキリです」


 声色は落ち着いているのに、ほんの少し目が輝いているのを見て、僕らは心の底から白刃さんが喜んでいるのを理解する。


「さ、んじゃパーティしましょ。ジュースもケーキもあるし、ゲームも持ってきたし!」

「お! みんなで対戦できるゲームだな!」


 姫はテレビにも繋ぐことができる携帯ゲーム機を取り出し、頭上に持ち上げながら満足気に笑う。どうやらそっちが楽しみのようだ。


「ふふ、今日が月曜日であることを忘れてしまいそうです」


 週の始まりから、こんな遊び全開モードになっているのは同じ学校内で見ても、きっと僕らぐらいだろうな。


 *


 僕は昨日、ガトーショコラとさらにもう一つ、手軽に作れるチーズケーキを作っておいた。四人でパーティとなれば足りなくなるかもと予想して準備したわけだが、特にカズと姫にはチーズケーキの方が好評だった。


「うま……あきと、すげぇ……」

「表面の焦げも合わさって、中は甘いのに外のほろ苦さでバランスが良い……」

「それは良かった。バスクチーズケーキほどじゃなくても焦げがあると、ちょっと美味しくなるよね」

「バスク?」

「ほら、表面が真っ黒のチーズケーキ」

「へえー、あれってそういう名前なんだ」


 ぱくぱくと我も忘れて食べまくるカズと違って、姫は僕と軽くおしゃべりする。

 ちなみに、隣で白刃さんも無言でガトーショコラを食べてる。目がキラッキラしていた。


「じゃあもしかして、これって意図して付けた焦げなの?」

「そう、バーナーで軽く炙ってね」

「調理器具を選ばなくて良かったわ……なんでも持ってるな御船……」

「ん? 調理器具がどうかした?」


 姫はばっと口元を隠すように押さえたが、諦めたようにすぐ離す。


「まぁ、いっか。もったいぶってもあれだし」


 そう言って鞄から小さな紙袋を二つ取り出し、僕と白刃さんへ渡してくる。


「はい、誕生日おめでとう。これは私達の日頃のありがとうの気持ち」

「ええっ!? そんな悪いよ!」

「重箱を持ってくる奴らに良いも悪いもあるかってんだ。受け取ってくれないと私達も帰らないぞ」

「そ、そんな脅しの仕方ある!?」

「高い物でもないし、良いのよ。受け取って」

ほうはよ(そうだよ)!」


 カズはごくんと口の中にあったケーキを飲み込んで、改めて言い直す。


「俺、白刃とあきとのおかげで最近の学校生活が楽しいしな! だから祝いたかったんだ! ホント、友達になってくれてありがとうな!」


 むず痒くなるようなセリフを言いながら「にかっ」と屈託のない笑顔を浮かべるカズを見て、僕の罪悪感は一瞬でほだされてしまった。


「……うん、こちらこそ、ありがとう……」

「おん? なんだ御船、涙声だぞ」

「ぐすっ……嬉し泣きです……」

「そかそか、なら良いさ」


 袖で涙を拭いてる僕を見ても、茶化すこともせず微笑ましく見てくる姫。

 良い友達に囲まれた事を再認識すると、またもや涙が出てきそうだった。


「開けてみても良いですか?」


 プレゼントを受け取った白刃さんが泣いててすぐ喋れない僕の代弁をしてくれる。


「どうぞ。多分気に入ってくれると思うよ」

「同人誌ですか?」

美銀みしろ、それはまた別の機会にな? このメンバーで集まってる時にそのプレゼントは冒険し過ぎだろ!?」

「ふふ、冗談です」


 姫はやれやれとおでこに手を当てて苦笑する。そんな反応を楽しみながら、白刃さんはラッピングの封を解いていく。


「……まぁ。これは、バスボムですか?」

「そ、ちなみに御船も一緒だよ」

「えっ! ホントに!?」

「おお、意外と好反応。カズの予感は的中したわね」

はろ(だろ)!」


 飲み込んでから言え、といったジェスチャーを姫はカズに送っていた。

 紙袋の中には、様々な自然の情景をイメージしたバスボムが入っている。森だったり、海だったり、あるいは火山だったり。


「いやさ、実はこういうのって男だけだと買いづらかったから……気になっていたんだ……!」

「ほーん、それは何より。近くのショッピングモール内にある店だし、また今度行ってみたら? 美銀でも連れて」

「……ええっと、まぁ、そうですね~……」


 曖昧な返事をしてしまう。だってそれ、実質デートみたいなものだし。


「……二人きりで、とまでは言ってないわよ?」

「あ、そ、そうですね!? 確かに! 姫でもいいわけだ!」

「は? 誰でも良いってことか? それ失言だぞ?」

「うぐぅっ!?」


 くっくっくと声を殺してカズは笑っている。隣では白刃さんが目を閉じている。彼女は感情を抑えきれない時、悟られないようにするため目を閉じる人であることを知っている。大抵それは、笑っている時。


「部の女子で誰でもいいから連れていこうとか思ってない?」

「え、ソンナコトナイデスヨー?」

「ちゃんと人を選びなよ? 買い物に付き合わせるとかなったら『そういう気持ちが私にあるのかな?』とか勘違いされるぞ?」

「あっ……はい。ご忠告、痛み入ります……」


 女性から指摘されたのだから、必ず覚えておかないと……。

 気分を入れ替えるため紅茶の入ったカップに口を付けて、それがもう空になっていることに気付く。


「あ、お茶もう無くなったね。新しく淹れるよ」

「じゃあその間、あたしはゲームの準備でもしますか。みんなやるでしょ?」


 姫の呼びかけにみんな頷く。


「じゃ、本気で遊びますか」


 首を回してコキコキと音を鳴らし、眠り姫は武神の闘志を呼び起こす。

 彼女は合気道をしているからゲーム外でも普通に強い人なんだけど、ゲーム内の方が本気を出せる人のようだ。

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