第8話
前回は変なとこで切ってすみません。
ラメールは、ロージュがクレールを見た瞬間クレールを下におろした。これ以上この少女を抱き上げていたら、隣の母親に殺されかねない。
(こんな殺意のこもった眼で見られたのは、生まれて初めてだよ。)
それもそのはず、ラメールは伯爵家の人間なのだ。この国は、貴族の人数は他の国と比べてとても少ない。国民の半分以上は平民だ。貴族は、ほかの貴族に対して殺意を向けるより心の内をばれないように愛想笑いをする。平民は、まず貴族と話さない。ラメールは、自分に隠そうともせずむき出しの殺意を向けてきた女性を見て息をのんだ。
(こんなに美しい人は、初めて見た)
ロージュは、クレールに似ている光沢のある綺麗な赤髪を持つ美しい女性なのだ。クレールと違うところといったら、瞳の色が綺麗な空の色なのだ。それ以外は、赤の他人が見てもこの親子はそっくりだった。ラメールは、殺意を向けられていたことも忘れて、ロージュを見ていた。
そんなことも、つゆ知らずロージュはクレールと話していた。
「どういうこと、クレール。」
「あのね、お母さんに、髪留めを、届けたかったの。お母さんが、困ると、思ったから。だけどね、門が、おっきくて、怖くて、だから、どっかから入れないかと、思って、お屋敷のね、周りを歩いてたら、穴を、見つけてね。そこから、入ろうと思ったの。でも、引っかかって、出れなくなって、困ってたら、そこの貴族様が、助けてくれたの。でもな、勝手に入ったから、バツとして、家族みんな殺される、思ったの。・・・・ごめんなさい。」
謝りながらクレールは、母親に髪留めを差し出した。泣き止もうとしたけど、子供の体では感情のコントロールが難しい。クレールは涙をいっぱい流してうつむいていた。涙を拭きたかったけど両手の上に髪留めを置いて母親に差し出していたから無理だった。うつむいていたからクレールは気づかなかった。ロージュが、とてもやさしい目でクレールを見ていた事を。それを見ていた、ラメールの驚きと顔の赤さを。
「確かにそれは、いけない事ね。」
クレールは、それを聞いて体をビクッと震わせた。それを見たロージュは、クレールを抱きしめて言った。
「でもね、クレールのその気持ちが嬉しい。ありがとう。大丈夫よ。一緒に謝りましょう。」
クレールは、母親の『ありがとう』や『大丈夫』を聞いて、嬉しいやら悲しいやらで感情がごちゃごちゃになってロージュを抱きしめ返して思いっきり泣いた。クレールが泣いている間、ロージュはクレールの頭を優しくなで続けていた。そして、泣き止むまでなで続け、ラメールはその光景をとても神々しいと思いながら、見続けていた。
親子が抱き合うシーンって神々しく見えませんか?




