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善悪のなんでも屋  作者: しょぼん
第一章 『イヌホオズキ』
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捜索2

「さて、第二ラウンドですね」


 エリスを城に送り届け、誰もいない路地裏でつぶやく。既に空は暗闇に包まれ、街灯や家の窓から漏れ出る光が鮮明にこの瞳に映っている。

 朝から夕方にかけて捜索、聞き込みをしたが情報はゼロだった。やはり闇市場(ブラックマーケット)に流されている可能性を考えたほうがいいか。もう売られてしまっているというのが最悪のケースだが希少種の宝石獣(カーバンクル)だ、即刻売られることは無いだろう。 捕まってしまっているかまだどこかに彷徨っている可能性に賭けよう。


「パチッ」


 と指を鳴らし影から3体の分身を出す。 

 何か手がかりがあったら本体に連絡、見つからないように尾行、戦闘は極力避ける、見回りの兵士に見つからないようにする、と命令を出し四方へと捜索を開始した。

 魔力を限りなく制限し隠密に行動する。闇市場は少数の貴族やその知り合いで構成される会員しか入ることが許されない。


「はぁ、こういう時に『店長』が居れば助かるのですが…っと」


 そう考えていると分身から『怪しげな人間が魔獣を連れて歩いている』と報告が入った。視覚を共有して観察する。

・性別不詳

・背は170くらい

・フードを被っている

・魔力がゼロ?

・魔獣は檻の中

 魔力がゼロということは何らかの魔導具を使っている+フードを使って顔を隠している+魔獣を運んでいる?運んでいる魔獣がメルの可能性も十分あるし、そこから手がかりを見つけられるかもしれない。


「パチッ」


 と指を鳴らし分身と自分の位置を入れ替える。


「さて、このまま順調に進めば良いのですがね」


 ここから私は尾行を続けた。幸い、尾行に気付かれることはなかったが一つ問題が起こる。


「うわ」


 尾行をしていた人物が壁に溶け込んでいった。すぐに後を追い、その壁の前に立つ。試しに右手を壁に触れさせるが溶け込むことは無かった。


「困りましたね」


 何か特定の条件があるのか、特定の人物の登録は詰んでいるし合言葉とか楽なものだと助かるのだが。


「影に潜り込むのは…ダメっぽいですね」


 結界が張ってあるかどうかは分からないが私の能力では壁の中の空間を認識できなかった。

 この状況から出来ることを考える。

1,壁周辺の影に潜み情報をゲットできる可能性に賭ける

2,壁から出てくることを期待して待ち、拉致して情報を聞き出す

まあ、この2つだろう。2番目はあまり気乗りはしなかった。兵士に見つかる可能性もあるし相手が実力者だった場合、最悪こっちが捕まることもあるからだ。

 立ち止まって、考えていた時


「!」


 突如、壁の中から手が出てきた。反射的に地面の影に潜り込んで一定の距離を取る。出てきたのは尾行をしていたフードの人物。魔獣を中に入れていた檻は持っていなかった。周りに誰もいないことを確認してから口を開く。


「はぁ、やっと終わった」


 声が聞こえた。男のような低い声


「家に帰ってさっさと寝よう」


 フードの人物はすぐに歩き出した。すかさず尾行を再度開始する。この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいけない。

 あの壁から少し離れたところで影を伝ってフードの人物を見下ろす形で建物の屋根に立つ。指を鳴らし、フードの人物の視界に少し映るように分身を出す。


「チッ、兵士か?」 


 とっさに身を隠し別の道を小走りで進み出す。あの人には悪いが逃すわけにはいけない。再び分身を出す。


「おいおい、運が悪すぎんだろ」


 また、道を変える。誘導されているとも知らずに進み続ける。


「あ?行き止まりかよ」


 フードの人物はかなり苛ついている様子だと分かる。私は気付かれないように背後まで近づいた。


「はぁ、しゃーないし引き返…‥」


影縛(えいばく)


 声を上げる暇もなく無数の影の手がフードの人物を拘束する。


「んぐ!…んー!」


「すみません、少々手荒ですがこのまま移動させてもらいます」


 そのまま、フードの人物を影に引きずり込ませてなんでも屋へ運ばせる。分身をしまってから自分もなんでも屋へと移動した。








 



 


















 









 

 

 


 


 



 

 

 

 





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