嘘つき
『お母様!』
『ふふ、気をつけて。転ばないように来なさい』
しかし、幼い彼女はエリスは走って母親に抱きつく。天使のような微笑みでエリスを迎える。
『お母様、お母様。私ね私ね』
『はいはい、落ち着いて』
『魔法を使えるようになったの!』
『それは、凄いわね!』
『そうでしょー、えっへん』
むふーという顔をしながら自慢気に話す。
エリナが手を伸ばし、エリスの頭を撫でる。優しい手つきだった。それが幼いエリスは大好きだった。
『エリス』
『…どうしたのですか、お母様?』
エリナの顔が険しくなった。真剣な眼差しでエリスを見つめる。
『確かに、貴方の年齢で魔法を使う事が出来るのは凄いことよ。でもね、その力を人を傷つける事に使ってはダメよ。人を守る事に使いなさい』
『うん!分かった。なら私、お母様を守る魔法使いになる!』
『ふふ、ありがとう。でも、私以外の人達も助けてあげてね。世界には困っている人達がたくさんいるから』
『約束しましょうお母様!』
そう言ってエリスは右手の小指を差し出す。エリナもそれに応え小指を前に出して、絡ませる。
『分かった、お母さんとの約束よ』
『うん!』
エリナの右手の甲には赤い花の紋様があり、『四つ花』である事が分かる。昔は騎士団で副隊長をやっていたらしい。
エリスの右手の甲にも赤い花の紋様があった。あるのは当たり前だ、無いと魔法が使えない。
しかし、『何か』が違った。
花弁が、『二つ花』の証明のである2枚の花弁。違う、『3枚』の花弁が刻まれてあった。
それは、『三つ花』の証
間違えようのない、自らの記憶
目が覚めた。自分の右手の甲を見る。
「花弁は…2枚」
『2枚』の花弁
間違えようのない、自らの視覚で得た情報
直後、頭痛がはしる
「ぐっ…!」
あまりの痛さに声を漏らしてしまった。
考える
なぜ、今更この記憶が?
なぜ、今まで違和感を覚えなかった?
そこで、コンコンコンとドアがノックされた。
「お嬢様、おはようございます。着替えのお時間ですが、入ってもよろしいでしょうか?」
時計を見る。もう、朝ご飯の時間だった。
慌てて
「少し待っていてくださいね」
と言葉を返し、ベットから出て朝の準備を始めた




