お待ちしておりました
一人の少女は立ち止まっていた。『なんでも屋』という看板の前で。しかし、これ以上立ち止まる必要はない。
「ようやく!」
少し笑みが溢れた。「いけない」とすぐに顔を修正。数度、深呼吸をして扉を開ける。
瞬間、ドン! バリン!ガッシャーン!と聞きたくもない音が耳に入ってくる。観葉植物などが割れ、土煙が部屋中に充満する。
「ゴホ ゴホ ちょっと待ちなさいミヤ暴れないで‼︎」
と男の声が聞こえた。黒い見覚えのある猫が私に飛び込んでくる。反射的にキャッチした。
「ゴホ すいません お怪我はありませんか?」
白髪の黒縁のメガネをかけた男性が問いかける。首筋には黒い花の紋様があった。
「大丈夫です。貴方の方こそ大丈夫ですか?」
「ご心配ありがとうございます。すいません、すぐ片付けますので。」
と男性が言う。周囲の影から手のようなものが無数に出てくる。
「‼︎」
倒れた家具や割れた食器を瞬く間に片付けてしまった。ついでに胸の中にいるミヤと言う名前らしい猫も「みゃお」と若干不満そうな鳴き声をして『黒い手』に連れ去られて行った。
「度重なるご迷惑、申し訳ございません。ミヤ盗んだものを返しなさい。」そう男性が言うと
「みゃお」
とまた、不満そうな鳴き声が聞こえてから、体の中から金色の腕輪が出てきた。その腕輪を咥え私に近寄ってくる。
「ありがとう。もう盗んじゃダメよ。」
「さて、お待ちしておりました。お客様、本日はどの様なご用件でしょうか?」
男性が言う。その言葉には妙な魅力があった。
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