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善悪のなんでも屋  作者: しょぼん
第一章 『イヌホオズキ』
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誰かさんの手のひらの上②

「それは本当ですか!?」


「恐らく、100%とは言い切れませんが」


 カルティナ王国の城のとある一部屋で会話が繰り広げられている。レイは昨日のカールから得た情報を分かり易くエリスに伝えた。


「良かった……メル」


 探しているペットの宝石獣(カーバンクル)が無事だと知ると、すぐに安堵の表情を浮かべた。


「レイ」


「はい、何でしょうか?」


「今日、メルを助けに行くのですか?」


「……」


 どうしたものだろうか。ここで言ってしまっては彼女も「一緒に助けに行く」なんて言うかもしれない。エリスには悪いが一人で行かせてもらおう。


「レイ?」


「あぁ、すいません。今日は行きませんよ。もう少し情報が欲しいですし」


 微笑み彼女を安心させるように言葉を放つ。


「そうなんですね。では、明日の何時頃向かいましょうか?」


「……えーとですねー」


「はい?」


 まさか想像していたことがこんなにも早く起こるとは……。


「助けに行くとして、エリスは連れて行きません。私一人で行きます」


「なんでですか!」


「危険だからに決まっているでしょう」


「別にいいじゃねぇか」


「そうですよ。別にいいじゃないですか!」


「ダメですよ。まったく……って」


「「えっ?」」


 エリスとレイの二人が同時に言う。声が聞こえた方に目線を向けると、どこか身に覚えがある金髪の青年がまるで最初からこの部屋に居たようにと立っていた。エリスはすぐさまレイの後ろに隠れて怯えている。


「だ、誰ですか?」


 レイの後ろに隠れたまま当然の質問をする。


「よっ、昨日ぶりだなレイ。それと、そっちは初めましてだな」


「知り合いなんですか?」


 エリスは戸惑いながらもレイに問いかける。


「そうですが……なぜここに?そもそもどうやって……」


 自分の様に花持ちであればバレずに侵入は出来るかもしれない。だが、彼は花持ちじゃない。となると魔導具か?いや、そうだとしても城に侵入するのは簡単じゃない。私の様に技術を極めなければ……


「五つ花の知り合いがいてな、侵入に協力してもらった。……っとそこまで怖がんないでくれよ。第四王女様」


 未だ、私の後ろに隠れているエリスになだめるように言った。私の服を掴んだままカールに対して口を開く。


「怪しいです。なぜ侵入したのかを教えてください。答えになっていません」


「そうですね、そこを教えてください。カール」


「なんだよ、ひでぇな。手伝いに来てやったんだよ。俺がいた方が楽に進むだろ」


「手伝いに来てやった?」


「そうだぜ、第四王女様。なぁレイ、今日だろ宝石獣を取りに行くのは?」


「……それは本当ですか。カール」


 エリスがいつの間にか『カール』と名前で呼んでいる。さらに、さっきの言葉には苛立ちが少し含まれている感じがした。


「お、おう。昨日の夜にレイと話し合いをしててな、そこで言ってたんだよ」


 これはまずい。非常にまずい。なぜこうもタイミングが悪いのか。


「レイ」


「……はい。何でしょうか?」


 恐る恐る彼女の顔を見ようとする。


「なんで本当のことを言ってくれなかったんですか。……そんなに私は信用できませんか」


 声が震えていた。顔は下を向いており、見ることが出来ない。服を掴む力はいつの間にか強くなっている。


「信用していないわけではありませんよ。ただ、貴方を危険な目に合わせたくないだけなんです。」


「信用していないわけでは……ないんですね?」


 エリスが目を合わせ、私に問いかける。


「それはもちろん。神に誓ってもいいですよ」


 こちらもエリスの目をまっすぐ見て笑顔で答える。少しの間、目を合わせ続けるとエリスがニコッと笑った。


「その顔ずるいです」


「エリスも私のことを信じてください。必ずメルを助けます」


「はい!」


「話は終わったか?」


 カールが居心地悪そうに壁に背を預けこちらを見ている。


「手伝ってくれるんじゃないんですか?」


「冗談だよ。んじゃ、まだ時間あるしちょっと出かけるか」


「どこにですか?」


「おいおい、明日は建国祭だぜ。屋台とかはちょっとぐらいやってるとこもあるだろ。見に行ってみようぜ!」


 子供のようにキラキラした目でこちら側を見る。


「いいですね!行きましょうよ、レイ」


 エリスも同様にキラキラした目でこちらを見る。


「一緒に行くなら明日でいいでしょう」


 レイはカールにもっともらしい意見を述べた。


「明日、仕事が入っちまったんだよ。それにこれまで一人でしか建国祭に行ったことねぇんだよ。雰囲気だけでも味あわせてくれよ。」


 そういえば彼はソラティス家だったか。小さい頃からずっと一人で生きてきた可能性があるのを忘れていた。失態だな。


「レイ、行ってあげましょうよ」


「……そうですね。行きましょう」


「お前なら、そう言ってくれると思ったぜ!」


 カールがガッツポーズをしている。嬉しさを隠しきれていないようだ。


「それじゃ、二人とも少々お待ちを」


 エリスの分身を作り出し、エリス本人を能力で変装させる。


「そんな事もできるのかよ。なんでも屋抜けてこっち来ねぇか?」


「遠慮しておきます」


「ちぇっ、つまんねーの」


「では、二人とも私に捕まってください。移動します」


 そう言って影の上に立ち外へ移動した。建国祭は明日だが、それなりに装飾が付け終わっており周りも賑やかだった。


「うっし、見て回ろうぜ!」


 カールは移動するなり屋台の方へ走っていった。


「行きましょう!ほら、レイも」


 エリスに手を引っ張られ、はしゃいで先に行ってしまったカールについて行く。


「もうちょっと落ち着いてくださいよー!二人とも!」


 レイは二人に呼びかける。だが、二人の勢いは留まることを知らなかった。


 






















 



















 






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