拠り所‐じゅうにこめ
ザクザクと緑の落ち葉を踏み、歩みを進めていく。生気にあふれたそれのおかげか三人の足は軽やかであった。
「ねぇアスカ?その・・・・ひとつお願いがあるんだけど。」
「ん?いいよなに?」
体ごと傾け、アキナの話に耳を向ける。
「あのね、少しだけ故郷の様子がみたい。だから依頼の前にさ、すこしだけ立ち寄っていい?」
アスカが依頼書と並行して、地図に目を通す。
「うん、いいよ。じゃぁ依頼の前にアキナの実家に向かうか。少し遠いけど、まぁゆっくりいきましょうや。」
「うん。」
「・・・・・・急にどうしたの?」
「いや、なんかやりたいことっていうか、目標みたいなのがぼんやりだけど決まったから、報告だけでもしようかなって。やりたいこと、その・・・・・なんかね、困ってる人の拠り所をつくりたいなって。ふと思ったの。いや今までも思ってたのかもだけどね。」
「ふーーん。」
「なによ?」
「いいね。いいけど・・・・・なんか元気ない?」
「だいじょぶ・・・・きっと気のせいよ。ほんと一瞬様子を見たいだけだから。悪いけど伝えるだけで、あなたたちとはまだ一緒にいるつもり。ただ・・・・・・・・ただほんの少し、様子を見たいって思っちゃったのよね。」
アキナは、黒目の半分を隠しながら、俯く。しかしすぐさま顔をあげ、指さし、歩幅を大きくしながら歩き出す。
「ほら、行くわよ。」
「うん。」
返事に続いてアスカも話題を投げる。
「そういえばさ、今回の依頼にさ、”親殺し”って書かれてるんだよね。」
アキナの瞳孔が大きく開く。
「これさ、多分だけどハッセンだよな。ヴァーゼさんからも話を聞いてたし。」
そう言いながら、胸元から魔法の鍵を取り出す。
「だから、もしアキナの用事が済んだらさ、ハッセンを探さない?殺されて治してじゃ、被害が増えるだけだからさ。」
「そうね。イタチごっこになっちゃうものね。」
アスカは、ぎゅっと魔法の鍵を握る。
「なんで、人を殺すだろう?」
「さぁ?なんでって・・・・・・考えても無駄かも。でもなんにせよ、探し出さないことには、始まらないわけだしね。これからも忙しくはなりそうよね。」
アスカはグンと体を伸ばし、大きく欠伸をする。親指で、涙を払い、よしっとやる気のある声を前に出す。
「じゃぁ、とりあえずは、アキナの故郷ね。出発。」
そうして、三人はヴァーゼとヴァサーのいる家から離れ、三人が出会った村に向かって、歩みを整えるのだった。




