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魔術的鍵師物語  作者: mono
第七

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分かれ道‐いつつめ

 三日目。

 アスカ達は再び、アインアンデラとアンダーのもとにへ向かうの。

 道中、アスカはアキナに尋ねる。


「ねぇ・・・・アンダーは何に苦しんでる思う?」


「プーベテートになった原因ってこと?」


 そう、とアスカが頷くと、アキナは、言葉を外に吐き出していく。


「昨日見たノートだと、なんかうまくいってなかったのかなって。だからあれだけの蓄積をもってるのかなって。」


 つまり?とアスカは首を傾げる。


「ぷつんって途切れちゃったのかなって、でもずっとお父さんのこと見てるのよねぇ。」


 アキナは、父の背中をみるアンダーを思い出している。

 そうしているうちにいつの間にかアンダーの家につく。やはり地底にあるせいか、どこか暗さはある。しかしぼんやりとした灯りがそれを誤魔化してくれてもいる。

 溌溂と眠気が共存している、そんな家にあがる。


「すいません。今日もお邪魔します。」


 会釈をするとともにアスカはアインアンデラから目を離さない。

 茶をすすり、静かに佇んでいる。

 なにも恨みがあるわけではない。投影し、父ならばと幻想を作り上げている。


「今日は、なにもしないんですか?」


 アスカは、アインアンデラに聞く。

 茶をすすり、ああ、とだけで答えると、湯飲みを洗いにいく。


「てめぇ、すこし付き合え。アンダーのことはそこの嬢ちゃんとちいせえのに任せてな。」


 そう言うとアインアンデラは、帽子を手に取り、身支度をし始める。外への扉に手をかけると顎をクイっと動かし、アスカを促す。

 慌ててアスカはついていく。


「あの・・・・どこに?」


 数分歩いていき、アスカはようやく尋ねるということをする。

 しかし大層な返事も来ない。

 数分歩いて、アインアンデラの足が止まる。

 一つの家。

 なぜだかアスカはそれに見覚えがあった。


「昨日のノート・・・・」


 アスカは、今目の前にしている家を紙の中で既に見ていた。


「あいつは、才能がある。おれの理想をもう突き詰めてやがる。だから頼むぜ。あいつを返してくれよ。」


 アインアンデラはじっとそれを見ている。


「ええ・・・・・必ず。それにしても、なんで俺を?、ここに。」


「俺ぁ、これでも自分をひとつの芸術家だと思ってる。だからか、好きなんだぜ、劇的ってやつがよ。」


「不安、ですか?」


 アインアンデラは、鼻を掻き、喉の奥で唾を滑らせる。


「ああ、不安だ。」


「きっとだいじょぶです。俺が何とかして見せます。それにプーベテートなのにあんなに強い眼差しであなたの背中を見ていたんですから、あの子にも強さはありますよ。」


「・・・・・あいつは賢い。どうやれば、才能が開くのかを知ってる。なにより、その才能も絶大だ。そしてあいつはそれを自覚してる。だから俺の後を継いだらきっとすげえことになるぜ。これは俺の意思ではない。あいつはきっと家業を継ぐ。でないとおかしい。あいつは賢いからな。」


 アスカは再び家を見る。人の気配はない。

 真っすぐなんてモノではない。その直線は美を成している。

 無駄のない幾何学模様。

 張りつめるような紅は中心に迫るように、こちらを引き寄せてくれる。

 指さし、アインアンデラに許可を求める。

 アスカは中を見て回る。中の造形そして、家具なんかもアンダーの作にあたる。

 実用性に満ちたそれらには、何百年もの歴史さえ感じさせる。


「そういえば、ひとつ気になってたんですけど。今はアンダーはなにも、というかあんたを見てるだけですけど、あれは何で?」


「なんでって・・・はっ、当たり前だろ。病人になんかやらせねぇ。今はあいつの普通から外れた状態にあるからだ。だからやらせねぇ。普通とは違うままになったやつにはやらせねぇ。」


 会話を済ませるとアスカは家を出る。そこらの家もこの家系が携わっているとの想像は難しくない。

 アインアンデラは言う。


「息子を頼むぜ。」


 鮮明で大胆な色遣いは、地上ではこちらの脳を過激に刺激するに違いなかった。しかしそれは地下のこの世界では生じない。

 ガラスが加工されたシャープさのある街灯。静かに滾る太陽のさまで、それは凛とそこにある。

 アスカはそれと重ねて、アインアンデラの手を見る。ひどく劣化しているようにも見える彼の手は、厚みとともに、生命にあふれていた。

 そして約束の日になる。

 一週間が経ち、アンダーの治療へと移っていった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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