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魔術的鍵師物語  作者: mono
第七

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69/83

分かれ道‐ひとつめ

 親殺し関係の依頼をこなしつつあったアスカ達は、手元に残る依頼書の数を着々と減らしていっていた。

 そんな中、焚火に照らされるアスカは体に残る傷を撫でていた。


「結局ヌーアインシャテンとは闘うほうが多いわよね。」


 アキナは、よれよれのタオルを絞り、アスカの体を拭いていく。


「まぁ仕方ないの。向こうから動かれて、襲われる形になっちゃうと、倒すほうに切り替えたほうが・・・・・ほうがというか、倒さないとこっちがもたないしね。」


 応急処置をされるアスカが、前に座らせたイエレナの手やら頭やらを見ていく。


「イエレナは問題なさそうだね。ぼろぼろなのは俺だけかぁ。まっ、寝たら治るか。」


 からっとした笑いは、エルフと別れてから増えてきている。そこに特段、感情やら情動やらはない。自然なままの笑顔である。

 アスカはぐんと体をのばすと、そのまま敷いてあった布に身を預ける。


「ひとまず明日に備えましょ。」


「へーい。おやすみぃ。」


 アキナも荷物をしまい終えると、すんなりと眠りに落ちていった。

 朝。

 じわじわとした暑さの中に、雨の名残が残っている。

 夜中に雨を凌ぐために、わざわざ洞窟に移動したおかげか、三人ともたいした被害は受けていなかった。

 そしてなんてことなく次の依頼に向かっていく。


「ん?」


 アスカ達は、分かれ道に遭遇する。それはあまりにも分かれ道である。

 一本の道の続きは、二又に分かれ、果て無く突き抜けるように道が続いている。

 そして木々一色の周辺で、片方には太陽が見え、もう一方には、ただの青空が見える。


「どっち?」


 アキナがアスカの持つ依頼書を覗くと、見ても分からないでしょっと小言をつかれる。

 しかし、次に発されるアキナの言葉に、思わずアスカが吹き出す。


「うわっ、これ・・・・真っ直ぐだ。」


「笑わせないでよ。真っ直ぐ?冗談はデザートの後にして。」


 なんだその言葉と、掘り返しそうになるアスカだったが、それよりも意識を向けるべきことがあったため、それはやめておく。

 決してアキナが怖かったからということではない。

 うーんと頭を悩ませつつ、アキナの笑顔を瞳に収めながら分かれ道ではなく、真っ直ぐを塞ぐ草木を掻き分けていく。

 するとアスカの重力が存分に働くことになる。浮遊感に包まれ、地上にいるにもかかわらず、アスカの体は空間に落ちていく。


「うわあああああああ。・・・・ああ?」


 アスカはすんでのところで、地上に戻される。イエレナにその身を抱えられたアスカの目に飛び込んできたのは、大きな大きな穴であった。人一人以上が通ることができそうなその穴は、どこまでも続いている。

 アスカの少年心が踊らされる。依頼の先がこの先にあると直感したアスカは、思いきり飛び込む。

 先ほどとは、異なり、整えられた体勢で颯爽とそれを滑り、下っていく。

 風が過ぎ、思わずを眼鏡を抑える。後ろを見ると、イエレナが、聞き覚えのある悲鳴をおぶりながついてきていた。

 二つの黄金の髪は、流れ星となり、どんどんと地中に潜り込んでいく。

 するとようやく微かだった光が明らかなものとなる。

 

「ひゃっほーい。」


 穴の終着点。そこはひとつの国に繋がっていた。

 トラディツィオーン。何百年と続く一大国家。

 新たな出会いが始まる。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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