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魔術的鍵師物語  作者: mono
第六

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妖精‐いつつめ

 中年のおばさんは、余裕ありげに顔を拭く。

 濡れた顔を拭いてしまったら、化けの皮が剥がれそうで心配であるが、笑みを見せながら、手際よく顔を拭いていく。


「あなたも・・・・手伝ってくださるかしら?」


 エルフがはっとした顔をすると、アキナが期待する通りの行動をする。


「お任せあれ!」

 

 エルフがせっせとおばさんの顔を拭っていく。これでもか、これでもかとタオルを擦りつけていく。

 おそらくこのおばさんは、アキナに対していったのだろうが、上手くいかない。頬を震わせながら、目を瞑り、一呼吸置く。


「エ、エルフちゃん・・・もうだいじょぶよ。だからもう・・・・ちょっ、もうだいじょ・・・・だから!もうだいじょぶって言ってるでしょ!!」


 ようやく荒ぶる。

 エルフがその手を止める。

 しゅんとしながら「ごめんなさい。ヘスリッヒおばさん。」とエルフが言うと、ヘスリッヒが囁きのない小声で、「なんでいるのよ」と席を外す。

 窓の外を眺めつつ、再び茶を用意する。


「まぁいいですわ。エルフのことはほかに任せて、とりあえず私の息子のことどうにかしてくださる?」


 毅然とした態度を作るヘスリッヒ。取り繕うのに必死で、三人の視線の意味に気づきやしない。

 息子の名前を叫びながら、別室への扉を思いきり開く。

 ガタガタと家具が揺れる音が静まると、腕を掴まれた一人の男の子と戻ってくる。


「息子のザーゲンよ。この子をどうにかして頂戴。」


 息子を差し出す。

 アスカが、ザーゲンとの会話で覚えていることがないかを尋ねる。


「そうねぇ・・・確か私に向かって嫌いだなんだなの言ってた気がしたけど、まあ年齢を考えればそんなものよね。」


 会話を続けていくと、ザーゲンはエルフと年齢が変わらないことが分かってくる。

 アキナがいつやるのかとアスカに目配せをすると、アスカも会話を切り上げるべく、強引に愚痴混じりのおばさんに話題を投げる。


「今日中に治療するので、息子さんのことお借りしますね。」


 その言葉を合図にイエレナは立ち上がり、ザーゲンの手を引く。

 そうして家を出るが、外には数人の男が立っている。村の人間であろうか。その姿は、大したものでもない。

 

「そこの嬢ちゃんを、エルフを貸しな。そいつは村にいちゃいけねぇ。もう決めたことだ。逆にだ、殺さずいることに感謝したほうがいい。」


 アスカは、今にも頭をぐちゃぐちゃに掻きまわしたくなる。叫びたくなる。逃げ出したくなる。しかしそれはしない。

 エルフの手を握る。


「ありがとう。なんか元気になっちゃったよ。」


 アスカは魔法の書を開き、間違っても当てないようにと細心の注意を払いながらそれを唱える。


”ランポ”


 なぞられた魔法の書から黄金が浮かび上がると、ドンという衝撃とともに、雷が落ちる。

 閃光に包まれる村の人間は、砂ぼこりの舞う空間で何もできず子供たちを見失うのだった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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