妖精‐ひとつめ
新たな依頼へと向かっていく三人。今回ばかりはその心持は、普段とは異なってくる。確かな救いの気持ちは今のアスカにはない、誰かを助けようとする気持ちはアスカにはなかった。
「今日は、ここで・・・・休もう。」
「え・・・もう?」
日はいまだ沈んでいない。その明るさは燦燦としている。
「ちょっと」とアキナは、アスカの裾を掴む。
振り返り、アスカはやさしく微笑む。
「・・・・・・・ぅぐ・・・・そうね。ここで休みましょう。」
何も言えない。
アスカは早々にして、毛布を被り、その眠りに微睡んでいく。
イエレナも荷物を置き、そこらの岩に腰を掛ける。
すぐそばでは川がせせらいでいるのか、木の葉の揺れる音だけの世界ではなかった。
「イエレナ、少し、水・・・浴びてくるね。」
アキナは肩の凝りをほぐしながら歩いていく。
川には何も泳いでいなかった。最初は足を少しつけるだけだったが、掬うように水に手を伸ばし、持ち上げる。零れ落ちる水は、肌に沿い、垂れていく。肘のあたりで自身の重さに耐えれず、水玉となって落ちる。
バシャンと音を立てるつもりで川辺を蹴り上げる。打ち上げられた川の球は、周囲を映す。木々の緑や、小石の色。そして人の肌を。
誰!とアキナが首を回すと、一人の人間が目に入る。
木陰からひょこりと顔を覗かせる、そこは、耳の尖った少女のような女がアキナを見ていた。すると見つかったことが分かったその女は、どんとその姿を露にする。
仁王立ちだ。
そして小さい。
「・・・・・・・・・・・」
口を吸いこむようにむんと閉じ、何も喋らない。
「?」
不思議がるアキナに対してその女も不思議そうな顔で応答する。
「あ・・・あ・・・私ッは、ええとエルフです!!」
大胆な宣言の後、その大きな口でにこりと笑って見せる。まんまるな顔は小動物を思わせるものだった。
アキナの口調が定まる。
「・・・・エルフちゃん?どう・・したの?」
「分かんない!・・・・・とりあえず遊ぼ!」
そういうとエルフは、川に飛び込む。
水が跳ね、宙を潤す。
アキナが目を瞑る。反射だ。
瞳に入り込みはしなかった水が、頬を伝う。
「あなたは、明るいね。」
ぽかんとするエルフはすぐにからりと笑い、また水辺に集中する。
ぱちゃぱちゃと流れを遮られる川は、リズムよく音を奏でていく。
「ねえ、あなたここら辺の子なの?」
「うーーん?・・・・・・分かんない!」
アキナが「迷子・・・」と小声でつぶやくと、エルフがそれを聞きとる。
「そう・・・マイゴ!さっきあった人にも言われた。」
頭を悩ませるアキナは、その子を連れて、アスカとイエレナの元へと戻っていくのだった。
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