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魔術的鍵師物語  作者: mono
第六

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妖精‐ひとつめ

 新たな依頼へと向かっていく三人。今回ばかりはその心持は、普段とは異なってくる。確かな救いの気持ちは今のアスカにはない、誰かを助けようとする気持ちはアスカにはなかった。


「今日は、ここで・・・・休もう。」


「え・・・もう?」


 日はいまだ沈んでいない。その明るさは燦燦としている。

 「ちょっと」とアキナは、アスカの裾を掴む。

 振り返り、アスカはやさしく微笑む。


「・・・・・・・ぅぐ・・・・そうね。ここで休みましょう。」


 何も言えない。

 アスカは早々にして、毛布を被り、その眠りに微睡んでいく。

 イエレナも荷物を置き、そこらの岩に腰を掛ける。

 すぐそばでは川がせせらいでいるのか、木の葉の揺れる音だけの世界ではなかった。


「イエレナ、少し、水・・・浴びてくるね。」


 アキナは肩の凝りをほぐしながら歩いていく。

 川には何も泳いでいなかった。最初は足を少しつけるだけだったが、掬うように水に手を伸ばし、持ち上げる。零れ落ちる水は、肌に沿い、垂れていく。肘のあたりで自身の重さに耐えれず、水玉となって落ちる。

 バシャンと音を立てるつもりで川辺を蹴り上げる。打ち上げられた川の球は、周囲を映す。木々の緑や、小石の色。そして人の肌を。

 誰!とアキナが首を回すと、一人の人間が目に入る。

 木陰からひょこりと顔を覗かせる、そこは、耳の尖った少女のような女がアキナを見ていた。すると見つかったことが分かったその女は、どんとその姿を露にする。

 仁王立ちだ。

 そして小さい。


「・・・・・・・・・・・」


 口を吸いこむようにむんと閉じ、何も喋らない。


「?」


 不思議がるアキナに対してその女も不思議そうな顔で応答する。


「あ・・・あ・・・私ッは、ええとエルフです!!」


 大胆な宣言の後、その大きな口でにこりと笑って見せる。まんまるな顔は小動物を思わせるものだった。

 アキナの口調が定まる。


「・・・・エルフちゃん?どう・・したの?」


「分かんない!・・・・・とりあえず遊ぼ!」


 そういうとエルフは、川に飛び込む。

 水が跳ね、宙を潤す。

 アキナが目を瞑る。反射だ。

 瞳に入り込みはしなかった水が、頬を伝う。


「あなたは、明るいね。」


 ぽかんとするエルフはすぐにからりと笑い、また水辺に集中する。

 ぱちゃぱちゃと流れを遮られる川は、リズムよく音を奏でていく。


「ねえ、あなたここら辺の子なの?」


「うーーん?・・・・・・分かんない!」


 アキナが「迷子・・・」と小声でつぶやくと、エルフがそれを聞きとる。


「そう・・・マイゴ!さっきあった人にも言われた。」


 頭を悩ませるアキナは、その子を連れて、アスカとイエレナの元へと戻っていくのだった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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