表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術的鍵師物語  作者: mono
五・五

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/76

閑話‐弟

 ヴィーダーからアスカの父がいなくなった次の日、アスカは魔法の鍵を握り、弟であるイエレナを前にしていた。

 アスカの顔には覇気はない。しかしすべてが憂鬱で覆われているわけではなかった。そこには確かな前向きさがある。

 プーベテートを治しにまわり始めて、数年、アスカは19歳となり、イエレナは9歳であった。そんなイエレナがようやく戻ってくる。カンナイは、ヌーアインシャテンを倒すことなく、治療を終えることができた。それならばイエレナにおいても適応が可能である。

 

”アーフ・シュリーセント”


 アスカが魔法の鍵を黄金に光らせながら、魔法を唱える。

 イエレナに浮かび上がる胸のあたりの鍵穴に鍵を差し込み、その手首を捻ろうとする。


ギッッ


 回らない。


ギッ・・・ギギッ


 アスカの目が変わる。


「ア・・・アスカ?・・・・・。」

 

 アキナはアスカの目を見る。


ギッ・・・・ギッ・・・・・・・・・・ギッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 アスカは一言もしゃべらない。


「なんで?・・・・・どうして?・・・・なんでなのよ・・・・」


 3人をつけていたのかハッセンが軽やかにに歩いてくる。何も言わずに近づいてくる。そしてアスカの背後に届くほどになると、好物を見るようにアスカの顔を覗き込む。

 ハッセンはアスカの眼鏡を取りながら「・・・・・良い瞳。」と続ける。


「なぁに?鍵穴壊れちゃったの?」

 

 人を逆なでする、男にしては高い声。

 アスカは何も言わない。

 後方で罵り合うような怒声が聞こえようと何も言わない。

 イエレナも同様に。

 一時的に二人だけの空間が出来上がる。

 アスカは俯く。俯いたまま、イエレナの肩に手を置く。しかしそれはすぐに垂れ、落ちる。力の入らない彼の手は、イエレナを捉えられない。イエレナを抱くことができない。

 ここでひとつの邪魔を追い払ったアキナが戻ってくる。アキナは言うのだった。きっと回らないのは、イエレナがどうとかいうわけじゃないと。魔法の鍵が壊れてしまったんだと。ハッセンが持ってるんだから、きっと使える鍵が他にもあるはずだと。


「また依頼を受けましょ?そこで確かめてみようよ。きっとそこでも魔法の鍵じゃ開かないからさ、だから・・・・・イエレナがこのまま戻らないなんてことは・・・・絶対ないんだから!」


 アスカはアキナの顔を見上げ、微笑むだけをする。


「あれよ、もし新しい鍵が見つからないならさ、ハッセンの鍵で確かめてみましょうよ。あいつも人殺しではあるけどさ、ほら鍵を借りるくらいならさ・・・・」


 アキナの耳にアスカの声が入る。

 空気を破裂させる大きさの声

 続けてアスカは喋る。


「まぁいいや・・・・うん、そうしよう。・・・・・・次の依頼に行こう。」


 アスカは立ち上がり、一人で歩き始める。

 アキナは落ちていたアスカの眼鏡を拾い、アスカに駆け寄る。

 そしてそれにつられたイエレナも後をついていくのであった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ