表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術的鍵師物語  作者: mono
第五

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/77

父さん‐じゅういっこめ

 ヌーアインシャテンが消滅し、胸を撫で下ろすアスカにアキナが飛びつく。


「なに・・・してんのよ。急に、ヌーアインシャテンに近づいていって、びっくりするじゃないの!」


「まぁ・・・そんなときもあるよね。・・・・・ごめん。でも・・・・倒す必要がないなら、イエレナも・・・・・。」


 飛びつかれたままの衝撃で倒れこむアスカは、両手を野原に広げたままになる。


「そうね。早く、イエレナの声聞いてみたい。」


「うん。・・・・・あの・・重いんですけど。」


 アスカに抱きつき直してからゆっくり離れる。

 そんなアキナに肩を貸してもらい、アプシートに戻っていった。

 当然カンナイと一緒に帰ったが、道中、魔法のについての質問攻めに遭う。やはり魔法はロマンの塊らしい。

 そしてカンナイの家につくと、寝転がる大人がいる。カンナイの両親だ。

 プーベテートが治ったことで、カンナイの肌は、血色の良い本来のらしさが出てきている。しかしそこにいる二人は違う。氷のように透明で凍えている。

 カンナイは無理くり笑う。


「後で、えらい人たちに謝んないと。弔うために来た人たちのこと、返り討ちにしちゃったんだよね、ぼこぼこに。あぁあ・・死んだ人間は帰ってくるはずないのに・・・何を期待してたんだろ。」


 後日、カンナイの両親はカンナイの懐に収まるほどになった。正しく弔われ、彼らは天に昇っていった。

 死んだ人間はもう二度と喋ることはない。しかしプーベテートはどうであるか。

 死んだ人間は弔うほかない。しかしプーベテートはいまだ戻ってくることができる。

 アスカは問う。鏡の映る自分に問う。


「父さんは人を殺した。俺は殺していない。・・・・・・父さんはイエレナを助ける可能性をつくりだした。俺はたまたまイエレナを助ける可能性を見つけれた。・・・・・たまたま・・・・・。」


 何日かしてアスカ達は船に乗り、ヴィーダーに戻っていった。

 再会は一度には終わらない。

 アスカは再び、父親に会うためヴィーダーに来たのだった。

 酒場に立ち寄ると、ハッセンが1人で、酒を飲んでいる。その後ろでは、心地よいリズムで歌声が刻まれている。

 その正体は、盲目のコクジンとかいう男。はるか遠くから、海を彷徨いこの地に流れついたらしい。言語はまったく異なるが、文明に違いというものはないとのこと。

 ハッセンがアスカに気づき、近づいてくる。


「コクジンが気になる?・・・・・肌が黒いらしいから黒人っていうだって。」


「・・・・・黒?・・・・・黒っていうか茶色じゃない?」


 普通に話す。


「・・・・また聞くけど、父さんはどこにいる?」


「そうだな~、条件つけていい?・・・・・・・・・・また砂浜にいるよ。海でも見てんだよ、きっと。」


 残念がるハッセンは、目に刺さるほどの前髪をいじり、何かを考える。

 アスカは酒場を出る。しかし頭の中ではいまだあの軽快なリズムが離れずにいる。

 いまだ月は黄金にはなっていない。静かに凍り付いている。

 昼間の太陽に顔を向けるアスカの父。そのひとりの人間としての背中をアスカは見つけ出すのだった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ