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魔術的鍵師物語  作者: mono
第五

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48/81

父さん‐ななつめ

 悲劇があったからといって、全員がプーベテートに罹るというわけではない。だからこそアスカの謝罪の心は強まる。

 アスカはカンナイの目の前で屈み、彼を見つめる。そして懐の鍵を服越しに握りしめる。


「俺は君を治す。君がイエレナ・・・俺の弟みたいに異常な力を持ったプーベテートだとしても。」


 アスカは立ち上がり、その家を出る。


「アキナ…先にヌーアインシャテンがでても問題ない所を探してきてくれないか?それで…見つかっても見つからなくても、船を降りたところで待っててくれ。」


「オーケーよ。任せなさい!!」


 アキナは、天真爛漫、その言葉が似合う。

 アキナの背中を見送り、カンナイを部屋に置いたままイエレナと正対する。

 イエレナは強く揺れる。勢いよく掴まれた肩は、小さな震えまでは反映しない。

 アスカがイエレナを抱いている。小さなままの弟の体を自分の体で包む。グッと力を加えてもイエレナは動じない。ただそれを受け入れる。

 しばらくして、アスカ達はアキナのいるところへと向かっていった。


「お待たせ。待った?」


「大待ちよ。さっきなんかそこらへんの子供とかくれんぼしちゃったわよ。」


「ごめん。カンナイがなかなか立ち上がらなくって・・・・。」


 アスカが頬を掻き、ははっと笑って見せる。


「んで見つかった?広そうなとこ。」


「・・・・なかったわ!」


 アキナが自信たっぷりに言う。両手を腰に当てたせいか、なおのこと自信ありげだ。


「・・・・・一緒に探しに行きますか。」


 そうして旅先の店やら新聞の隅々まで探し、ようやく絶好の場所を見つけ出す。

 そこはアプシートから少し離れた野原。花々が絶賛咲き誇っている。風が吹けば、花びらは散り、空を彩りに舞い上がっていく。

 

「もうここぐらいしかないかなぁ・・・・・花・・・・・うーん。」


「良いんじゃない?目覚めたときに、いい景色の方がうれしいんじゃない?そのカンナイって子も。」


 アスカが微笑みながら頷き、一枚の上着を脱ぐ。

 首から垂らされた魔法の鍵が、午後の60°付近に位置した太陽に照らされる。


「じゃ、行きます。・・・よろしくお願いします。」


 アスカは、首の紐を解き、魔法の鍵を自由にする。カンナイの胸に手をあて、心臓のあるあたりに鍵を差し込む。


”アーフ・シュリーセント”


 軋む音をたてながら、アキナが差し込んだ鍵を回す。

 アスカの意識が飛ぶ。正体不明の浮遊感に襲われるとともに吐き気を催す。

 叩くように意識が体に戻ると、アスカはまた野原に咲く花を瞳に収める。そしてアスカの拳は強く握りこんだことで、爪が肉を引き裂き、血が流れ落ちるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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