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魔術的鍵師物語  作者: mono
第五

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45/76

父さん‐よっつめ

 父と子。

 アスカとその父が対面している。


「アンタだろ。親殺しってアンタなんだろ。なんだよ、つくるって、償いって、いったい何してくれてんだよ。」


「・・・まだ俺は何も答えてないだろ。・・・・ただ、そうだな、うん。俺がその親殺しってやつに変わりはない。」


 アスカの飲み込んでいた唾の味が変わる。

 男は続ける。


「まぁそう悲観するな。アプシートでイエレナのヌーアインシャテンを引き出しさせすれば、イエレナはは帰ってくる。一件落着だ。」


「どこがだよ。」


 アスカが拳を握りこむ。


「?・・・・・何をいってるのかさっぱりだ。弟が戻るんだぞ。またイエレナと話せるんだぞ。それなのに、なぜそんな顔してるだ?お前だってイエレナを探す手立てを見つけるためにプーベテートを見て回ってたんだろ?違うか?母さんを殺したあのヌーアインシャテンを倒すためには、イエレナ以上の強力な力が必要になる。だから依頼を装ってプーベテートを見て回ってたんだろ。なぁそうだろ?そうだよな?・・・・なんだ違うのか?」


「違う!・・・・俺は・・違う。俺はプーベテートを治したかっただけ。ただそれだけだ。」


 狼狽えるアスカの声。男の声は、冗長で退屈さに包まれている。


「イエレナを治したくないのか?いったい今まで何をしてたんだ?お前は。なんでイエレナを闘わせてるんだ。守るべき対象だろ?弟なんだから、守ってやれよ。たった一人の弟だろ。」


「・・・・・・・人殺しなんかが講釈垂れるなよ。もう、もういい。あんたと話すことはない。・・・・・・・・・俺は、アプシートに行く。海を渡ってアプシートにいく。」


 さざ波が男の足元に届く。そしてまた海に戻っていく。

 アスカにはそれが届かない。


「俺は治す。アプシートにいるプーベテートを治す。」


「おい、アスカ・・・・・」


「うるさい!!!」


 アスカが男の声を遮るとそのまま砂浜を後にする。

 潮が満ちていき、落ちる夕焼けを映す面積が増える。


「・・・・いい報告を待ってるぞ。」


 男の声は波の音に引きずり込まれる。

 アスカが酒場の扉を開くと、先ほどよりも賑わっている。


「ああ、アスカくん。おとうさんには会えた?・・・ふふっ良い瞳。まるで夜の海みたいだ。」


「黙れ。」


「それと君の連れ、なかなかにかわいらしい声だったよ。・・・今頃は疲れて宿屋のベッドで寝てるんじゃないかな。」


 ハッセンを睨む。


「怖いなぁ。そのままの意味だよ。あーん、そんなに睨まないでよぉ。」


 アスカは走り出す。宿屋に向けて、アキナのいるところに向かって。全速力で走る。

 勢いよく扉を開く。


「あら、アスカ・・・・どうしたの?・・・ていうかなかなか戻ってこないから先に戻っちゃったわよ。荷物も持って帰ってあげたんだから感謝してよね。」


 アスカはよろよろ歩き、胸のあたりを抑える。


「アキナ・・・アキナは、なにもされてない?変な男になにかされてないか?」


「変?・・・ああ!酒場でアスカと話してた人に名前を聞かれたわよ。ナンパしに来たみたいだったけど・・・でも私の美しさに恐れてすぐにどっかいっちゃったわよ。」


 屈みながらアスカがベッドに座るアキナの手を掴む。


「ほ、本当にか?なにも、なにも嫌な思いしてないか?」


「だーいじょぶよ。なんてたって私にはイエレナがついていたもの。生半可な奴はイエレナが一撃よ。」


 イエレナがむんと腕を鳴らしている。

 安堵したのかアスカは、アキナの太ももに倒れこむ。


「!!!!!」


 アキナは声をあげずに驚嘆する。そしてその自慢の赤髪で頬と口元を隠す。


「よかった・・・・。」


 緩む心と反対にアスカの手の力はさらにアキナを離さなかった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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