父さん‐ひとつめ
ミリテアを旅立ったアスカ達、その依頼の数は増すいっぽうであった。
「最近、ますます増えてきてるわね。それにどの依頼書にも、”親殺し”って、いったいなんなのよ。一発殴ってやりたいわ。」
アキナが数枚の依頼書を手に取り、愚痴を溢す。
「これじゃアスカもイエレナも大変じゃないのよ・・・・。」
「まぁ、俺はだいじょぶだよ。イエレナは・・・どうだろ。・・・俺はどんどんやりたいけどね。魔法の練習にもなるし、体を慣らす練習にもなるし。」
イエレナはぼうっと月を見ている。
そんな月はなんてことなく綺麗である。毎晩、皆が目にする、反対に毎晩月はアスカ達のことを見に昇るのだ。変わってみえないのは当然である。
「ねぇアスカ・・・次はどこに行く?」
アスカが、依頼書に目を通していく。
「たしか・・・・これが一番前に来たんだっけかな・・・」
アスカが一枚を手に取ると、アキナがそれを覗く。
「アプシート?・・・・・って海を越えたとこ?」
「うん。まぁこれも”親殺し”だし・・・ほんと困ったもんだよ。」
アスカが地図を開き、アプシートの位置を確認する。
「遠いな。ええっと・・・・・この途中の街で休憩しよう。ヴィーダーってとこ。」
「わかったわ。」
「んじゃそーゆーことで。おやすみアキナ。」
アスカは弟の頭を撫でながら言う。
翌日以降の予定をつけ、全員は体を休めていった。
数時間が経ち、朝日がようやく昇ると、三人はヴィーダーへと向かっていった。
その道中、なんやかんやありなんやかんやあった。
イエレナの履くズボンの紐が千切れたり、それに気づかず数十分歩いたり。
数匹のタランチュラに襲われてアキナが気絶したり、アスカがアキナをおぶったままこけたり。
散々である。
「あの・・・鼻痛いんですけど。」
「いやーそれはホントにね、申し訳ない。うん、躓いた俺が全面的に悪いとは思っていますよ。」
イエレナを先頭に背の順となり、アスカが二人についていく。
その間、アスカは情けなくアキナの機嫌を窺っている。
「・・・・・鼻、冷やしといて。」
川辺で水浸しにしておいた布をアスカに手渡す。
「もうそろ、着くから。そこで氷かなんかもらいましょうや、アキナはん。」
笑っているが笑っていない。
「はい、はぁい。アスカさんに任せまぁす。」
アキナの笑い方は何かをくすぐっている。
そうして三人は、ヴィーダーに到着した。
””再会の町・ヴィーダー”
それなりの集落であったヴィーダーにはそう刻まれた看板が立てられていた。
「おお、にいちゃん、なんだいその鍵は?なかなか上等な金色じゃぁねぇか。」
ひとつの酒場。
酔っぱらいは、首から垂らされた魔法の鍵を興味深く見ながら、また酒の注文をするのであった。
読んでいただきありがとうございます。
感想お待ちしています。
次話もお楽しみください。




