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魔術的鍵師物語  作者: mono
第五

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42/76

父さん‐ひとつめ

 ミリテアを旅立ったアスカ達、その依頼の数は増すいっぽうであった。


「最近、ますます増えてきてるわね。それにどの依頼書にも、”親殺し”って、いったいなんなのよ。一発殴ってやりたいわ。」


 アキナが数枚の依頼書を手に取り、愚痴を溢す。


「これじゃアスカもイエレナも大変じゃないのよ・・・・。」


「まぁ、俺はだいじょぶだよ。イエレナは・・・どうだろ。・・・俺はどんどんやりたいけどね。魔法の練習にもなるし、体を慣らす練習にもなるし。」


 イエレナはぼうっと月を見ている。

 そんな月はなんてことなく綺麗である。毎晩、皆が目にする、反対に毎晩月はアスカ達のことを見に昇るのだ。変わってみえないのは当然である。


「ねぇアスカ・・・次はどこに行く?」


 アスカが、依頼書に目を通していく。


「たしか・・・・これが一番前に来たんだっけかな・・・」


 アスカが一枚を手に取ると、アキナがそれを覗く。


「アプシート?・・・・・って海を越えたとこ?」


「うん。まぁこれも”親殺し”だし・・・ほんと困ったもんだよ。」


 アスカが地図を開き、アプシートの位置を確認する。


「遠いな。ええっと・・・・・この途中の街で休憩しよう。ヴィーダーってとこ。」


「わかったわ。」


「んじゃそーゆーことで。おやすみアキナ。」


 アスカは弟の頭を撫でながら言う。

 翌日以降の予定をつけ、全員は体を休めていった。

 数時間が経ち、朝日がようやく昇ると、三人はヴィーダーへと向かっていった。

 その道中、なんやかんやありなんやかんやあった。

 イエレナの履くズボンの紐が千切れたり、それに気づかず数十分歩いたり。

 数匹のタランチュラに襲われてアキナが気絶したり、アスカがアキナをおぶったままこけたり。

 散々である。

 

「あの・・・鼻痛いんですけど。」


「いやーそれはホントにね、申し訳ない。うん、躓いた俺が全面的に悪いとは思っていますよ。」


 イエレナを先頭に背の順となり、アスカが二人についていく。

 その間、アスカは情けなくアキナの機嫌を窺っている。


「・・・・・鼻、冷やしといて。」

 

 川辺で水浸しにしておいた布をアスカに手渡す。

 

「もうそろ、着くから。そこで氷かなんかもらいましょうや、アキナはん。」


 笑っているが笑っていない。


「はい、はぁい。アスカさんに任せまぁす。」


 アキナの笑い方は何かをくすぐっている。

 そうして三人は、ヴィーダーに到着した。


 ””再会の町・ヴィーダー”


 それなりの集落であったヴィーダーにはそう刻まれた看板が立てられていた。


 「おお、にいちゃん、なんだいその鍵は?なかなか上等な金色じゃぁねぇか。」


 ひとつの酒場。

 酔っぱらいは、首から垂らされた魔法の鍵を興味深く見ながら、また酒の注文をするのであった。

読んでいただきありがとうございます。

感想お待ちしています。

次話もお楽しみください。

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