筆跡‐むっつめ
突如として魔法の鍵からつくられた光の軌跡を追い、一つの小屋へとやってきたアスカ達。その小屋には二人の子供だけがいた。
「アキナ・・・遊園地で見かけたって言ったけど、その時の・・・この子たちはどんなだった?」
アキナが小声での耳打ちに答える。
「確か、その時も二人だけだったかも。それでね、遊園地にいた時も、あっちの子の肌、気になったんだけど、まさかとは思ってスルーしちゃったのよね。やっぱり言えばよかった。」
虚勢を張る怯えた少年と澄ました顔のもう一人の少年。
アスカは、姿勢を下げ、彼らに近づく。
「く、くんな!!・・・お前らがどんな人間かは知らねーけど、勝手に入ってくるようなやつは信用できねぇ。」
ごもっともである、そんな顔をするアスカはイエレナに視線をやる。
「・・・・すまんイエレナ。」
アスカが、イエレナの体を隠す衣を取る。
「俺の弟・・・・えぇっとそこの君と・・・・なんだか似てるとは思わない?」
なるべく丁寧な口調を心掛ける。
「ねぇ俺さ、魔法使いらしいんだ。ほらみてこの鍵。これを使って、そこの君みたいに・・・・・肌が白くなってる人達を助けてるんだ。信じられないかもしれないけどさ・・・・少し時間をくれない?」
一人を守る少年が、なにかを思い出したかように俯くが、
「・・・・じゃあなんであんたの弟は肌が白いんだ?」
「・・・・それは俺に力がないからだ。」
すでにミリテアの街からは雑多な音はしないが、複数のバイクによってエンジンが吹かされている。
「じゃあ、その弟を連れまわす必要はあんのかよ。」
「・・・・俺だけじゃどうしようもなんないから。だから支えてもらってるんだ・・・・イエレナにも。」
アスカの瞳は青い。青いが黒い。蝶の羽のように、青だけではなく種々たる瞳の色である。それが今、波紋を成している。
なんとも寂びている。
「なぁ、君・・・」
アスカの話が遮られる。
「僕は君じゃねえ。僕は、タリだ。ちゃんと名前がある。・・・・・あんたはなんだ。」
「アスカだ。」
子供というのは、ときに大人よりも鋭い。いやその感覚が過敏であるのかもしれない。
タリの瞳は、アスカの瞳を収めている。
「・・・・・・僕はまだ信用はしてない。信じてるのは今のあんたの眼だ。・・・・・ナイを助けてやってくれ。」
頭を下げるタリ。依然、そのナイと呼ばれた少年を庇っている。
「任せておきなさい!絶対戻しあげるんだから。」
「ねえちゃんはなにをしてくれるんだ。」
「・・・・・・・・」
しらを切るアキナが話題を移す。
「どうするのアスカ、いつやる?」
「・・・・・今日、やるか・・・・あんまり長くしてもタリ君が気に入らないだろうし。」
そう言うとゆっくりと頭を下げ、タリにナイを借りることを告げる。
タリはそれに頷くがまだその眼は警戒がとかれたわけではなかった。しかしイエレナがナイの手をとるのは妨げられなかった。
行く先は、シュパースの寝るベットの下。正しくは地下にある魔法練習場。
隠れ家らしく見えるそこへはアスカとイエレナ、そして肝心のナイだけで向かっていった。
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