【奈落】操り人形の罠と、魂の解呪(パージ)
第37話への評価、ありがとうございます!
岩田の覚醒により、調教師「パペット・マスター」を追い詰めた九条たち。
敵の拠点が足柄の廃トンネル内であると特定した九条は、岩田と共に突入します。
しかし、暗闇のトンネルの奥で待ち受けていたのは、かつて九条が「一介のサラリーマン」だった頃に同じオフィスで机を並べていた、かつての同僚たちの姿でした。彼らはリヴァイアサンの残党によって意識を奪われ、冷酷な「人形」へと改造されていたのです。
ひんやりとした空気が満ちる廃トンネル。
奥へ進む九条と岩田の前に、カチカチと指を鳴らす音が不気味に反響した。
「ようこそ、死神くん。……。君たちのために、特別な『歓迎の舞』を用意したよ」
シルクハットの男、パペット・マスターが影から現れる。
その指先から伸びる無数の魔力の糸の先には、虚ろな目をし、体の一部を機械や魔導部品に改造された人間たちが繋がれていた。
「……っ、九条さん! あいつら……成瀬の息がかかってた本社の連中じゃねぇか!」
岩田が息を呑む。
かつて九条を雑草と蔑み、あるいは見て見ぬふりをしていた同僚たち。彼らは会社が崩壊した後、リヴァイアサンに捕らえられ、肉体をも玩具にされていたのだ。
「……。九条蓮……。タスケ……テ……」
一人の同僚の口から、掠れた声が漏れる。糸に操られながら、彼らは武器を手に九条へと襲いかかってきた。
「……九条さん、どうする! 相手は操られてるだけのカタギだ、本気で叩けば死んじまう!」
岩田が魔導スパナを構えたまま躊躇する。
だが、九条の瞳は凍りついたように冷徹だった。
「……岩田殿。……。躊躇は彼らを余計に苦しめる。……。奉仕の心得その五。……。傷んだ荷物は、中身を傷つけずに外装(呪い)だけを剥ぎ取れ」
【スキル発動:魔力感知 Lv.5 / 構造解体 Lv.MAX】
【ジェミナ・コア:魂の解呪を同期】
九条は武器を抜くことなく、襲いかかる同僚たちの間を影のように縫った。
彼らの攻撃を紙一重で見切りながら、その指先が、肉体に打ち込まれたリヴァイアサンの「制御チップ」と、パペット・マスターの「魔力の糸」が交差する結節点を正確に弾いていく。
『……蓮さん、そこです! 脳波への干渉コードを、私の高周波ノイズで一瞬だけ遮断します!』
九条の指が同僚の首筋に触れた瞬間、パチッという電子の火花と共に、魔力の糸が次々と弾け飛んだ。
「がはっ……!」
糸を失った同僚たちが、泥のようにその場に崩れ落ちる。呼吸は安定している。気絶させただけだ。
「なっ……!? 私の完璧な操り糸を、手作業で解くだと……!?」
驚愕するパペット・マスター。九条は彼の前に音もなく立ち、冷酷な視線を向けた。
「……。お前の奉仕は、ここで終了だ。……。ジェミナ殿、残党の親玉の居場所は?」
『……。はい、室長。……。この男の通信ログから、リヴァイアサン残党の総本山を完全に特定しました。……。場所は、異世界との門が開きかけている『富士の樹海』の最深部です』
【条件達成:パペット・マスターの無力化】
【称号:魂の救済者 を獲得】
最後までお読みいただきありがとうございます!
かつての同僚たちを傷つけることなく救い出し、残党の黒幕の居場所を突き止めた九条。
いよいよ物語は、最終決戦の地である「富士の樹海」へ。
第40話のグランドフィナーレに向け、世界の命運をかけた戦いが始まります!
「九条さんの神業的な解呪、シビれた!」「岩田さんの優しさも良かった」と思われた方は、ぜひ評価を!




