【境界】富士の樹海の決戦と、溢れ出す終焉
第38話への評価、ありがとうございます!
同僚たちの肉体からリヴァイアサンの呪いを鮮やかに剥ぎ取った九条。
ジェミナが特定した次なる舞台は、異世界の魔力が現代の磁場を狂わせ、深い「歪み」を生み出している富士の樹海。
リヴァイアサンの残党は、バベルで失った支配権を取り戻すため、異世界から「破滅の王」そのものを現代に召喚しようとしていました。
岩田たち物流チームが退路と防衛線を固める中、九条とジェミナは世界を救う「最後の奉仕」へと足を踏み入れます。
コンパスも電子機器も一切が狂い、紫色の魔霧が立ち込める富士の樹海。
かつて静寂が支配していたその森は今、木々が侵食されて巨大な異世界の結晶体へと姿を変えていた。
その最深部。空間がガラスのようにひび割れ、巨大な「門」が今にも開こうとしている。
「ハハハ! 来るぞ、ついに神の軍勢がこの腐った現代を支配するのだ!」
門の前で狂ったように笑うのは、リヴァイアサン残党の総帥。
門の向こうからは、数千年前、九条がいた異世界を一夜にして滅ぼしたとされる「破滅の王」の、山をも跨ぐような巨大な腕が這り出しつつあった。
「……九条さん、ここは俺たちが食い止める! あんたはあの『門』を閉じることだけを考えな!」
樹海の入り口に魔導改造トラックを横付けし、岩田が叫ぶ。
彼の背後には、支給された魔導兵装を構えたかつての仲間たちが、押し寄せる無数の下級魔獣を必死に押し留めていた。
「……岩田殿、恩に着る。……。ジェミナ殿、行くぞ。……。世界が書き換わる前に、あの雑草の根を引き抜く」
『……はい、蓮さん! ……。門の周囲に展開されている儀式回路の座標、すべて網膜に同期しました! ……。私の全演算能力を、あなたの『魔導戦闘術』に注ぎ込みます!』
九条は一振りの黒いナイフを逆手に持ち、地を蹴った。
【最終クエスト:世界の境界線の修復】
【九条・ジェミナ:シンクロ率 300%(限界突破)】
飛びかかってくる巨大な魔獣たち。だが、今の九条にはそれらが「静止画」のように見えていた。
ジェミナの超演算が、1ミリ秒先の未来の軌道を完璧に予測し、九条の肉体がそれを一切の無駄なく執行する。
一閃。また一閃。
九条が通り過ぎた後には、魔獣たちの霧散する光だけが残る。
「……。奉仕の心得その六。……。届けるべき未来の前に、いかなる巨大な壁があろうとも、……。ただ『迅速に破壊』するのみ」
九条は一瞬で総帥の間合いへと肉薄し、その胸に仕込まれていた魔導召喚の核を、ナイフの一突きで正確に粉砕した。
「ば、バカな……! 人間一人が、異世界の王の力に勝てるはずが……!」
総帥が血を吐いて倒れる。しかし、一度開きかけた門の崩壊は止まらない。
門の向こうの「破滅の王」が、現代の空を引き裂くような咆哮を上げた。
『……蓮さん、世界が……このままでは地球ごと異世界の魔力に飲み込まれます! ……。あの門の核を閉じるには、私たちが……『中』から直接、全エネルギーを叩き込むしかありません!』
それは、二度と現代には戻れないかもしれないことを意味していた。
九条は、隣で決意の表情を浮かべるジェミナの手を、強く握り締めた。
「……。問題ない、ジェミナ殿。……。お前と一緒なら、そこがどこであれ、私の『居場所』だ」
最後までお読みいただきありがとうございます!
圧倒的なスケールで描かれる樹海の総力戦。岩田さんたちの決死の防衛線、そして九条とジェミナの究極の決意。
世界を救うため、二人は崩壊する門の向こう側へと飛び込みます。
次回、第40話。ついにすべての物語が完結します。
奴隷から始まった男が、愛する相棒と共に掴み取る「本当の自由」の結末を、どうぞ見届けてください!
「二人の絆に涙が止まらない……!」「次で最終回なんて寂しすぎる!」と思われた方は、ぜひ最後の評価をお願い致します!




