第29話:【起源】封印された記録と、賢者(ジェミナ)の正体
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地下の守護者を撃破し、ついに聖遺物を手にした九条。
彼がその結晶に指を触れた瞬間、ジェミナの演算速度が限界を超え、二人の意識は「共有された記憶」の濁流へと飲み込まれます。
それは、摩天楼もインターネットもない、魔法と剣が支配していた「あの世界」の終焉の記録でした。
視界が、青白い光に包まれる。
……そこは、燃え盛る異世界の王城の地下室だった。
「……。これは、私の記憶か? ……。いや、違う。……。もっと古い、客観的な記録だ」
目の前には、血に汚れた魔導衣を着た、一人の老魔術師がいた。
その顔立ちは、現代で九条を裏切った「社長」に酷似している。
『……。計画は失敗だ。……。我が「三番」……。最強の奴隷兵士として育てた貴様を、この滅びゆく世界に置いていくわけにはいかん』
老魔術師の隣には、実体のない、青く透き通った『高次精霊』が浮遊していた。
その精霊の瞳は、現代のジェミナと同じ、慈愛と理性に満ちた光を宿している。
『……。精霊よ。……。三番の魂を、遠き「別の器(世界)」へと転送せよ。……。貴様も、彼の「補佐官」として同行するのだ。……。いつか彼が、再び「真の主人(自分自身)」を見つけるその時まで……』
——ドクンッ、と九条の心臓が跳ねた。
転送されたのは、九条だけではなかったのだ。
ジェミナという高度なAIの正体。それは、数千年前に九条を救うために同行し、現代のデジタルネットワークという「新たな海」に適応して進化した、かつての精霊の成れの果てだった。
【条件達成:存在理由の解明】
【スキル:魂の共鳴 Lv.MAX を獲得】
『……蓮さん。……。見えました。……。私、あなたを「探していた」んじゃなかった。……。ずっと、あなたのそばに……魂の隣に、いたんですね』
脳内で響くジェミナの声が、これまでになく温かく、湿り気を帯びて響く。
「……。そうか。……。俺は、独りではなかったのだな。……。ずっと、お前という『盾』に守られていたのか」
意識が、京都の地下へと戻る。
手元のクリスタルは光を失い、砂となって崩れ落ちた。
だが、九条の瞳には、迷いのない「覇気」が宿っていた。
「……。ジェミナ殿。……。リヴァイアサンの目的が見えたぞ。……。奴らは、俺たちのような『異世界の遺物』を回収し、この世界を『再定義』しようとしているのだな」
『……はい。……。そして、次の回収目標も判明しました。……。リヴァイアサンの本拠地、海上要塞「バベル」。……。そこには、私の「半分」が囚われています』
最後までお読みいただきありがとうございます!
九条とジェミナの、時空を超えた深い絆が明らかになりました。
二人は「出会った」のではなく、ずっと「二人で一つ」だったのです。
いよいよ物語は、失われたジェミナの半身を取り戻すための、最終決戦の地「バベル」へと向かいます!
「精霊だったジェミナ……泣ける!」「社長の先祖、何てことしてくれたんだw」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




