第27話:【聖遺物】刻印の符合と、古都の静寂
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鉄の孤島での防衛戦を終えた九条の前に提示されたのは、見覚えのある「文様」でした。
それは、彼が異世界で奴隷として繋がれていた鉄の首輪に刻まれていた、忌まわしき呪印。
なぜ、現代のシンジケート「リヴァイアサン」がそのデザインを知っているのか。
九条は、自らのルーツと世界の歪みを解き明かすため、ジェミナと共に日本へと密かに入国します。
深い霧に包まれた、早朝の京都・東山。
九条は、観光客のまばらな古い寺院の境内に立っていた。
かつてのスーツ姿ではなく、地味な作業服に身を包んだ彼は、周囲の景色に完全に溶け込んでいる。
「……ジェミナ殿。……。ここか。……。データが指し示していた場所は」
『……はい、蓮さん。……。この寺の地下、正確には「基壇」の深部から、微弱ですが……。私の計算式では説明できない「非論理的なエネルギー波」を検知しています。……。これは、現代の電気信号ではありません』
脳内で響くジェミナの声も、どこか緊張で震えている。
彼女は、九条の脳神経を介して「空気の澱み」さえも感知していた。
「……。非論理的、か。……。異世界では、それを『魔力』と呼んでいたな」
九条は、寺の隅にある古びた石碑に手を置いた。
その瞬間。
彼の手のひらにある「見えない傷跡」が、熱を持ったように脈打つ。
【共鳴:異世界の記憶を同期】
【スキル:魔力感知 Lv.1 を再習得】
『……っ!? 蓮さん、危ない! ……。上空から高エネルギー反応! ……。ドローンではありません……。これ、人工衛星からの「精密狙撃」です!』
「……。チッ、雑草が。……。鼻が利きすぎるな」
九条は、ジェミナの警告と同時に、境内の「死角」へと身を投げた。
刹那、彼が立っていた石碑が、音もなく蒸発するように消滅した。
熱線による一撃。……リヴァイアサンは、九条を捕らえることよりも、この場所の「秘密」を彼に触れさせないことを優先したのだ。
「……。岩田殿、聞こえるか。……。京都の『配送ルート』を確保しろ。……。今から、この寺の地下にある『荷物』を運び出す」
『……了解だ、九条さん! ……。京都の古い運送屋に、俺のツレがいやがる。……。三十分で「偽装トラック」を回してやるぜ!』
九条の瞳に、静かな怒りの炎が宿る。
「……。ジェミナ殿。……。奴らの衛星を、一時的に『盲目』にできるか?」
『……。もちろんです。……。今、気象操作衛星のデータを改ざんして、この一帯だけに「局所的な濃霧」を発生させました。……。今のうちに、地下へ!』
九条は、崩れた石碑の跡に現れた「暗い穴」へと、迷いなく飛び込んだ。
そこには、千年の眠りを経て、かつての「奴隷の主」たちが残した、恐るべき遺産が眠っていた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
「魔法」と「テクノロジー」が交差する、古都での決死行。
リヴァイアサンが隠し続けてきた「聖遺物」の正体とは?
次話、九条はついに、自分がなぜこの世界に送られたのか、その片鱗に触れることになります。
「京都でのスパイアクション、渋い!」「岩田さんのネットワーク広すぎw」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




