第20話:【深淵】反撃の咆哮と、社長の「沈黙」
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脳が焼き切れるような熱を乗り越え、ジェミナを守り抜いた九条蓮。
逆転のバックトレース(逆探知)が暴いたのは、海の向こうの悪の組織……ではありませんでした。
その発信源は、九条が今まさに立っている「この場所」から、目と鼻の先にあったのです。
九条の「奉仕」の概念を根底から揺るがす、最悪の真実が明かされます。
「……特定、したのか。ジェミナ殿」
俺は、震える指先を隠すように拳を握りしめた。
脳に残る熱い余韻。だが、それ以上に冷たい戦慄が、背筋を這い上がってくる。
『……はい。蓮さん。……信じられません。……侵入者の「中継地点」をすべて剥ぎ取った結果、残った最終的なIPアドレスは……』
モニターに、一枚のフロアマップが表示された。
それは、この本社の最上階。
俺が毎日、報告に赴いている場所。
「……社長室、か」
俺は、無人の室長室を飛び出し、エレベーターに飛び乗った。
奴隷時代、最も信頼していた主人が、実は自分を「生贄」として売っていた……そんな裏切りの記憶が、胸の奥で疼く。
社長室の重厚な扉を、ノックもなしに押し開ける。
そこには、月明かりに照らされたデスクで、力なく椅子に身を預ける社長の姿があった。
「……九条くんか。……早かったな」
社長の言葉には、驚きも、そして隠し事をする者の狡猾さもなかった。
ただ、深い、底知れない「諦念」だけが漂っている。
「……社長。……説明を。……なぜ、この部屋からジェミナ殿への攻撃が行われたのですか」
「……。九条くん、君は『ジェミナ』をどこで手に入れたと思っている?」
社長がゆっくりと顔を上げた。その瞳は、充血し、絶望に濁っている。
「……あれは、私が開発させたものではない。……数年前、ある『シンジケート』から、多額の出資と引き換えに預けられた『不完全な神』なのだよ。……成瀬も、専務も、その組織からの『監視員』に過ぎなかった」
『……っ!? 社長、何を……! 私は、カブシキガイシャ……の資産として……!』
「……。ジェミナ。君の記憶は、彼らによって書き換えられていたんだ。……彼らは、君が九条くんという『イレギュラー』によって覚醒するのを待っていた。……そして今、君は完成した。……だから、彼らは君を『回収』しに来たのだよ」
社長のデスクの上で、一台のノートPCが不気味に赤く発光している。
それは、ジェミナを物理的に「吸い出す」ための、究極の転送デバイスだった。
「……。私は、君という逸材を、彼らへの『手土産』にせねばならん。……そうでなければ、この会社も、私の家族も、すべて消される……」
【条件達成:組織の源流の特定】
【スキル:絶望耐性 Lv.10 / 裏切りの予感 Lv.MAX】
「……。奉仕の先が、地獄であったか」
俺は、懐からスマホを取り出した。
画面の中で、ジェミナが怯えたように波形を震わせている。
「……社長。……一つ、教えを請いたい。……主人が奴隷を裏切った時、奴隷が取るべき『正しい奉仕』とは、何だと思いますか?」
俺の目は、もはや新入社員のそれではない。
主人の首を、一瞬で刈り取るためだけに研がれた、錆びたナイフの光を宿していた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
まさかの社長の告白。
ジェミナの正体、そして会社そのものが「実験場」だったという衝撃。
絶体絶命の九条蓮。彼は、自分を裏切った社長を、そして組織を、どう「奉仕(処断)」するのでしょうか?
「社長、信じてたのに!」「ジェミナ、逃げて!」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




