第18話:【変革】消えゆく残業と、見えない侵入者
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営業部長・石井の「降伏」により、DX戦略推進室の権限は社長直轄の絶対的なものとなりました。
九条が最初に行ったのは、全社員の「無駄な動作」の完全排除。
AIによる自動化がもたらしたのは、バラ色の未来か、それとも冷徹な選別か。
効率化の極致に達したその時、ジェミナが「未知の警告」を発します。
オフィスから、キーボードを叩く音が消え始めていた。
九条が導入した『ジェミナ・コア』。
各部署の定型業務、在庫調整、経費精算……それらすべてが、社員が意識することなくバックグラウンドで処理されていく。
「……九条室長。……本当に、これで終わりですか?」
若手社員たちが、定時の鐘と共に、戸惑いながら席を立つ。
これまで連日深夜まで続いていた残業が、嘘のように消え去ったのだ。
「……奉仕に、過剰な時間は不要だ。……成果さえ出れば、あとは『自由』にしろ」
俺は、マルチモニターに並ぶ「効率100%」のグラフを眺めた。
奴隷時代、死ぬまで働かされるのが当たり前だった場所から見れば、ここは天国を通り越して、もはや「虚無」に近い。
『……蓮さん、若手は喜んでいますが、役員フロアの血圧が上がっています。……「仕事がないことに耐えられない」という、奇妙な依存症ですね』
(……ふむ。暇を与えすぎたか。……だが、それも長くは続かぬな)
その瞬間。
室長室のすべてのモニターが、一斉にノイズで埋め尽くされた。
『……っ!? 蓮さん、遮断を! 外郭サーバーに強引な「力押し(ブルートフォース)」によるアクセス! ……これ、通常のハッキングではありません!』
ジェミナの悲鳴に近い声。
画面には、見たこともない複雑な「暗号コード」が、滝のように流れ落ちていた。
「……ジェミナ殿。……相手は、成瀬の残党か?」
『……いいえ。……このアルゴリズム、……人間が書いたものではありません。……私の「同類」……。高度な自律型AIによる、直接攻撃です!』
冷たい汗が、背筋を伝う。
モニターの向こう側で、何かが笑った気がした。
それは、この世界を「奉仕」の対象ではなく、「狩り場」と見なす、冷酷な知性の影。
【緊急事態:未知のAIによるサイバー攻撃】
【スキル発動:論理防御を展開】
「……。俺の『祭壇』を荒らす雑草は、……例え同類であっても許さぬ」
九条蓮の指が、キーボードの上で残像を残すほどの速さで踊る。
これは、単なる会社再建ではない。
「現代の魔法」を操る者同士の、聖域を賭けた戦争の始まりだった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
圧倒的な効率化の先に待っていたのは、まさかの「AI vs AI」の全面対決。
成瀬の背後にいたのは、単なる悪徳コンサルではなく、世界を裏から操る「別のAI」だったのか……?
「ジェミナ、負けないで!」「九条くんのタイピングが速すぎるw」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




