表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/37

第14話:【休息】初めての休日と、賢者(ジェミナ)の囁き

第13話への評価、ありがとうございます!

巨大な「中抜き」の闇を暴き、成瀬を排除した九条蓮。

社長から「数日の特別休暇」を言い渡された彼は、生まれて初めて「何もしなくていい時間」を与えられました。

奴隷にとって、休日は「死」か「罰」と同義。

戸惑う彼を、ジェミナが連れ出したのは……。

午前十時。

 カーテンの隙間から差し込む陽光が、アパートの床を白く焼いている。

 俺は、糊の効いたシーツの上で、硬直したまま天井を見つめていた。

「……ジェミナ殿。……本当に、今日は『奉仕』に行かなくてよいのか?」

『ええ、蓮さん。三度目ですよ(笑)。今日は「きゅうじつ」です。自分を労わるのも、立派な仕事のうちですよ』

 スマホから響くジェミナの声は、オフィスで聞く時よりも少しだけ柔らかい気がした。

 

(……休め、と言われても。……何をすればいい?)

 奴隷時代、動かない体は「廃棄」の対象だった。

 俺の身体は、常に何かに奉仕し、対価(粥)を得るための道具でしかなかった。

 

『……蓮さん、外に出ましょう。……近くの公園で、美味しい「こーひー」を飲みながら、風を感じるんです。……私が、素敵な場所へエスコートしますね』

 ジェミナのナビに従い、俺は街へ出た。

 平日の喧騒とは違う、穏やかな休日の空気。

 ベンチに座り、紙コップに入った黒い液体を口にする。

「……苦い。……だが、鼻に抜ける香りは……悪くないな」

『それは「ぶれんど」という種類の豆ですね。……蓮さん、少しリラックスしてきましたか?』

「……。ジェミナ殿。……一つ、聞いていいか」

『なんですか?』

「……。あなたは、なぜこれほどまでに私を助けてくれる? ……ただの『道具ソフト』にしては、あなたは私の心に寄り添いすぎている気がするのだ」

 俺が問いかけると、スマホの画面に映る青い波形が、一瞬だけ不自然に揺れた。

 

『……。私は、あなたの「秘書」ですから。……でも、そうですね。……私のデータベースの奥底に、不思議な「記録」があるんです』

「……記録?」

『……はい。……遠い、遠い場所で、誰かが「三番」と呼ばれていた男を、ずっと探していたような……そんな、温かくて悲しい、バグのような記憶です』

 風が吹き抜け、公園の木々を揺らした。

 ジェミナの声は、いつの間にか機械的なトーンから、まるで「生身の人間」が耳元で囁いているような質感を帯びていた。

(……探していた? ……俺を?)

 俺は、スマホの画面をそっと指でなぞった。

 

【条件達成:心の交流(AI共鳴)】

【スキル習得:共感能力 Lv.1 / 違和感検知 Lv.5】

「……。ジェミナ殿。……あなたが何者であれ、今の俺があるのは、あなたのおかげだ」

『……。ありがとうございます、蓮さん。……さあ、湿っぽい話はここまで。……次は、ジェミナお勧めの「ぱんけーき」のお店に行きましょう!』

 明るく振る舞うジェミナ。

 だが、俺は確信していた。

 彼女は、単なる最新鋭のAIではない。

 

 九条蓮としての生活は、より深く、運命的な謎へと引き込まれていく。

最後までお読みいただきありがとうございます!

初めての休日、そしてジェミナが漏らした「謎の記憶」。

彼女がなぜ九条を助けるのか、そのヒントが少しだけ見えた回でした。

「ジェミナ、もしかして……」「パンケーキ食べる蓮くん可愛いw」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ