第13話:【断絶】特命の完了と、コンサルの末路
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現場責任者・岩田の涙ながらの告白を受け、証拠はすべて揃いました。
成瀬が張り巡らせた「搾取の網」を、九条は一瞬で切り裂きます。
新入社員が、数千万規模の不正を白日の下に晒す――。
ホワイトカラーの仮面の下で、奴隷の「冷徹さ」が光ります。
翌朝。九条は昨夜の現場での「対話」と、ジェミナが精査した裏帳簿を携え、社長室の扉を叩いた。
「……社長。第4物流センターの『正常化』、完了いたしました。……これが、その全貌です」
提出されたのは、単なる報告書ではない。成瀬の会社が、架空の保険料やシステム維持費として「吸い上げていた」金の流れを、一円単位まで視覚化した完璧な解析図だ。
「……何だと。……成瀬が、ここまで深く現場を侵食していたのか」
社長の顔が、怒りで赤黒く染まる。その時、社長室の電話が鳴った。
『……蓮さん、注意。……受付に成瀬が来ています。……かなり荒い呼吸です。……石井部長が降格したことで、自分の「集金ルート」が断たれると焦ったのでしょう。……今、エレベーターを上がってきます』
ジェミナの警告通り、数分後。
扉が勢いよく開き、血走った目の成瀬が飛び込んできた。
「社長! 騙されてはいけません! その九条という男は、現場の人間を脅して、虚偽の証言を捏造しているんです!」
成瀬は、俺を指差して叫ぶ。その手は、隠しきれない焦燥で激しく震えていた。
「……成瀬殿。お久しぶりです。……昨夜の酒の席以来でしょうか」
「うるさい! 社長、こいつは危険な男です! 現場の岩田たちも、こいつに暴力で脅されたと言っています!」
「……暴力、ですか。……私はただ、荷物を積んだだけですが」
俺は静かに、手元のタブレット(スマホの連携画面)を社長に向けた。
『……蓮さん、今。……成瀬が五分前に岩田のスマホへ送った「脅迫メール」を、リアルタイムで社内モニターに表示させました。……「余計なことを喋ったら、お前の家族の住所をバラす」……。卑劣極まりない内容ですね』
社長室の大型モニターに、成瀬が送信したばかりの生々しいメールが、巨大な文字で映し出された。
「なっ……なぜ、それを……!?」
「……成瀬殿。……あなたは、私を『道具』として見くびりすぎた。……そして、この世界の『記録』の力も」
社長は、氷のような冷徹さで受話器を取った。
「……警備員か。警察を。……いや、顧問弁護士も呼べ。……成瀬。貴様とは、法廷で話をしよう」
「ま、待ってください社長! これは誤解だ! 九条、貴様ぁぁ!」
逆上して殴りかかろうとする成瀬。
だが、俺は一歩も動かず、その拳を最小限の動作でかわした。
奴隷時代、主人の理不尽な暴力を数えきれないほど躱してきた俺にとって、怒りに狂っただけの素人の拳など、止まっているも同然だった。
【条件達成:元凶の完全排除】
【スキル習得:危機回避 Lv.MAX / 感情抑制 Lv.10】
成瀬が警備員に引きずられていく。
その背中を見送りながら、俺は深い溜息をついた。
「……九条くん。……君がいなければ、我が社は骨までしゃぶられていた。……本当に、感謝する」
「……。私はただ、自分の名に相応しい奉仕を全うしたまでです」
『……蓮さん、お疲れ様。……これで、第4センターの皆も救われましたね。……さて、次なる「雑草」はどこに生えているでしょうか?』
ジェミナの声が、達成感に満ちて響く。
九条蓮の日常は、まだ始まったばかりだ。
最後までお読みいただきありがとうございます!
成瀬の自滅。そして社長からの全幅の信頼。
「新入社員」という肩書きとは裏腹に、九条の影響力は社内で無視できないものになっていきます。
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