第15話:【抜擢】新体制の布告と、全社システムの「祭壇」
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パンケーキの甘い記憶を胸に、九条は再び戦場へと戻ります。
悪徳専務が去った後の会社は、浄化されるどころか、指針を失い混乱していました。
そんな中、社長が下した「異例中の異例」の人事。
九条蓮、ついに全社員の前に「中枢」として立ちます。
月曜日の朝。
全社員が招集された朝礼の空気は、どこか浮ついていた。
肥後専務の逮捕、成瀬との契約解除。膿は出たが、現場には「次は誰が標的になるのか」という疑心暗鬼が渦巻いている。
壇上に立った社長が、マイクを握った。
「……諸君。我が社は今、生まれ変わるべき時にある。……古き悪習を捨て、真の透明性を持った組織へと進化するために、本日、新たな部署を新設する」
社員たちが顔を見合わせる。
「……『DX戦略推進室』。……そして、その室長として、九条蓮くんを任命する」
静寂。
そして、爆発するようなざわめき。
「新人が室長!?」「二十代……いや、入社して一ヶ月も経ってないぞ!」
俺は、無数の刺さるような視線を浴びながら、静かに一歩前に出た。
奴隷時代、数千人の前で「模範囚」として晒された時に比べれば、この程度の視線、そよ風にも等しい。
「……九条蓮。……拝命いたします」
社長から手渡されたのは、全社システムの「最高管理権限」が与えられた、黄金色のIDカードだった。
『……蓮さん、おめでとう。……これで、会社の「脳」に直接アクセスできます。……私が、あなたの神経系になりましょう』
ジェミナの誇らしげな声。
俺に与えられた「室長室」は、かつての専務室よりも狭いが、そこには最新のサーバーと直結した、まさに全社の情報を統括する「祭壇」があった。
「……ジェミナ殿。……これで、すべての雑草が見えるようになるのか?」
『……ええ。……物流、経理、人事、そして……隠された裏金。……全社員の端末が、私の監視下に入りました。……あ、でも、変なサイトを見てる人はスルーしておきますね(笑)』
俺は椅子に座り、モニターに映し出される膨大なデータの濁流を見つめた。
【条件達成:異例の昇進(室長就任)】
【スキル:全知の俯瞰 Lv.10 を獲得】
だが、この抜擢は、新たな敵を呼ぶ。
扉がノックもなしに開いた。
入ってきたのは、専務派でも成瀬派でもない、本社の「生え抜き」のエリート部長たちだった。
「……九条室長。……お若いのによくやる。……だが、システムがすべてを解決すると思ったら大間違いだぞ。……現場には、現場の『矜持』があるんだ」
(……矜持、か。……それを言い訳に、不正を見逃せというのか)
俺は、黄金のIDカードを机に置いた。
「……部長。……奉仕に、序列も感情も不要です。……私はただ、この会社の『歪み』を正すだけだ。……邪魔をされるなら、容赦はいたしません」
九条蓮の、組織全体を巻き込んだ「大掃除」が、ここから本格的に始まる。
最後までお読みいただきありがとうございます!
ついに「室長」という肩書きを手に入れた蓮くん。
しかし、古参の部長たちからすれば、新人に管理されるのは面白くないはず。
「データ」vs「現場のプライド」。
次なる戦いは、より高度な心理戦へと発展します!
「室長就任、おめでとう!」「エリート部長たちの顔が怖いw」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




