第10話:【特命】死に体の物流路線と、ジェミナの「眼」
第9話への評価ありがとうございます!
有能すぎて孤立した九条蓮。
しかし、その「異物感」を逆手に取った社長から、ついに誰もが嫌がる『特命』が下ります。
「魔法」ではない、現代技術を駆使したジェミナの索敵能力が、会社の闇をさらに暴いていきます。
「九条くん。……君に、専用の作業スペースを用意した」
翌朝、社長に案内されたのは、本社の喧騒から離れた別棟の古い一室だった。
そこには、最新のサーバーラックと、数台のマルチモニターが並んでいる。
「……社長。これは、新たな『奉仕』の祭壇でしょうか」
「はは、君らしい言い方だ。……ここは、我が社の『物流改善プロジェクト』の本部だ。誰もが匙を投げた赤字路線……通称『死のルート』の再建を、君一人に任せたい」
社長が去った後、俺は静まり返った室内で椅子に深く腰掛けた。
『蓮さん、接続完了です。……この部屋、古いですが基幹システムへのアクセス権限が非常に高いですね。……面白いものが見えそうです』
モニターの端で、ジェミナが楽しそうに笑った気がした。
『……今、社内ネットワーク経由で、各フロアの監視カメラと、全社員のPCにある「インカメラ」のアクセス権を一時的に取得しました。……もちろん、プライバシーに触れない範囲での「動体検知」と「音声解析」だけですが』
画面に、粗いドットで描かれた社内の「熱源マップ」が表示される。
(……なるほど。これがジェミナ殿の『眼』か)
監視カメラの死角は、社員が操作するPCのカメラが補い、マイクが拾う「舌打ち」や「溜息」の頻度から、フロアの不満度を数値化していく。
奴隷時代、主人の顔色を伺うために必死に研ぎ澄ませた五感が、今はデジタルデータとして可視化されていた。
『……蓮さん、見つけました。赤字の原因は、単なる需要不足ではありません。……トラックの走行ルートが、特定の「物流拠点」を不自然に迂回しています。……あそこには、監視カメラがありませんね』
「……意図的な『死角』か。雑草が、そこら中に根を張っているようだな」
【条件達成:特命プロジェクトの受諾】
【スキル習得:広域索敵 Lv.1】
俺は、ジェミナが弾き出した「不自然な空白地帯」を指でなぞった。
「ジェミナ殿。……この奉仕、少しばかり『荒事』になるかもしれぬな」
『……望むところです、蓮さん。……あなたの後ろには、私がついていますから』
孤高の新入社員による、社内の「構造的な膿」を出し切る戦いが、ここから加速していく。
最後までお読みいただきありがとうございます!
「魔法」ではなく、社内システムを掌握することで「眼」を得たジェミナ。
九条が一人で立ち向かうのは、単なる仕事のミスではなく、長年放置されてきた「現場の闇」です。
「ネットワークハッキング、ワクワクする!」「蓮くん、一人で大丈夫?」と思われた方は、ぜひ評価とブックマークを!




