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10 おばちゃん探偵はゴキの糞をも見逃さない(帚おばちゃん視点)

これはあくまで帚おばちゃん視点の話……以下略。


前話と時間軸がほぼ同じになりますので、省略しても次話を読むのに支障はありません。いわば蛇足です。


ここまでのまとめ(ゴキブリ):召喚ゆうかい→ 4年 → 封印が解ける → 1年 → 旅に出る → 2年 → 召喚ゆうかいその2 → 1年弱 → 封印 → 日本に3年半 → 封印の街 → 1年半 → 封印が解ける → 1年 → 次のシンクロ期


召喚ゆうかいされて早や8年、世界一周の旅にでて早や3年、邪神の封印の必要性への疑問が大きくなったころに邪神を発見した(補足1)。結果的には予定通りの封印になったけど(補足2)、60年は持たないって勘が告げているの(補足3)。


幸い、これに気付いているのはあたしと勇者クンだけ。なので、そのまま、封印の報酬の「悠々自適いんきょライフ」に入らせてもらいました。監視は4人だけ(補足4)。行き先はもちろん日本大陸。だって、世界は存分に回ったし、あたしはもうろくじゅうゲフンげふん。


気になることが2つある。封印が解けたら隠居どころでない事と(補足5)、邪神が行なったかもしれないという召喚の話ね(補足6)。勇者クンと相談したところ、封印の確認はもちろんのこと、召喚者を捜すのも、監視の目をくぐるのが先決という事になった。


でも、その前に骨休み(補足7)。美しい山や海をバックに温泉を楽しむ日々で(補足8)、のんびりと4年近く過ごしたのよね。その間にやったことといえば、言葉を覚えることと、ちょっとした技術アドバイスかな。そうして、邪神騒動が下火になった頃に、私たちは国内旅行に出かけました。その途中で邪神が見つかったという街も通過する予定でね。今まで行けなかったのは純粋に私たちの身の安全の為らしい(補足9)。


実際に邪神が最後に見つかったという村では、手がかりは見つからなかったけど、それでも、現場に立つことで湧くインスピレーションというのはあるのよね(補足10)。それは、私が召喚者ひがいしゃで、もしも邪神に同情する立場だった、どういう行動をするかということ(補足11)。


召喚者ひがいしゃの存在を確信したものの、問題は、連中があたし達すら避けているらしいこと。でなきゃ、この村にあたし達にしか分からない手がかりを残す筈でしょ(補足12)? あたし達すら避けるということは、こっちの世界に長くいるつもりがないってことかな(補足13)。捜す価値はありそうね。ただし勇者クンとだけでこっそりと。


いや、それより早急にやるべき事があった。それはゴキ退治。この村でゴキの糞のような痕跡を見つけてしまったのよね。ゴキがまだ残っている? つい最近までここにいた? これは全宇宙の問題じゃないの(補足14)。


というわけで、日本大陸でのゴキ退治作戦を発動させました(補足15)。こうして世話人かんしをゴキ退治に釘付けにして1年後、隠密裏に日本大陸から脱出した(補足16)。おばちゃんも結構やるでしょ? 意外とあっさりだったのはゴキのお陰かも(補足17)。


封印の街に着いて、半年程度を覚悟して隠れ家を確保したんだけど、3カ月あまりで封印が解けたのはビックリだったぁ。そして、その直後の情報から、きっと召喚者ひがいしゃも近くにいるって確信したのね(補足18)。


慌てて召喚者ひがいしゃを捜すけど見つからない。でも、隠れ家を借りていたらしい痕跡は見つかった。だから、諦めて、封印チームに見つかるまえに、あたしたちも逃亡生活に入たのよねえ(補足19)。


期間は1年で、最終目的地は(おろらく)日本大陸。仮にハッカー達が地球への帰還を目指すなら、より地球の日本とのシンクロ度の高い場所を選ぶだろうから(補足20)。


痕跡を残さないように世界各地を回ってから、シンクロ予定日の1カ月前に日本大陸行きの船に乗ろうとしたところ(補足21)、アジア大陸側で邪神が現れたとの急報が入った(補足22)。行き先をずらした? と思ったものの、結局日本大陸に向かう(補足23)。行き先は商業の都。

以下の補足は帚おばちゃんによるもので、筆者はその内容に関知しません。


(帚おばちゃんによる補足2-1)

封印の必要って本当にあるの? 勇者クンなんか

『世界の人間の目を、国の腐敗とか不公平とか弾圧から反らす為に、各国トップが示し合わせて、邪神封印を喧伝してるんじゃない?』

とか物騒なことを言ってるけど、まさかねえ。


それよりゴキ退治のほうがずっと重要でしょ? あたしだけでなく世界にとっても。 そりゃあ、郷に入っては豪に従えともいうし、この世界が地球の中世よりは戦乱が少なそうに思えるから、邪神封印には協力するけど。


(帚おばちゃんによる補足2-2)

あたしも勇者クンも、腹をくくって60年封印を予定通り始めたけど、ゴキが飛び込んで来て、条件反射でそっちに反応するうちに、封印が数年で終わりそうになっちゃたった。慌てて最大限の増幅で最後の仕上げをしたら、たまたま20倍になって、ちょうど60倍。ふう。どうやら成功よね?


それにして、あのゴキ。やっぱりゴキこそ邪神以前に殲滅すべきだったぁ!


(帚おばちゃんによる補足2-3)

元々の2倍という倍率が、どんなに少ない魔力でも対応できるように少なめにしてあるから、それが間違って20倍になって、薄く長く引き延ばされたところで、どこまでもろくなるかは分からない(筆者注:第7話の補足33ならびに第8話の補足28参照)。ただ、あの時の感触から、始めは2倍増幅で出し始めて、それを薄く伸ばしたので、後ろほど弱い気がするのよね。


世話人達にも封印チームの連中にも気付かれなかったから良かったけど、この封印ってどうなるのかな? 本来の3X2=6年とあまり変わらない気がする。勇者クンも同意してたし。


(帚おばちゃんによる補足2-4)

世話人という名の監視役兼ハニートラップが、あたしと勇者クンに2人ずつ。ちなみに、うち一人ずつは新しく入れ替わった人で、あたしたちが望めば、ベテランの方も1年以内に若い子に交代できるって。こっちでなれ合われたら困るってことか。うん、監視の意味が分かってらっしゃる。だからあたしは警戒を強めたけど、勇者クンは鼻の下を伸ばしていた。


(帚おばちゃんによる補足2-5)

その場合、絶対にかり出されるよね。そりゃ、召喚ゆうかいから10年過ぎると封印する能力が急速に落ちるけど、ゼロになる訳じゃないし、次に召喚ゆうかいされる人が育つまでのつなぎの封印ぐらいはできる。だから、世の中に不安を与えないように、封印能力の低下は、ごく一部の者だけの秘密で、封印チームの中にも知らない人がいるぐらい。


それでも、あたし達に知らされているのは「成功したら安心して引退生活を楽しめる」という飴が、あたしたちみたいに同朋のいない者に効くって知っているから。だから、勇者クンに言わせると、10年過ぎると、というのすら嘘かも知れないんだって。確かに、時間制限があった方が封印魔法の習得に熱心になるよね。


ってことは、たとい完全に能力が無くなっても、世の中がそれを知らない以上、安心の為に「邪神を追っかけている」ふりを強要されるだろうなあ。つまりは、封印チームの監視下で世界中を引きずり連れ回されるってことかぁ。こっちは、もう歳だから勘弁して欲しいよ。


だから勇者クンに「ヤバい気がしない?」って尋ねたら、勇者クンったら「年齢的に僕の方がもっとヤバいですよ」だって。わかっちゃいないねえ。それが「祭り上げ」って奴なのよ。そこに敬老の精神なんて無いって。天皇だって、還暦近くになってから即位したわけで、きっと80歳過ぎまで働かされるよ?


となると、なんとか、監視4人の目を欺いて、何処かに目をくらまさねくっちゃ。


(帚おばちゃんによる補足2-6)

シンクロ魔法が使われたのではないか、との疑念が、ごく内密に広がったけど、調査が進む前に邪神を封印したので、とりあえず話は下火になっているみたい。一応、最近のシンクロ期のあとに邪神発見が報告されたという寒村では、村民全員に聞き取り調査があったらしいけど(筆者注:第8話の補足23参照)、この時に見かけられたという不審人物は、実は邪神が乗り移った村民だったとのことで、召喚者ひがいしゃがいたかどうかはあやふやになったんだって。


本当に召喚者ひがいしゃが本当にいなかったのか、それとも、他の土地で召喚ゆうかいされたのか、はたまた、小さな村の団結で口が堅かったのか分からない。でも、地球人が他にもいる可能性がある以上、気になるのは当然でしょ?


(帚おばちゃんによる補足2-7)

人は休まないと、行動を間違えたりするものなのよ。だから、権力を持っている人が十分な休みを取らないのは危ないんだけど、日本ってどうして権力者が短い休みで済ますのかしらね。特に高齢者の権力者は、若い人の何倍も「まったく何もしない」夏休みと冬休みが必要なのに。後期高齢者のトップに権力を集中させて、そのトップが休みを1週間程度しか取らないという習慣を続けてるし。これじゃあ、間違った判断をバンバンしてもおかしく無いよねえ。


(帚おばちゃんによる補足2-8)

現代日本と違って、開発が進んでいないから、自然の素晴らしい露点温泉だったわぁ。変なホテルや道路が視界に入る事もないし、時には野生動物も視界に入って来るし。


(帚おばちゃんによる補足2-9)

もしも村民全員が隠れ切支丹のように邪神信仰を隠していたとしたら、その邪神を封印した私たちが復讐される可能性があるとのことらしい。


ナウロッパや北西大陸はどうだか知らないけど、普通の国では、隠れ信者とか異教徒を捜す際は、誤摩化そうと思えば誤摩化せるレベルのチェックだけで、徹底的にはあぶり出さない。そんなことをしたら反乱に繋がりかねないから。だから、邪神信者で固まった村があってもおかしくないらしい。


もっもも、甘い調査にすら引っかかる者は、流石に狂信者として、それなりの対応をとるから、あたしたちを害しようとまでする信者は、他の大陸ならともかく、日本大陸にはいないだろうとのことだけど。


(帚おばちゃんによる補足2-10)

探偵モノ小説やドラマで、探偵や刑事が現場に立って思索する理由が初めてわかった。っていうか、これって仕事一般に言えるよね。あたしの地球での仕事でも、上のお偉いさんが机の上で「これでいけるはず」って計画することって、たいてい的外れだもの。ってこれはちょっと違うか。


(帚おばちゃんによる補足2-11)

そんな立場なら、隠密裏に行動するだろうし、邪神が移動する際の憑依相手にすらなるよね。そして、邪神の封印を邪魔すべく、魔道具しょくばいにバグを仕込む。それが出来るような人間って、確かに地球にはいるもの。ハッカー。あ、これで繋がった! だから、最近魔道具しょくばいの誤動作事件が聞こえて来るようになったのか。バグなんて、昔からあることだって、勇者クンが言ってたけど、そうじゃなくて、本当に魔道具しょくばいの問題が徐々に増えているんだ。


そんな簡単なことに、なぜ3年間も気付かなかったのかという非難は、それこそ現場を知らない人間の机上の空論よ。村に立つことで、純粋にハッカー(仮)達の心理が見えて来るってものなのだから。いや、ハッカーと決まったわけじゃないけど、邪神なら呼び込みそう。なるほど、確かによこしまな神かも。


(帚おばちゃんによる補足2-12)

勇者クンだったら、コロナのイラストの横に五輪のマークを書く言っていた。3代前の勇者達が伝えて以来、五輪のマークは親善対抗試合で使われるマークになって子供でも知っているし、コロナは太陽の絵として普通に見過ごされるけど、両方一緒だと地球の日本の2021年を意味する。つまり、前回の召喚ゆうかいの後に来た者という意味で、しかも彼らより2年前に地球から飛ばされたあたしたちにも分かるって訳。へえー、勇者クン、結構、想像力あるじゃないの。


(帚おばちゃんによる補足2-13)

魔道具しょくばいをハックできる人たちなら、シンクロ魔法を改良するのも可能かも知れない。となれば、上手く合流できれば、あたしたちも帰れるかも知れないのよね。


(帚おばちゃんによる補足2-14)

ゴキが封印の時に現れたことに対して、あたし達は

「ゴキブリのせいで危うく失敗する所でした。だから殲滅しろと言ったんです!」

と強い口調で、世話人達や封印チームに抗議したので、それ以来、ゴキは「邪神の眷属」として、殲滅対象になっている。にもかかわらず、ここで見つかった。この世界はゴキ退治に関しては本当に無能! 


怒りのあまり『もしかして、ゴキに先を越された?』という考えが頭に思ってしまったあたしはおかしくないよね? お陰で、次の瞬間に、召喚者ひがいしゃの存在を確信したできたのだから? 先走りすぎ? いいの、いいの。たとい無駄足でも、同朋の人を捜すという人生の楽しみが増えたのだから。


(帚おばちゃんによる補足2-15)

そりゃさあ、ハッカーと思しき召喚者ひがいしゃ捜しも重要だけど、そっちは場所と時期に目星がついているし、余りにも早く向かうと、召喚者ひがいしゃがその街に入る前に、世話人という名の監視者たちに探し出されてしまいそうなのよね。だから、1年余り待ったわけ。


ゴキのほうは見つからなかったから、居ない可能性が高いけど、ゴキが再びやってこないとも限らないから、この1年余りの大キャンペーンは無駄ではないと思う。


ハッカー達の行き先? それなら封印の街でしょ。ハッカーなら封印時の3X20の意味を理解して、解ける前に邪神に合流すると思われるから。


(帚おばちゃんによる補足2-16)

行き先が封印の街だからこそ、決行しやすかったってのはある。たとい潜伏後に監視に探し出されても、封印が気になったという言い訳ができるから。


(帚おばちゃんによる補足2-17)

ゴキを見逃していたのが世話人連中の役人一般への説得不足という面があるから、世話人たちを叱咤しったして、ゴキ対策に専念させたんだ。お陰で、あたし達の監視が緩んでちょうど良かった。


(帚おばちゃんによる補足2-18)

だって、邪神に取り憑かれたらしい人が封印地の近くに出なかったから。召喚者ひがいしゃが回収したと考えると辻褄があっているのよね。


しかも、その直後にゴキの糞を隠れ家で見つけたんだよ。ここまできたら、こりゃ絶対に同じゴキだよね。確信。ふん、なめた真似をするじゃないの。でも、きっと召喚者ひがいしゃも近くにいるって確信できたのは大きいかな。


非科学的思考ってことは分かってる。きっとげんを担ぐようなものだと思う。でも、この予感、当たってるんじゃないかなあ。おばちゃん探偵は何処かで勘ってものに賭けるものなのよ。


(帚おばちゃんによる補足2-19)

だって、世話人達というか、封印チームに見つかったら最後、次に召喚ゆうかいされた人たちが使い物になるまで、酷使されるに決まっているもの。


まあ、たとい逃亡中に見つかったとしても、邪神と同行しているらしき者を追っていたと言えば言い開きはできるってのも大きいかな。これがあたし達のプランB。

「いつでも撤退できるからこと、進めることに意義がある」

などと、戦前日本のトップと同じ言葉を繰り替えして、大量の人を犠牲にするのとは違うのよ。撤退条件を示さない人とかか、失敗時の戦略を示さない人たちと一緒にしないで欲しいな。


(帚おばちゃんによる補足2-20)

ナウロッパで召喚ゆうかいする連中が、なぜ日本で召喚ゆうかいしないのか疑問と言えば疑問だけど、きっと地震や水害が少ないのが大きいんだろうな。


そう思っていたら、どうやら間違いだったらしいってことを、ずっと後に知った。あの時は本当に幸運に助けられたのだと思う(筆者注:次話が次々話で明らかになります)。


(帚おばちゃんによる補足2-21)

余りに早くに日本大陸に行くと、各地で顔を知られているあたし達の日本滞在がバレる。しかも前回のシンクロ期に邪神が長期滞在した大陸だから、封印チームの多くがそちらに滞在している。あたしたちが見つかり次第、そこに連れて行くのはもちろんのこと、あたしたちが自主的に合流する事を期待している節すらある。だから、日本にはギリギリまで行くべきではないの。


ハッカー達は「異邦人」だから、おそらく、人口の多い街に紛れ込んでいるだろう。しかも異邦人の多い街。つまり最大の商業都市だ。そう予想がついたので、シンクロ半月前にその街に着けば良いと逆算したのよね。


(帚おばちゃんによる補足2-22)

屈指の河川流域(地球で揚子江にあたる)で、大量の邪神信者が現れた。大洪水を予測して、それを信じた人が大量に助かったことから、明るみになったらしい。


(帚おばちゃんによる補足2-23)

邪神は陽動。直感がそう告げていたから。

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