9 絶滅確定種って定義は、地球にはまだ存在しないらしい(ゴキブリ視点)
これはあくまで自称主人公視点の話……以下略。
引き続き「夏のホラー2021:かくれんぼ」に協賛しております。長くなったので、分割しましたが、それでも補足だけで7500文字程になっております。
開き直って帚母・高校生コンビと合流した私は、メスや卵を守るギリギリの闘いをしながら、邪神を追う旅を続けた(補足1)。その後、いろいろあったものの(補足2)、合流から1年後に待ち伏せ場所で邪神と遭遇した(補足3)。
この頃までには、邪神に対する認識も変わっていたので(補足4)、封印効果を少しでも弱めるべく、封印魔法発動の直前に帚母・高校生コンビと邪神の間に飛び込み(補足5)、コンビを攪乱する目論みは成功した(補足6)。ただ、封印年数が60年のままだったのは妙だけど(補足7)、まあ、いいか。役に立ったと思うことにして(補足8)、今は逃げることが先決だ。
帚母・高校生コンビと封印チームが封印に専念しているうちに、無事に隠れ家にたどりついた。ふふふ、これで危険な2人からの、命がけのかくれんぼも終わりだ(補足9)。
そう思った私に襲ったのは、それから数日のうちに起こった悲報だ(補足10)。把握している卵鞘は総て潰され、挙げ句に3匹いたメスもことごとく殺された(補足11)。いや、諦めるのは早い。これではいけないと奮起した私は、危険を承知で、まだ見つかっていない(かもしれない)卵を捜し始めた(補足12)。
数日、街を探しまわったころ、私の乗っていた船が短い距離の貿易を済ませて、再入港する話があった。当然、そっちの捜索が優先だ(補足13)。しかし、それが運命の分かれ目で、私は船に運ばれて、結果的に東の島「日本大陸」に渡ってしまった(補足14)。しかも温泉の街(補足15)。こうなると、99%あり得ない可能性の為に、封印の街へ卵を捜しにいくのも面倒になる。私はもう良い歳なのだ(補足16)。
絶滅確定種(補足17)の孤独な余生に突入した私だが、どうせなら旅行をでも、と思って日本を回っているうちに(補足18)、ある村で耳寄りなヒソヒソ話を聞いた。魔神様とかいうのが、異世界からハッカー様という者を4年半前に呼び出したらしい(補足19)。
ハッカーであれば、召喚魔法を改造して、元の世界に戻す魔法を作るのも可能かもしれないし(補足20)、ハッカーのような現代っ子の申し子が、こんな中世的な世界で一生我慢できるはずがない(補足21)。そう気付いた私は、ハッカーを追いかけることにした。村人の噂していた行き先は、温暖と言っても実は寒い地だ(補足22)。ならば、その後にハッカー達が落ち着く場所として思いつくのは、邪神の封印された街だ(補足23)。
その街に向かった私は、果たしてそれらしき男女を近隣の街で見つけた(補足24)。ゴキブリは全く見かけられなかったが、それでも絶滅危惧種の私には希望だ。
しかし良いことばかりではない。この街に来て1年ほどした頃に、あの帚母・高校生コンビがこの街にお忍びでやって来たのだ(補足25)。潜入した際に耳にしたヒソヒソ話によると、この2人もまた、邪神の封印が1年以内の解けると確信しているらしい(補足26)。
果たして、コンビが来て3カ月後に、邪神=魔神様の封印が解け、ハッカー達の所に現れた(補足27)。封印が解けたことは、当然ながら、帚母・高校生コンビにも知られ、さらに、その事実が魔神様からハッカー達に伝えられたが(補足28)、幸いにして召喚者4人が顔を会わせることはなかった(補足29)。
以下の補足はゴキブリ君によるもので、筆者はその内容に関知しません。
(自称主人公による補足3-1)
以前よりも状況は悪く、1回でも卵鞘が見つかると、船の中ゆえに「かくれんぼ初心者」のメスには厳しいので、メスを私の近くに引き止めたいが、ゴキブリに私の意思が通じる訳もなく、自由に動いて、ゴキブリ退治のプロ2人に見つかってしまう。私に出来るのは卵を保護することだけ。幸い、気候で孵化が遅れたお陰で、その後1年足らずの旅で、3回しか世代交代をしていないが。
(自称主人公による補足3-2)
合流から少し後に邪神が消息を絶ったが、その8カ月後ぐらいに日本大陸で見つかったという連絡が入った(筆者注:第7話の補足28参照)。そこで封印チームの連中は、東西交通の要所にあたるガンジス海峡で待ち伏せることになった(筆者注:第7話の補足31参照)。
(自称主人公による補足3-3)
待ち伏せ自体は、私からみても穴だらけの体制で(筆者注:第7話の補足32参照)、邪神と遭遇できるとは余り思えないが、私にとっては、船移動の必要がなくなった事がありがたかった。メスや卵を守るのが楽になり、滞在中に孵化したメスが、卵鞘を3-4回生むぐらいの時間が経っても勇者達に見つかることは無かったほどだ。
「これなら2つ潰されても大丈夫」
そう思っていた頃に邪神がやってきた。
(自称主人公による補足3-4)
必ずしも邪悪とは限らず、むしろ天気予報で漁民や旅行者の命を守る「おせっかい焼き」な神様らしい。もちろん、そういうおせっかいは、過保護ママとか手取り足取り指導者とかのように、人間の発展・成長を阻害する可能性はあるけど、流石に「邪」というのは可哀想だし、問答無用の封印もおかしい気がする。
(自称主人公による補足3-5)
封印魔法は邪神には効いてもゴキブリには効かない。
(自称主人公による補足3-6)
高校生のほうは、封印に使う両手のうち、片手を私を叩くために振りかぶり、その影響でもう一方の手も指が3本しか開かなかった。帚母のほうは歳のせいか(召喚時に50歳代後半だったみたいだから、既に60歳台半ば?)、手の動きが鈍っただけで、両手はそのままだったけど、タイミングが完全にずれた。ゴキブリは体が小さいから、反射神経の単位時間も人間よりはるかに短くて、それでここまで確認できたのだ。さすが主人公スペックだよな。
ともかくも、10本指の3本しか封印に使われていない上に、2人が協力することによる相乗効果(3倍増)を失ったってことだ(筆者注:第2話の補足1参照)。
(自称主人公による補足3-7)
ただ、妙だったのは、封印の最後の段階。仮封印のして10秒以内に、元々準備していた魔道具(高校生は短い杖の先端に木製の手を付けて孫の手に改造しているし、帚母のほうは長い杖の先端に藁をつけて帚にしているけど、効果が変わらないことは、過去8年の偵察で知っている)を手に取って、それを発動することで、倍増と、封印の確定が出来るのだけど、こちらは正常に行なわれたにもかかわらず、封印年数が3x2の6年でなく、60年になっている。
倍率ってどの段系で決めるのだろう? 魔道具に設定しているのかな、それとも発動時に決めるのかな? まあ、どっちでもいいや。尋常でない封印だから、きっと早めに封印が緩むと思う。
ちなみに封印後は、封印領域から生物がはじかれるので、封印時に憑依されていた人間はもちろんのこと、土に含まれる微生物まで封印領域から追い出されて、領域のすぐ外がカオスになるらしい。封印領域内に残るのは邪神と無生物だとか。考えてみれば邪神は増えないし「境界」っていうか実態もない。そういう古典的定義に従えば、確かに邪神は無生物だ。
(自称主人公による補足3-8)
だって、巻き込まれた者が重要な役割を果たすって「お決まり」でしょ? 8年間苦労して来たのも、主人公属性(=需要な役を担う)だからに決まってるし。
(自称主人公による補足3-9)
こういうのをフラグって言うんだよね。嬉しさのあまり忘れてた。
(自称主人公による補足3-10)
封印というノルマが終わったらゴキブリ殲滅に専念するのは当然だよなあ。しかも私に邪魔されんだ。帚母・高校生コンビだけでなく、封印チームまでもが本気で私を追い回した、その結果、私は卵を回収する暇も無いままに、生き延びるので精一杯。
(自称主人公による補足3-11)
隠れ家も急襲されて、隠れ家にある卵鞘を救う暇もなく、命からがら逃げ出した。気の緩みと疲れで、2人の動向をこまめに偵察しなかったのが仇になった。疲れはきっと封印魔法の余波をもろにかぶったせいだと思う。
こうして私は子孫を残す手がかりを失った。レッドリスト。絶滅確定種。最後のニホンオオカミやニホンカワウソも、こういう気持ちだったのだろうか?
(自称主人公による補足3-12)
私が把握してないだけで、何処かに卵鞘かはぐれ卵が残っているかも知れない。一番可能性があるのは、この街の何処か。次に可能性があるのは、乗って来た船。
実は、私にこの可能性に気付かせてくれたのが、帚母・高校生コンビの
「あのでっかいボスが残ってる」
「それよりも卵を潰すんが先でしょ」
という会話だったりするから、何が生きる希望を与えるか分かったものではない。
(自称主人公による補足3-13)
今まで見つからなかったということは、街に卵鞘が残っていないか(こっちの可能性が極めて高いが)、上手く隠されているかのどちらだろう。前者なら捜すのが無駄だし、後者なら私が船の捜索を終えるまでに再び戻って来るぐらいまでは見つからないだろう。入港した船はいつ再出発するのか分からないから、調べるなら今のうちだ。私の庇護なくして船で孵化しようものなら、塩水などで全滅してしまう。
(自称主人公による補足3-14)
人の乗り降りだけで、荷物の搬出・搬入がなかったんだ。僅かな搬入物は水のみ補給は短時間で終わった。他は前の港で全てを搬入していたらしい。そして、船はそのまま大陸南東岸(地球で言えばバンコクあたり)まで一気に無補給でいきやがった。なんでも治安対策・海賊対策だそうだ。その間、船をどんなに捜しても卵が見つからなかった。
船内で聞いた情報だと、目的地は日本大陸だそうだ(筆者注:第7話の補足28参照)。見つからない卵のためにこの船に乗ってしまった私は自暴自棄となり
「余生は日本でもいいか」
という、後ろ向きの考えが頭をよぎって、気がついたら途中下船の機会を失った。だって、その中継点でも、補給程度で荷物の積み降ろししかしなかったし。
(自称主人公による補足3-15)
元々日本でも瀬戸内海の海上交通は官民ともに陸上よりはるかに進んでいて、水上交通で軍事船技術が発展するのを恐れた江戸幕府が、大型船建造を幕末まで制限したほどなんだから、ましてや、世界的に水上交通が陸上交通より発展しているこの世界の(筆者注:第6話の補足8参照)、日本の鎌倉・室町時代に対応するこの時代では、九州の天然の良港が貿易の中心になるのは当たり前。しかも、以前の勇者達の中に引退後を温泉街で過ごしたがる者が少なからず居そうとなれば、別府が貿易の中心になるのは当たり前か。
ちなみに、地質的には、インド亜大陸ほどじゃないにして、日本列島も地球より少し遅れているから、阿蘇山が火山として世界最高峰だったりする。10000m近い高峰をバックに温泉に入るって、最高じゃん。ゴキブリの体でなければ、とつくづく思った。人間とは言わない、せめて猿や犬や熊、駄目ならネズミや蛇でも良いから、温泉を楽しめる体に生まれたかった。
(自称主人公による補足3-16)
一体いつまで私の寿命は続くのだろうか? 転生特典にしても、ゴキブリとしては長過ぎない? それとも、中身と同じく人間並みの寿命が与えられた?
(自称主人公による補足3-17)
環境省の定義にも、各種国際団体の定義にも絶滅「確定」種という言葉はないらしい。絶滅種か野生絶滅種か絶滅危惧種だけ。見つける側としては、一匹見つければ、番も見つかるだろうという希望が出るから、確定という言葉を使う余地がないらしい。うん、なんだか量子物理の観測と確定の関係みたいだ。
つまりだ、私は自分が最後の一匹で卵も存在しないと確信しているけど、それは確定ではないってことらしい。でも、科学における確定って、99.9...%のことを確からしさという意味で、素粒子の新発見も、そういう確率的な確定だよね? なら絶滅だって「確定」をつかってもいいじゃん。
(自称主人公による補足3-18)
考えてみれば、よくぞ帚母・高校生コンビに出会わなかったものだ。同じ時代の日本、しかも帚母は同じ街から来たのだから、行きたい場所というのは似通っているはずで、危ない危ない。
(自称主人公による補足3-19)
それが国の上の者にバレた際、一時的に年貢が増えたらしい(筆者注:第8話の補足23参照)。ただ、ナウロッパ大陸や北西・南西大陸のような弾圧では無かったみたいだ(筆者注:第6話の補足23参照)。
(自称主人公による補足3-20)
邪神封印の少し前に、魔法バッグに不良品があるらしいという話を、帚母の世話人達が噂していたけど(筆者注:第7話の補足29参照)、風の噂にバッグ以外の魔道具にも、新品でもないのに「バグ」としか言いようの無い変な発動をする物が見つかるようになったとか。タイミング的にも内容的にもハッカー達の仕業だろう。そして、そんなハッカーの存在は、この村の住民しか知らないし、その住民にしても、ハッカー達が何をしているか全然知らないだろう。
(自称主人公による補足3-21)
約20年おきの召喚者の知識で文明が進んでいるといっても、実際の技術の発展は非常に限られている。例えば電気だが、これを作るには電池の電極の化学物質か発電機用の磁石を準備しなければならない。それは電気なしで電極の物質を精製するか、電気無しで強い磁石を準備しなければならないことを意味する。
私が思いつくのは、まずイルを作って、そこに電池を繋げて強い磁界を作り、その影響下で鉄をキュリー点近くまで熱することで磁石を作り、その磁石をコアにしたコイルに、また電池を繋げて、より強い磁界を作って、というループを繰り返すことぐらいだけど。電池の代わりに落雷の電流を使うことも考えたけど、鉄を十分に加熱しておかないと厳しい気がするから実用的じゃない。
ともかくも、面倒で、発電に使えるような磁石を作れるのは大変そうだということだ。それだけの技術的知識を持っている人は現代でも限られていて、ましてや20年置きに2人来る人が、そういう細かいプロセスや、それ以前に、十分に有用な電池を作る知識を持っているとは思えない。地球で、やっと実用的な発電機に相応しい磁石を作れたのは19世紀後半だ。ワットの蒸気機関よりずっと遅いのだ。
そもそも、そんな手間をかけなくても、魔法で多くのことが出来るから、発電という発想にならない。『知的好奇心は科学的知識を増やすが、必要(怠けたいという必要でもよいけど)を感じなければ科学は実用化されない』って大学教養の時の先生が言ってた気がする。
その結果、この世界には未だに電信という手段が存在しない。代わりに、風魔法連絡網や狼煙連絡網があって、手紙を紙飛行機にして、基地から基地へと風で飛ばし続ける紙飛行機便がある。だから、この世界では飛行機よりも先にグライダーが実用化するんじゃないかなあ。
技術が発展しないのは蒸気機関も同じ。実用的な蒸気機関を作りには精密なピストンを含む、丈夫で巨大な鉄の製品を作ることを意味する。鉄ピストンの精密な精製に必要な技術なぞ、これまた普通の現代人は知るまい。デザインは出来ても職人もいない。魔法で多くのことが出来る世界では職人というのは育ちにくく、技術が足りなくなるんだよね。まあ、だからこそ、定番のファンタジーでは「ドワーフ」という、これまたチート技術者を空想しなきゃならないわけで。
チートと言えば鉄鉱石や石炭の掘り出しもそうだ。鉄鉱石を掘り、石炭を掘るという膨大な作業は、土魔法という、エネルギー的かつエントロピー的にチートな魔法が無い以上、相当の労力を必要なんだよね。
たとい、そこまでして蒸気機関を作った所で、風車や帆と風魔法の組み合わせや、水車と水魔法の組み合わせに比べて優位だと説明できない。以前の召喚被害者の中に、蒸気機関の便利さを力説した人がいたらしいけど、風車や水車の便利さの前に口をつぐむしかなかったそうだ。
(自称主人公による補足3-22)
吉『あんふたりぃ、出てったきりぃ帰って来んがぁ、くたばっちょらんやろなぁ』
三「大丈夫じゃろ? ちゅうか、何処げ行ったん?」
吉『オビ海、見たい、っちゅっとったわ』
三「オビ海? どこよ」
吉『そんなん知らんが。 おーい、村長さんや、オビ海って何処じゃぁ?』
長「アジア大陸とナウロッパ大陸の間に南北に伸びている海じゃが」
吉『げぇ、寒そぅ』
長「意外と温かいって話じゃけど」
三『へえ、でも、なんで?』
長「テレビでも見たことが見たことがないから、とか言っちょったわ」
吉『テレビ? 見たことないん?』
長「そんなこと知らんが」
三『村長さんでも』
長「そうじゃ」
という会話を聞いた。テレビが無いのは当たり前だよな。
この世界と地球の違いを知れば、オビ海(筆者注:第6話の補足6参照)を見たくなるのも分かるけど、あそこ、温暖と言っても冬は寒くて天気悪いから、ハッカーみたいな肉体的に軟弱者じゃ、直ぐに逃げ出すんじゃないかなあ。
(自称主人公による補足3-23)
村人達の話からも、邪神=魔神様がハッカー達に夢枕で魔法を手ほどきしたと思われるから。ハッカーなら封印を弱める魔法を開発しているかもしれないし。しかも、その街には、コキブリが生き残っている可能性も僅かながらあるんだよね。一石二鳥だ。ってことは、私は絶滅確定種でなく、まだ絶滅危惧種かぁ。うんうん。
(自称主人公による補足3-24)
夜間にコソコソと現代的な日本語で会話したので間違いない。日本語が広く知られているこの世界とはいえ、日常会話で使う者は多くない。私はこの2人に目を付けたのは、数日置きに邪神封印の場所の近くまで来ていたから。
封印は、邪神、といっても目に見えないけど、それを中心に、結界みたいなものを張っていて、外から生物が近寄ることは出来ないが、無生物は届くから、邪神がいると思われる中心部に向けて石をぶつける者もいる。ただし時間凍結状態とも言えるほどに頑丈なので、石ははね返って、石を投げた人間がダメージを受けるから、投げる時は楯を持つのが基本だけど。
こうしてハッカーとやら見つけた私は、常時彼らの近くにいた。かくれんぼの世界選手権があったら優勝できるぐらいに技術を磨いた私にかかれば、ハッカーごときに見つかる筈が無い。
かくて、彼らの会話から、魔法の誤動作が年々増えている理由とか(筆者注:第8話の補足27参照)、彼らが確かに地球への帰還を目指していること(筆者注:第8話の補足29参照)、彼らもまた、邪神=魔神様の封印が早めに解けると信じていること(筆者注:第8話の補足28参照)などを知った。
ついでに、私が地球から飛ばされた後の2年間に地球で何が起こったかもうっすらと分かったのは、予想外で、ちょっと嬉しい。
(自称主人公による補足3-25)
情報収集の為に、2〜3日毎に宿屋めぐりをしたところ、たまたま安宿で見つけた。素泊まりのみの大部屋の安宿なので不審に思っていると、秘密裏に滞在しる予定らしく、隠れ家を長期で借りる相談をしている。
今までは日本で温泉巡りをしていたらしい。そういう事情を知ると、日本で遭遇しなかった幸運に感謝するしかない。私も温泉町の温暖で湿った環境は好きで、結構巡っていたからだ。
ちなみに大部屋はもちろん男女混合。男女別なのは現代日米のユースホステルぐらいで、山小屋や2等寝台はもちろんのこと、中欧・北欧では街中のユースホステルも、日本の江戸時代の宿も、安宿は男女混合なんだよね。だって男女混合のグループやカップルで旅行する者が多く、盗難防止や荷造りでの配分の相談など、ベッドが近い方が良いに決まっているから。
(自称主人公による補足3-26)
本当に偶然で3X20=60年になったらしい。そして、ハッカー達の予想と同じく、20倍で薄められる筈だから、封印は3X2=6年のよりもちょっと短い5年か5年半ぐらいだろうと思っているらしい。だから、その少し前にこの街に来たとか。
(自称主人公による補足3-27)
なぜ分かるかというと、ハッカーの2人が魔神様の夢を見たから。翌朝に2人でお互いに確認していたから間違いない。どうやら魔人様は最低でも100mの範囲なら憑依相手がいなくても一瞬で自由に動けて、信者が増えるほどにこの距離が伸びるらしい。
封印が解けた瞬間というのを正確に認識するのは困難で、封印直後に再封印するという技が簡単には出来ないらしい。しかも、今の魔神様はサバイバルの為に魔力を高めなくとも、ハッカー達による封印魔法の「改善」を待てば良いので、ハッカー達以外の誰かに憑依する必要もないらしく、見つけるのはますます困難になりそうだ。
(自称主人公による補足3-28)
どうやら、封印魔法や召喚魔法が発動しないようハッカー達が改良(魔神様にとっても地球人に取っても改良といえる)にする代わりに、シンクロ魔法を帰還魔法に改造する手伝いを魔神様がするというという、暗黙の合意があったらしい。
なるほど、ここ1年余りやっていた作業は、まさにそういうのだったなあ。改良手段は魔道具を通した感染。魔道具から魔道具、魔道具から術者、術者から魔道具という感染経路で拡大させるみたいで、ここに来る前に放出したウイルスの一部は召喚や封印を主導する総本山に届きつつあるらしい。
(自称主人公による補足3-29)
魔神様は他の人にも憑依できるから、夢枕に立たないかぎり、隠密としても優れている。だから、どんなにお忍びでも、帚母・高校生コンビの存在は魔神様に分かる。それをハッカー達に夢枕で報告して、その翌朝に相談した2人が、君子危うきに近寄らず、とばかりに逃げ出した。勿体ない話だとは思う。私の集めた情報をまとめると、4人とも魔神様をごく普通の神様で、封印すべきほどの邪神ではないと思っているようで、魔神様の安全やハッカー達の安全が脅かされるとは思えないからだ。
当然ながら、私はハッカー達に着いて行くので、今後の帚母・高校生コンビの動向はつかめなくなる。だからとばかり、最後に急いでコンビの様子を偵察たんだけど、それが悪かった。雑になったようで、私の存在を糞か何かで関知されてしまった。
幸い、ここは、邪神封印直後の数で複数のメスゴキブリと複数の卵鞘が見つかった街だ。ゴキブリが未だに存在すると知ったコンビがこの街を徹底的に調べるのではないかと期待する。




